聖地
歴史の感じる建物、崇拝の対象であろう石像、そしてどこを見渡しても見える十字架。
最奥には、城かと見間違えるほどの聖堂が建てられている。
ここが、ゲーム内で最後に訪れる街、オルディネ大聖堂。聖地とも呼ばれていたな。
それだけ壮大な場所なだけあって、人はロレドニアに負けないぐらい多い。ほとんど参拝者だろう。
「ここに、お母さんが…」
ハルはギュッと自分の手に力を入れる。
そうだ、ここには諸悪の根源であるアラドと魔王がいる。ハルのためにも、必ず倒さないと。
しかし、もらったロードの力が未だに謎のままだ。
このままで大丈夫なのか?
◆
「んー、はっ!よし、これで俺の残った力は渡せたと思う」
思うって…?
「え、今のでほんとに渡ったの?」
あまりにもあっさりと終わってイゼリアがロードに問いかける。
「ああ、多分だが」
「多分って…」
心の声がそのまま漏れ出した。
「いや、すまない。実は俺も、ここで修行をしている時にただやり方を教えてもらっただけで詳しいことはわからないんだ」
ここの修行は一体どういったものだったのだろう。
しかし、困ったな。わからないとなると、俺自身にどんな変化があったのかもわからない。
「ただ、力を与えた者と与えられた者、想いが重なればその力が真価を発揮するとだけ聞いたな」
「うーん、なんかわかるようなわからないよーな」
ユミナが顎に手を当てて、首を傾げる。
「さ、俺にできるのはこんなとこだ。最後に、オルディネ大聖堂まで俺のシフトで送るよ」
「え?なぜ俺たちがそこを目指していることを?」
「こんな状態でも勇者さ。前々からずっと嫌な気配を感じていた。オルディネ大聖堂は俺が旅をしている時に行ったことがある。だから、そこまでなら送ることができる。その先は、君たち次第になるが」
ロードは気まずそうに顔を俯かせる。
「すまない、本当なら俺が行くべきだったのに。お婆ちゃんにまた会うことがあれば大丈夫とだけ言っておいてくれ」
◆
だけど、俺はロードに昔憧れた勇者の姿を見た気がした。そんな人から託された以上、俺は頑張りたいと思えた。なによりも、ハルという小さな子をこれ以上悲しませたくなかった。
子どもには、やっぱり笑っていてほしい。
「よし、行こうか」
俺は、魔王の城へとつながる道へ入るためにオルディネ大聖堂へ向かった。




