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迷子

王都ロレドニアはゲームの中盤で訪れる場所だ。


中盤の真ん中あたりなので、進行度としてはど真ん中だ。

昔のゲームでありながら、やたらと広いうえに無駄な作り込みがされている。

アイテムを売る店や装備品を売る店といったら普通は村もしくは街に1つずつしかないが、なんとここには3つずつもある!ちゃんと店ごとに品揃えや価格が違っていて、店を比べて買い物をしなければならない。

店の位置はバラバラで、画面を何度もスクロールさせなくてはならなくて大変だった。


そんな作り込みがある街だからこそ、ここでは重要なイベントがある。

ゲーム中盤にして「グランワールド」のメインヒロインであるローガスの王女、フィアナと初めて出会う。


フィアナはお忍びでここに来ていて、エンディングで勇者と結婚式を挙げる。

でも、この世界の勇者って...あまり深くは考えないでおこう。


とにかく、フィアナはイラストでもかなり美人だったから時間があれば是非とも見たい。

ただ、今は数ある装飾品の店を回るのが先決だな。


「あたし、商品を売るためにここには何度か来たけど毎回ろくに観光もしないで出ちゃうからさー、なにもわかんないんだよね」


「私はそもそもここに来るの初めて」


「右に同じです!」


3人に王都ロレドニアのことを聞いたらこういう返事が各々返ってきたので、俺はドットグラフィックの街の風景と、今の現実となった風景の位置を必死に照らし合わせて知っている装飾品屋に行くことにした。


だが、全くそれらしい店が見えてこない!

作り込みがすごいのはどうやらゲームだけではないらしく、ドットではわからなかった街のあちこちに繋がる路地裏がそこかしこにあって歩けば歩くほどに迷っていく。


「あんた、道に迷う才能あるわね...」


後ろからイゼリアが言葉を投げかける。悔しいけど、否定ができない...!実際、この世界にきて一番最初の時に道に迷ってたし。


「まいったねー。ここまで奥に来たことはないからどこがどこに繋がっているか全然わかんないよ」


ユミナは、あちこちに伸びる路地裏を覗いて大通りに戻る道を探しているがダメそうだ。


「でも、あっちの方になにかお店あるみたいですよ?」


ハルが1本の道から伸びている路地裏を指さす。

その先にはなにもないように見えるが...


「行ってみましょうよ!」


「あ!待て、ハル!」


ハルはその道へ走り出し、俺たちは慌ててハルを追いかける。

道は異様にグネグネとねじ曲がっていて、壁にぶつからないように走るだけで精いっぱいだ。


ハルはその道を器用に小回りを利かせながら走り抜ける。

やがて、ハルが走り抜けた先で立ち止まる。


俺たちもそこで立ち止まり、立ち止まった場所を見ると、見るからに古そうな店が建っていた。

店の外には、「なんでも屋」とだけ書かれた看板しか飾られていない。


「なんだか私、このお店が気になります!入ってみましょう!」


ハルは店の中に素早く入っていく。俺たちもハルに続いて店の中へ入った。

店内は輪をかけて古びていて、怪しげな商品ばかり立ち並んでいる。


店の奥には、店主と思われるお爺さんが座っていた。


「お客さんとはぁ、珍しい。いらっしゃい」


お爺さんは俺たちに気づくとニッコリ笑って、立ち上がってこちらまで来てくれた。

すると、ユミナがそのお爺さんの顔を見て目を見開く。


「お爺ちゃん...?」


ユミナが今まで見たことのないような衝撃を受けた表情をしていた。


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