祭壇の勇者
「元、勇者...?」
俺は頭を抱えながら、しゃがみ込む。
「ジルさん!大丈夫ですか?」
ハルが駆け寄って来てくれる。俺は、なんとか立ち上がる。
その時、祭壇から光が溢れ出す。
「なんだ!?」
まばゆい光に俺は目を細める。
光の向こうには人影が見えた。
「わざわざ来てくれてすまないな。見知らぬ人よ」
祭壇からは半透明な人が出てきていた。ツンとした髪、赤い鎧を身にまとったゲームの主人公と思えてしまうほどの印象深い人物だ。
「こ、この人からさっきの光と同じ光が見えます!」
ハルが祭壇の人物に指さす。
じゃあ、やっぱりこの人物こそが...
「おっと、そちらの方たちには紹介が遅れてしまった。俺の名はロード。勇者だった人だ」
アラドから力を奪われたはずの勇者。なぜこんなところに?
「ロードっていうことはメドさんの言っていたお孫さん、ですよね?」
イゼリアがロードに聞く。
「ああ、おばあちゃんから俺のことは聞いていたか。おばあちゃん、心配しているかな」
ロードは少しばつの悪い顔で俯く。
「私の孫はやわな子じゃないって言ってたよ」
ユミナがそんなロードにメドさんの言っていたことを話す。
「...そっか。さすが俺のおばあちゃんだ」
ロードは顔を上げて調子が戻る。
俺は、なぜここに呼んだのか聞くことにした。
「あの、なぜここに呼ばれたんですか?どうも俺を知っていたからというわけでもないでしょうし。それに、なぜ勇者であるはずのあなたがこんな状態でここにいるのかもわからないです」
ロードは少し考え込んでから話し始めた。
「俺が君を呼んだのは、俺と似たような力を持っているのをここで感じ取ることができたからだ。俺は以前勇者をやっていたときにアラドという友人から力を奪われここに閉じ込められた。どうにもならないかと思ったが勇者として覚醒した俺の力はどうやら君を感知することと、さらに君に声を届けることができるような力を持てていたらしい。それで、とりあえずここに来てもらおうと思ったわけだ」
「そんな見切り発車で...」
「とにかく試すのが俺なんでね」
俺に近しい力を感じたと言っていたが本当なんだろうか?
だけど、この話していて物おじしない強さは勇者として信頼できそうだ。
「それに、なんだか君になら俺の残った力を託すことができそうだったからね」
え!?
ロードの力は、まだ残っていたのか...?




