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使命

「お母さぁん、会いたかったよぉ...」


ハルはすすり泣きながら母親に抱き着く。

母親は慈しみの表情とともにそっとハルを抱き返す。


そんな冷静に状況を飲み込めるほど今の俺は落ち着いていない。

フィ、フィアナ王女だよな!?

この端正な顔立ち、間違いない「グランワールド」メインヒロインのフィアナ王女だ!


でもさっきハルがお母さんって...

俺はフィアナ王女と抱き着いているハルを交互に見る。

この二人が親子!?


「へ、え?なんで王女さまがハルのお母さん?」


「ここここれはさすがにあたしも予想していなかったよ」


イゼリアもユミナも俺と同様に混乱している。


「詳しいわけを話したいのですが、ここでは誰かに聞かれてしまうかもしれません。みなさん、ひとまずこちらへ」


フィアナ王女は混乱した俺たちを奥の応接用の広い部屋へ誘導してくれた。

俺たちは言われるがままにそっちへとついていった。



大きいソファがあったので俺たちはそれに座らせてもらう。

フィアナ王女が対面にあるソファに座る。ハルはフィアナ王女のすぐ横に座って片時も離れようとしない。


「ええと、どこから話したらよいものか...」


フィアナ王女はいきなり言葉に詰まってしまう。

それも無理はない。俺たちは聞きたいことが山ほどあるのに、そもそもフィアナ王女自身も俺たちになにか話があるみたいで、どこから話せばスムーズに話が進めることができるのか見当も着かない。


「あの、ハルがお母さんって言ってたみたいなんですけど...」


イゼリアは恐る恐る手を挙げて質問する。


「え、ええ。そうですね。私がこの子の母親です」


はっきりと言われて再び俺たちは衝撃を受ける。

待てよ、ハルは確か10歳だったはず。フィアナ王女はどう見ても30歳以上には見えないぞ...

うう、産んだ歳が気になるが失礼か。


「何歳で産みました?」


「ユミナぁ!?」


思わずユミナに向かって叫ぶ。俺が自重していたことあっさり言ってしまったよ。


「この子を産んだのは私が18のころですね」


だが、フィアナ王女はこれまたあっさりと答える。

お、俺の取り越し苦労か。


「王女さまってそんなに早いんですか...」


イゼリアは真っ赤になって王女に聞く。

フィアナ王女は首を振ってイゼリアに答えた。


「15歳くらいのころ、私はお城を飛び出して旅をしていました。その旅先で出会った人と恋に落ち、何年も暮らしていたのです」


王女がなんと無茶な...


「長い間暮らしていましたが、夫が病で先立たれ私自身も使命のために戻らなくてはなりませんでした。その時、この子、ハルを巻き添えにしたくないという思いから私はこの子をカマクの村に預けてきたのです」


そういう事情だったのか。しかし、使命というのはなんだろう?

話から察するに、その使命のために2年以上の年月を費やしているみたいだ。


「その使命、教えてもらえますか?」


俺は改まって聞く。事情によってはハルを置いてきたことを怒った方がいいかもしれない。


「はい。それはあなたをこの世界に呼び真の平和を取り戻すことです」


その使命は俺の想像だにしないことだった。



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