真実の目
「様々なことをお思いでしょうが、まずは私の力、いいえ王族の血を引く者だけが持つ力についてお教えします。その力とは現在、過去、未来、果ては異世界までの真実を見通す力。この力は強力な反面、思い通りに使うことができることはほぼありません」
「もしかして、予知や異世界の様子を探ることができることも?」
フィリア王女はこくりと頷く。
「はい。始まりはその未来を見通す力が2年前に予知夢となって表れたことでした。その時見た夢は今もなお鮮明に覚えています」
フィリア王女がぶるぶると震えだす。よっぽどの恐怖を味わったのだろう。
「お母さん...」
ハルが心配そうにフィリア王女の手に自分の手を重ねる。
フィリア王女は恐怖の表情をしまって、ハルに微笑みを返す。
「大丈夫よ、ハル。私が見た予知夢は、魔王や魔物たちが闊歩するような崩壊した世界の中で、大笑いをし続ける勇者の傍に居続ける夢でした。そこから一歩も動けず、声も出せず、ただ目の前で世界が終わっていくさまを眺め続けるだけの恐ろしい夢でした」
フィリア王女の異様な夢にその場は沈黙に包まれる。
「その日を境に、その夢を見ることはなくなりましたが、今度は夢の中にに見知らぬ石板が私の目の前に現れました」
フィリア王女は懐から紙を数枚取り出す。そして、机に並べた。
「その石板にはこう書かれていました
『真の目を持ちし賢者よ
目覚めの時は来た。今こそ偽りの正義と真実の邪悪を打ち滅ぼす時
だが、今この世界に真実の正義なし。異世界より召喚せよ真実の正義、真実の勇者を
それこそ賢者の定め』
目が覚めると、私は今の見通せる力を手に入れていました。もちろん、ジルさんの世界のことも」
ゲームでは、隠された道を見つけ出すほどの力でしかないような感じだったけど、どうも実際のフィアナ王女の力はそんなものでは済まないようだ。
「そして、私が見た恐ろしい予知夢の真実も見ることができました」
フィアナ王女は言葉に詰まる。
「お話、してくださいませんか?」
辛いのは見ててわかる。けど、聞かなきゃ俺はなにもわからないままだ。
わからなければ、何が正しくて何が悪いのかすらわからない。
フィアナ王女は深呼吸して息を整える。
「勇者が魔王討伐に向けて旅をしているのは、本当は魔王復活のための儀式を行うためです」




