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氷の翼

ヤンさんに別れを告げ、俺たちは山頂へ登った。

ロレドニアに行くには山頂まで行かなくても済むのだが、山頂には魔王の使いがいる。


ここにいるのはコンダル。ゲームでは相当に大きく描かれており、コンドルとオウムが混じったような奇怪な見た目は怪鳥と呼ぶにふさわしい。また、嘴の先端に魔王の使いの証である目玉があり、余計に見た目の不気味さが際立っている。


ヤンさんはマヤマ村の村長でもあったらしく、その魔物について話してくれた。

当然、見過ごすわけにはいかないので俺たちはそこまで行くことにした。


流石に、馬車は最後まで登れないこともありできるだけ近くの広い山道に停めて頂上まで登った。


山頂までの道はそう広くないので、俺たち4人は並んで歩いていた。一番後ろでイゼリアが「エラクスのほん」をずっと読んでいる。

マヤマ村を出てからここまでイゼリアは馬車にいる時も熱心に読みふけっていた。


「イゼリアさん、歩きながら本を読むのは行儀が悪いですよ」


見かねたハルがイゼリアを叱る。


「ごめん、でももう少しで掴めそうなの。お父さんが書いた私の知らない魔法」


イゼリアは素っ気ない返事をハルにする。ハルはむーっと膨れて不満げだ。

イゼリアは完全に本に集中しちゃってるな。


だけど、早々に俺たちは山頂にたどり着いた。


山頂には、普通では考えられないほどの大きな鳥の巣があった。しかし、肝心のコンダルはどこにも見当たらない。


「んー?いないね。こんだけ大きな巣の主だとすぐに見つかりそうなもんだけど」


ユミナが辺りを見渡す。


「さっきからずっといるような...?」


ハルが不意にそんなことを言う。俺とユミナは辺りを見渡すが、いない。お互いに顔を合わせて首を傾げた。そんな俺たちがハルを見ると、ハルはただ上空に指を指した。


上空に目を向けると、規格外の鳥、いや怪鳥が遥か上空からこちらへ突進してきていた!


「上だ!」


俺はハルを抱きかかえて、ユミナは本を読んだままのイゼリアを突き飛ばしてその突進を避ける。


突進してきたところには小さいクレーターができた。クレーターから出てきたコンダルはぎょろぎょろと二つの目玉と嘴にある目玉で俺たちを見る。


「クエェェェ!」


甲高い鳴き声を放ってコンダルはこちらを威嚇してくる。


「よーし、やっちゃいますか」


ユミナが剣を抜く。コンダルはそれを見るや再び上空へ舞い上がる。


「また空に行く気!?でも、インプで空にいるやつの止め方はわかってるわよ!」


ユミナはすかさず、上空へ手をかざす。


「カルード!」


コンダルの頭上に透明な壁が現れる。だが、コンダルはその壁をものともせずにそのまま打ち壊して上空へ飛び上がる。


「ええ!?」


コンダルはやたらとちからが高かった記憶がある。カルード程度では止められないのか!

いちかばちか、ここからでもレンゴクは届くか?


「わかった、わかったわよ!」


俺がそんなことを考えていると、イゼリアが興奮した様子で走ってくる。


「わかったって...まさか本のことか!」


「ええ!しかもちょうどいい魔法ができそうよ!ジル、あの魔物の真下で待っておいて!」


俺は飛び上がったコンダルの下に待機する。


そして、イゼリアは静かに目を閉じて、魔法を唱えた。


「ヒョウヨク!」


それは、俺が聞いたこともない魔法だった。

突如、イゼリアの手から多数の氷の粒が上空へ舞い上がる。その氷の粒は上空へ上れば上るど大きくなり、コンダルの翼や胴体にまとわりついていく。


コンダルは必死に暴れようとするが、あっという間に全身が氷漬けになり身動きができなくなったコンダルは真っ逆さまに落ちてきた。


俺は狙いを定めて、落ちてきたコンダルを「ゆうしゃのけん」で斬った。


「キィエエエエエ!!!!」


おぞましい断末魔を上げて、コンダルは光の粒子となった。


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