ハテノ村のおばあさん
俺たちは、歩いた先に民家の明かりを見つけた。
「見て!あそこって村じゃない!?」
イゼリアが指をさして走り出す。
民家の明かりは1つだけでなくいくつも見え、それが村であることを示していた。
村の前には看板があった。
『ハテノ村』
◇
「おんやまあ、あの雪原からよその人がこんなに!」
村に着くと、1人のおばあさんと俺たちは出会った。
「どこから来たんだい!?寒かったろうに!ほら、私の家にお入んなさい!」
おばあさんは俺たちをぐいぐいと押して自分の家に招き入れてくれた。
コートがあったとはいえ、体が冷えていたのは事実だったから助かった。
「あ、あのー、ここまでしてもらっては...」
「なに言ってるんだい!暖炉だけじゃ、元気でないでしょ!あなたたち見たところまだまだ若いんだからちゃんと食べていきなさい!」
おばあさんはなんと俺たちに豪勢な食事まで振舞ってくれた。
流石に申し訳ないと思い、遠慮の言葉を言おうとするとぴしゃりと叱られる。
ハルたちはともかく、俺もうおっさんなんだけどなぁ...
「特にそこのあなたよ!この中で一番の年上だし、もう若くないって顔してるわよ!私からすればあなたも若いんだから、遠慮せずにテーブルの上を全て平らげるくらいの勢いで食べなさい!」
「え、あ!は、はい!」
戸惑いももちろんあるけど、なんだか懐かしい気持ちになってしまった。
昔、母さんにも似たようなこと言われたっけ。
思えば、自分はもういい年だからってハルたちの前でしっかりしようと無意識に気をつけてきたのかもしれない。でも、今こうやって言われて自分にとって無理をしていることに気づかされた。
「えと、いただきます」
俺は目の前の料理を片っ端から口に運んでいった。
「うん、よろしい」
おばあさんはそんな俺の様子を見てニッコリと笑った。
◇
「よく食べたねぇ。作った甲斐もあるってものよ」
4人用の正方形のテーブルいっぱいに並べられた料理を俺たちは全て平らげてしまった。
なんだかんだ、食事には長いことありつけていなかったからどんどん食べてしまった。
「私は、メドよ。そこの年長のあなたを見ていると孫を思い出してねぇ」
「お孫さんと一緒に暮らしていらっしゃるんですか?」
俺の問いにメドさんは首をふる。
「孫は昔に旅立っていったよ。救世の旅だのなんだの言ってね」




