ウソツキは1人(6)
最後の問題へと続く扉の前に来た。
「また、同じような部屋かしら?いい加減ほかの景色が見たいわ。」
カスミが小言を言いつつ扉を開いた。
同じように無機質な白の立方体。その中央にはモニター。しかし、奥へと続く扉がない。
モニターの少し奥には棺桶のようなものが置いてあった。
「カイト、この棺桶に人が入ってるぞ!」
「え…やめてよ。」
俺は恐る恐る棺桶の方に近づいた。
中を除くと綺麗なスーツを着ていて、綺麗に整った指先が見えた。男にだろうか、身長は高そうに見える。顔の方を覗くと…
「………ウサギ?」
その突如、死体と思っていたソレは急に起き上がった。
『ヨウコソ!ウソツキの間へ。私はあなたたちをナビゲート致します。ラビットと申します。既に皆さんご存知ですよね?』
ラビットと言う男?は加工された甲高い声を発した。
『皆さん、驚いてらっしゃいますね。ワタクシに実際に会う方は皆驚きますよ。メールと実際の性格が違いすぎると。ワタクシ、少々シャイなものでして、実際に対面すると堅苦しい敬語を使ってしまうのです。どうかお許しください。』
「なぁ、ラビット、お前が俺たちをここに連れてきたのか?」
大輝が俺の思っていたことを質問してくれた。
『いえ、実際にお運びしたのはワタクシですが。あなた達を連れてくるよう命令したのはワタクシではありません。』
「じゃあ誰が…」
『それはまだ、お答え出来ませんが、皆さんもよくご存知の方ですよ。』
…俺らがよく知ってる人?
『皆さんが知りたいことは、おそらくこの最後の問題で解消されることでしょう。モニターをご覧下さい。』
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私の名前は有賀杏華。このウソツキの間に招待した張本人よ。私の目的はただ1つ。相澤解兎、阿部大輝、石森香澄の中に隠れているウソツキを私と同じ地獄へと落とすこと。ウソツキは1人。チャンスは1度きり。ウソツキだと思う人がわかったらソイツを棺桶の中に入れてラビットに渡して貰うわ。そうすれば、残った2人は見事脱出成功。もう自由でいいわよ。
私は3つの証言をする。その3つの証言全てに嘘偽りはないわ。それを参考にしてウソツキを見つけなさい。
「ウソツキは常に嘘をつくとは限らない、残りの2人も常に真実を語るとは限らない。」
「ラビットに何を質問しても構わない。彼が真実を言うか、嘘をつくかはわからない。」
「今までの論理パズルにはある共通性がある。論理パズルは君たちを裏切らない。」
さぁ、見つけてもらおうかしら。今まで仲間だと思ってた人の中にウソツキが混じってたのね。その人のせいで巻き込まれた2人がかわいそうだわ。
ウソツキに裁きを………
私とともに地獄を楽しみましょう……
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