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序章
俺はトラックで自殺した。
生きるのが辛いといった方がいいのか…いや、俺はこの世界がつまらないと思ってしまった。
なにもかもが便利になった時代。
人工知能が人類を撲滅させることもない、平和な世界。
刺激がない。なさすぎる。あまりにも退屈だ。
そんな俺の目の前にあるニュースが飛び込んできた。
イグノーベル賞を受賞した人の発言だった。
「トラックに轢かれると他の死に方に比べ、大きな確率で自分の行きたいところに転生、転移できる。」
俺はそれを聞いた時、意味がわからなかった。
転生?転移?そんなの本当にできるのかと。
でも、やってみる価値はあると思い、俺はトラックで自殺した。
俺は死んだのだ。もう後戻りは出来ない。
次の世界で、退屈のない人生を過ごしたい。
チート能力はいらないが。