プロローグ
初めて投稿させていただきます、今日子と申します。
この作品のテーマはずばり、「悪役」です。書籍やドラマ、アニメ、ゲームなど悪役が魅力的な作品はその作品も魅力的です。彼らのキャラクターが濃いと言うのもあると思いますが。私自身、悪役がとても好きなので、それをテーマに書きました。楽しんでいただければ幸いです。
「やはり貴方は結さんですか?」
「やっぱり、黒川くんだよね……?」
まさかまさか、捕虜の身の上で土下座されるとは思わないじゃん。
「た、大変失礼致しました!! 先輩のご恩を忘れ、僕は御身に傷をつけるところでした……!!」
「ちょっと落ち着いて、ね? 私は大丈夫だから!」
「しかし!」
「この件に関してはどちらかというと私に非があったし。」
「せめて、先輩の御身を適切な場所へお運びできない僕の不甲斐なさをお詫びしたく!」
きちんと正座をし、背筋を伸ばすかつての後輩が次にとる行動といえば……。
「大変申し訳ございませんでした!!!」
ひんやりとした石畳の上で、綺麗とは言いがたい床の上に額と手のひらをしっかりとつけた――俗に言うジャパニーズ土下座だった。
そう、私は捕虜の身でありながら将来的にこの国の重要なポストに就くであろう成人男性の土下座を受けてしまったのだった。