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「おいちょっと待て」

「…………!」

ここはどこだ?

気がついて起き上がり辺りを見回した。

とても神聖な場所だ。

絵にしたいほどの景色。そしてその絵を教会に飾りたい程。だが、絵で描いただけでは収められないぐらいだ。

もしかして俺、死んだのか?

「ようやく目が覚めたかい?」

「ッ!この男の娘っぽい声!まさか神なのか!」

声のする方へ顔を振り向けると、白い布を着たとても可愛らしい男の子がいた。

「……それは違う。僕は神ではない。神の使いだ。君の世界では僕のことを天の使いで『天使』って呼ぶだろう?それのことさ。

あと、僕は女の子だよ。」

「!?」

なん…だと?嘘に決まってる。

俺は目の前にいる天使の胸を触った。

「………ツルペタじゃねーか。」

「っ!お前!人の胸を勝手に触ってなんだその言い方は!殺されたいのか!」

天使が殺すと言っていいのだろうか。

「そもそも俺死んでますから。」

「うるさい!お前なんかすぐに殺せるのだから…は!危うく本題を忘れるところだった。」

本題?あぁ、転生かな?

俺は正座で待機をするとしようか。

「……急に正座とは気持ちが悪いな。

まぁいい。今から話すことは、とても重要なことだ。

生前の君はキモヲタだったから詳しく聞く必要は無いと思うけど、転生、転移は知ってるだろ?」

「キモヲタではないけど知ってます。」

「……なら話は早い。君は転生か、転移、どっちがいいんだい?」

「転移で」

「即答だね。分かった。ちょっと待っててよ。」

そう言って天使はどこかに行った。

待ってる間に色々考えてみた。

『異世界転移・異世界転生』

まさか本当にあったとは。

いや、まだ実際に転移してないからまだ思ってはいけないか。

どこがいいかな。やっぱり生前の体でファンタジーな所に転移して色んな魔法を使ったり?

それとも、記憶を残したまま転生したり?

しかし俺は転移したいのだ。

あと、チート能力は受け取りたくない。

そうこう考えているうちに天使がやってきた。

……天使って言うのも疲れたな

「おまたせ。転移の準備が出来たよ。」

「……名前はなんて言うの?」

「?いきなりだな。そんなことを聞いて何か得があるのかい?」

「今後何があるかわからないからさ。もし何かあった時に神頼みならぬ天使頼みなんてしようかと思ってな。」

「ふーん。僕のことを頼るのか。いいかもしれないな。僕の名前はハマ。ハマ・ナラヤード。」

出ましたー。すごい独特な名前だな。

「おい。人の名を聞いてなんだその目は。

まぁいい。そんな事をしてる暇があれば転移させなきゃ。」

そう言ってハマが何かのボタンを押した直後に巨大な何かが出てきた。

「おいおい、なんだよこれは!」

「ルーレットさ。君がどこに転移するかを決めるね。」

「なんでルーレットで決めんだよ!ざけんな!」

「ふざけてなんかいないよ。最近色んな人が転生、転移するからさ。ちょっとめんどくさくなってたんだ。そこで神々の会議でルーレットになったってことさ。 ほらよく見て、君が望んでいる『ファンタジーな世界に転移』だってある。」

「おいちょっと待て。俺の行きたいところに転移しなかったらどうしてくれんだよ!しかもなんだよアレ!」

俺は極々小さなパネルに指を差した。

「めちゃくちゃ小さい枠で『死ぬ前に転移』ってなってるじゃねーか!あれに当たったらどうなるんだよ!」

「そのままさ。君は死ぬ前、十日前に戻るんだ。」

まじかよ。カッコよく自殺したってのに。

いや、自殺にカッコイイもクソもないな。

「でも、俺は運がいいんだ!絶対ファンタジーな世界に転移してやるぜ!」

そんなフラグを立てたせいか、『死ぬ前に転移』が当ってしまった。

「チギショョョョョョョョョ!!!!」

俺は倒れ込み泣き叫んだ。

いつもそうだ。俺は運が悪すぎる!

「驚いた。あのパネルに当たったのは君が初めてなんだよ!もっと光栄に思わないと!」

そう言ってハマは無邪気に俺の背中をバシバシ叩いた。

「あぁ、確かに光栄だな。

でもいやだ!もう俺はあんな退屈なところに戻りたくねーよ!」

「そう言うと思ったよ。そんな君に、1つ朗報がある 。」

そしてハマは1枚の紙を俺に渡した。

「君、もう一度聞くけど、最近色んな人が転生、転移するのは知ってるよね?」

俺は頷く。

「その逆もあることは、知ってるかな?」

「あんまりそういった小説は読んでないな。」

「そうか。じゃあ知らないことにするよ。

じゃあ、その紙をよく読んでくれ。」

俺はハマに言われた通りもらった紙をよく読んだ。

「どうかな?いい話だと思わないかい?」

…………。

「いや、わかってる前提で言ってると思うのだがよく分からん。」

「わからないのかい?」

「うん。わからん。」

全部わからないと言ったら嘘になる。

自分の中でまとめたらこうだ。

まず1つは、俺は死ぬ10日前に戻ること。

そして俺がトラックで自殺するということは出来ないこと。

なんで死ねないのか、ハマに聞いたところ神の力でなんとかなっているそうだ。

そしてもう1つ、俺は地球に戻った後、『転生、転移してきた人を管理する』ということだ。

これがよく分からない。

「最初に書いてあることはよく分かる。だが、最後のやつ。これがよく分からん。」

「最初はみんなそう言っているよ。けど、じきに慣れるようになる。」

「……?ってことは他にもいるのか?」

「そうだよ。」

そうだったのか。でもなんで?

「さっき言ったから色々察して欲しいんだけど、人手が足りないんだ。猫の手も借りたいほど、ね。」

「なるほど。そこで俺が転移、転生の管理のお手伝いをするということか。」

「さすが!こんなに察しがいいのも君が初めてさ!」

そう言ってハマが俺の背中をバシバシ叩く。

興奮しているのか。背中がものすごく痛い!

コイツはゴリラなのか?

「そういう事だから、君が死ぬ10日前に戻すよ!」

そう言ってハマが何やらヤバそうなボタンを押そうとしてる。

「ちょっと待ってくれ!」

ハマがボタンを押そうとしてる手を止めて聞く姿勢になっている。

ここで色々聞かないとマズいという己の本能がそう言っている。

とにかく色々聞かなくては。

「俺自殺のために2週間前に辞職してしまったんだよ!頼む!10日前じゃなくて1か月前に戻してくれないか?」

「キミ、30日前に戻すってどれだけ大変か知ってて言ってる?」

……それほど大変なのか?

本当に知らないので鳩が豆鉄砲をくらったような顔になっていた。

「知らないなら教えてやるよ。僕はあくまで天使。神ではないんだ。だから戻すと言っても10日前が限界。もしそれ以上延ばすのなら、神に申告書を出さないといけない。それがすごく大変なんだ。」

なるほど。天使も天使で大変なんだな。

しかし、俺はまだ知りたいことが沢山ある。

「じゃあ、仕事の内容はどうなんだよ。」

「天使に向けてその口か。君は早く転移する必要がある。詳しいことはその後に話すよ。」

「おい、ちょっと──」

待ってくれ、そう言おうとしたがハマがボタンを押した。

そして目の前が真っ暗になった。

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