こぼした手がかり
「今のを受けて立っているとは...」
見たこともない攻撃でどうなることかと思ったが、俺の体には支障はない。
無茶が通ってよかった。
「なんだ、今のは!」
「あっちからだ!」
研究員の人たちの声が聞こえる。
騒ぎを聞きつけてこちらに来ているのだろう。
「人が集まってきそうだね。まあいいや、王女さまに軽い挨拶をしに来ただけだから。あなたの力なんてなくとも森は抜けることができるってね」
アラドは不敵な笑みをこぼすとどこかへ走り去って行った。
どういうことだ...メキラの森はフィアナ王女の力がなければ突破できないはずだが...
一抹の不安を抱えて俺は駆け付けた研究員に事の顛末を説明した。
◇
街中へ逃がしたイゼリアたちを追って俺はロレドニアを駆け回る。
その最中、さっきの研究員の言葉を思いだす。
「まさか、勇者殿がそんなことを!」
「冗談としては笑えませんね」
俺の言葉は全く信用されていなかった。
それどころか...
「まさか、あなたが起こしたこの惨事の罪を勇者殿に擦り付けようとしているのではありませんか?」
俺が研究員に疑われる始末。
俺は不必要に容疑をかけられる前にその場を抜け出した。
どうやらアラドの信頼は既に厚いものとなっており言葉だけで信頼させるのは難しいのかもしれない。
「ジル!」
誰かから呼ばれたかと思うと体に衝撃が走る。勢いよく抱きつかれたみたいだ。
俺は抱きついてきた人物に目をやるとそこには涙目のイゼリアが俺の胸元にいた。
「イゼリア!?」
抱きついてきたからてっきりハルかと思ったが...
「無事でよかった...心配したのよ!」
イゼリアはそのまま顔を上げて俺を叱る。
俺は申し訳ない顔をするしかなかった。
「ジルさーん!」
イゼリアに意識を集中していると、今度は腰に衝撃が走る。
今度こそ、間違いない。ハルだ。
「えへへ、やっぱりジルさんは大丈夫でした!」
ハルが笑顔で俺を見上げる。でもハルの目元にはうっすらと涙の跡が見えた。
ハルにも、心配かけちゃったな...
「おーい、そこのお三方ー。盛り上がるのはいいけど、偉い人待たせてるんだから早く戻ろうよー」
ユミナが呼びかけてくる。そういえば、フィアナ王女が見当たらないな。
「宿でお持ちだよー。行こうよ」
ユミナが宿屋を指さす。
◇
「ジルさん、ありがとうございました。ご無事でなによりです」
宿に戻ると、フィアナ王女が部屋の椅子に座っていた。
「いえ、全員無事で私も安堵しました」
早速、俺はアラドが喋っていた内容を全員に話した。
「私の力を使わずにメキラの森を抜ける方法...確かに気になりますね。少し、確認してみようと思います。みなさん、私をメキラの森まで連れて行ってくださいませんか?」
「メキラの森まで、ですか?危険では?」
俺は賛成しかねた。
「いいえ、メキラの森は私の師匠がいる場所、慣れ親しんでいますよ」
俺はそれでも危険なのではと考えたが、フィアナ王女が真っ直ぐな目で俺を見つめてきて俺はその目に負けてしまった。
「わかりました、必要なことなのですね?」
「ええ、おそらく今後の未来を左右します」
俺は了承の意を示して頷いた。
俺たちは早々に支度を整え、メキラの森へ向かった
体調が優れないため、更新が1日遅れます。申し訳ございません。




