ウソツキは1人(3)
「正解はBだ…。Aは晴れているのに雨が降っていたと嘘をついてたんだ」
「それは少し強引じゃないかしら?Aの言ってることはあくまで問題の中であって、現実の今日とは関係がないと思うわ。」
「俺もAは嘘をついてると思うぜ。天気を外したらそれはそれで嘘だろ。岩森は難しく考えすぎなんじゃないか。」
「そんな…」
「天気予報はともかく、仮にAが正直者と仮定した場合でもBかDかどちらがウソツキかわからないんだ。ラビットは3人で解けると言ってたが、大輝のような柔軟な発想が大事だって言いたいんじゃないかな?」
「そう、わかったわ。私も2人を信じる…。でもBのボタンはカイトが押してよね!」
「はいはい、カスミも変なところで強気だよな」
目の前のボタンを見る。本当にこれでいいんだろうか………チャンスは1回きり。もう一度よく考えるべきだろうか……Bのボタンの上に手を置くがなかなか押すことが出来ない…手が震える。
その時俺の手の上から勢いよく力が加えられた。それと同時に目の前の扉が音を立てながらゆっくりと開く…
「すまんカイト。我慢出来ずに押しちまったw」
「いや。ありがとう…大輝。」
助かった…おそらく正解だったのだろう。どうしても大事な場面で弱気になる。こんな時に強気に行ける大輝がうらやましい。
「…正解だったみたいね。それにしても大輝君はよく押せたわね。誰かと違って。」
「…うるさいなぁ」
「俺はカイトを信じてたからな!迷う必要なんてなかったぜ。」
「おぉ、俺の友達はお前だけだよ!」
「2人ともほんとに仲良いわね。」
扉が開ききり先程と同じような短い廊下が見える。3人は振り返らずに真っ直ぐ進み、また扉を開いた。
「また同じような部屋ね。最初の部屋は扉が3つだったけど、ここはさっきと同じで扉がひとつ。そして例のボタンは5つかしら。」
「ん、そうだったっけ?よく覚えてるな。」
「カオリは昔から記憶力はいいからな、なんなら今までの問題もモニターに書かれてた文章も覚えてるんじゃないか?」
「えぇ、もちろん覚えているわ。だた、連れてこられた時の記憶がないわね。それと、さっきの問題に出てきたDさんのような人から恨みを買うような覚えもないわね。」
「そうだな。俺も肉体を殺したとか言われたけど、そんな記憶はないぞ。カイトもそうだよな?」
「……あぁ。ただ、なにか忘れているような。何か俺たちがさらわれた理由と関係してる気がするんだ。」
不可解なDの発言、なにかを忘れている……心を殺した…?このウソツキ探しのクイズにいつまで答えればいいんだ……
ブーーーーーーーーーー
先程も聞いたブザーが鳴り響く。例のごとくモニターにはまたしても例の問題が示された。