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魔法陣より

「ジルさん、娘がお世話になりました。なんだか会ってなかった年月以上に成長したのを感じます」


フィアナ王女は立ち上がって、俺の目を見て言う。

俺はそれに応えるように頭を下げる。


こうして、ハルの母親への贈り物は上手く渡すことができた。


フィアナ王女とハルの笑顔を見ることもできたし、一緒にきて正解だったな。

そんな俺たちのところにけたたましい勢いで誰かが近づいてくる音が聞こえた。


「おい、来たぜ!例のあいつが!」


全力で走ってきたエラクスだった。

エラクスはそう言うと、他の人を呼びに行ったのかすぐにどこかへ走り去って行った。


「思ったよりは早く来ましたね。上手くいっているといいのですが。魔法陣へ向かいましょう」



玄関先でイゼリアとユミナに合流した俺たちはフィアナ王女の案内で、霧の魔法を管理している魔法陣の場所まで来た。


魔法陣は村の外れにあり、4~5人ほどの男たちがそれを取り囲んでいた。


「おう、どうだ上手くいったか?」


「はい、目標は現在拘束中です。指1つ動かせないかと」


エラクスさんが問いかけると、男の一人が振り返り現状を報告する。

魔法陣の上にはモニターのような長方形の映像が浮かんでおり、アラドが霧の中で拘束されているのが見える。四肢はもちろんのこと、指先1つに至るまで鎖のような魔法に縛られている。これでは、言葉通り指1つ動かせないだろう。


「よーし、よくやった。これならあの坊ちゃんも大人しくしてくれんだろ!特注で作った甲斐があるってもんよ!」


エラクスは大笑いする。


「お父さんすごい、私もいつかこんな魔法を...」


俺の隣でイゼリアが密かに呟いた。




「確かに、大魔導士エラクスが作った魔法だけあって捕まったら絶対に動けなかっただろうね。まあ、僕があんなのに捕まるわけないけど」



!?


その場にいた誰もがその声がする方へ瞬時に振り向く。


そこには、アラドが涼しい顔をして立っていた。


「な、どうして!?」


「どうしてとは安直だなフィアナ王女さま。僕はあの霧に対する対抗策を使わせてもらっただけだよ。その結果、僕はここにいて君たちの企みをまんまと打ち砕いたわけだ」


その場にピンと張り詰めたような緊張が走る。


「勇者がフィアナ王女さまをご案内しに参ったよ」


アラドの不気味なその声が辺りに沈んだ。


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