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実家のイゼリア

アラドを捕縛する。

そのことを告げられはしたが、アラドがメキラの森にいつ来るかわからない。


「坊ちゃんが来るまで俺や普段から監視してる連中で見とくからよ!王女さんやあんちゃんたちはゆっくりしていきな」


エラクスは歯を輝かせて親指を立てる。


「俺ん家がこの先にあるからそこで休むといい。部屋も自由に使ってくれたらいい」


エラクスの粋な計らいで俺たちはマテンの村で一時の休息をすることにした。



「久しぶりに帰ってきたなぁ」


エラクスの家に着くと、イゼリアが呟く。

ヤンさんの屋敷ほどではないけど、大きい家だ。

俺たちが泊まることの出来る部屋なんてたくさんあるだろう。


「旅をしてきたけど、やっぱり自分の家が一番じゃないか?」


「もちろんよ」


イゼリアが屈託のない笑顔を見せる。

会ったころは刺々しい印象を受けたけど、今はこうしてよく笑顔を見せてくれるようになった気がする。


故郷の自分の家か、そういえば長い間実家に帰ってなかったな。もし無事に元の世界に帰れたなら久しぶりに顔を見せに帰ろうかな。


「どうもどうも!旦那が言ってた人たちだね!あたしはマサマっていいます。この子の母親です」


家の奥からバタバタとした様子で女性が出てくる。

おばさん、いやおばちゃんと言いたくなるタイプの中年女性だ。


エラクスに負けず劣らず勢いがある。


「お母さん、ただいま。泊まれそうな部屋ってどこの部屋になる?」


「さっき全部の部屋の掃除が終わったとこだから、どこでも使ってもらって構わないよ!」


「そう、ありがとう。って全部?私の部屋も?」


「イゼリアの部屋が一番苦労したわぁ」


それを聞いた瞬間、イゼリアが見たこともない速さで家の奥へ走り去っていく。


そして、しばらくすると肩で息をしたイゼリアが戻ってくる。


「お母さん、私の部屋で触った物は絶対に誰にも言わないでね。絶対だよ?!」


「あーはいはい、あの本とかあんたが作ってた…」


「わー!?」


イゼリアは慌ててマサマさんの口を塞ぐ。


「み、みんな。王女さまも。とにかく疲れているだろうから、好きに部屋を使っちゃって…」


誰よりも疲れた様子でイゼリアが言った。


「あ!扉に月のマークがある部屋は絶対開けちゃダメだからね!開けたら許さないから!」


イゼリアは付け足すように、部屋に向かおうとした俺たちに必死に呼びかけた。

おそらく、イゼリアの部屋だろうな…


「そう言われると、行きたくなるなー」


ユミナが悪戯な笑みを浮かべる。

そんなユミナをイゼリアは鬼をも殺せそうな目で睨みつける。


「おーこわ。冗談よ、興味はあるけどね!」


ユミナは舌をペロッと出してウインクした。

これ諦めてないな…


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