ロード
メドさんのその発言に俺たちは固まる。
救世の旅をするのは勇者だ。じゃあ、メドさんは勇者の祖母?
「あの、もしかしてお孫さんの名前ってアラドっていう名前じゃ...」
俺は、思わずメドさんへ訊く。
だが、メドさんは首を振って否定する。
「いんやあ、私の孫の名前はロードっていう名前さ。アラドは、ロードと仲良くしてくれた子の名前だったかねぇ」
…アラドは確か、自分の友人から勇者の力を奪ったと聞いた。
そして、メドさんの孫は救世の旅をしていた。
このことから、メドさんは本来、勇者となるはずだった者の祖母であることが考えられる!
「おやおや、やだよぉ。こんな老人の孫の話にそんな神妙な顔をされちゃあ」
メドさんは笑み混じりに言う。しまった。考えこみすぎたか!
俺は慌てて笑って取り繕う。
「え、あ、あはは!そんな顔しちゃってましたか?知らない間に変な顔しちゃうんですよね!あはは!」
「おかしな子だねぇ」
かなり強引だがごまかせた。
しかし、俺が考えこみすぎたのはメドさんのことの他にもう1つある。
ロードという名前についてだ。
俺は、この名前を知っている。
だが、ゲームの中では出てこない。
この名前を知ることができたのは、とあるゲーム雑誌にあった当時を振り返るインタビューの中でだ。
そのインタビューは、「グランワールド」を細かく聞いており、何ページにも渡り開発秘話が書いてあったので、とても読みごたえのある記事だった。
そんな中でも特に気になったのが、主人公を固有のキャラにするか完全なプレーヤーキャラとするかで製作陣が揉めた話だ。
当時、様々な個性的なRPGが出ていたとはいえ主人公がセリフを喋りまくるものはなかった。
仲間がイベントごとに喋ることはあっても、主人公が同じ頻度で喋るのは俺の知る限りではなかった。
そういう風潮、ではなく単純に主人公に喋らせるとテキストのデータが膨れ上がって容量が圧迫されるから、やりたくてもやれないという状況だった。
…このことは、俺が勝手に考えたことだけど。
まあでも、「グランワールド」の製作陣も容量が圧迫されるのを嫌がって主人公を固有のキャラ化するのを反対したというのがインタビューに載っていたし、間違ってはいないと思う。
そして、結果としては固有のキャラ案は却下された。
主人公は、名前を自由につけることができ、喋ることのない完全なプレーヤーキャラとして決まった。
このボツとなった固有のキャラの名前が
『ロード』
長い旅路を行く様をそのまま表現したかったとインタビューには載っていた。




