語り始め
「なんで、あんたが私も知らなかったお父さんの本のことを...」
イゼリアが信じられないといった様子で俺に聞いてくる。お父さんと呼んでいることから、やっぱりイゼリアがエラクスの娘だったのか。通りで魔法が得意で、序盤でも中級魔法を覚えているわけだ。
しかし、俺がなぜ知っていることに関してはなんと言ったらいいものか...
「え、ええと、勇者として各地を旅している時に偶然だけど大魔導士エラクスの話を耳にして...」
く、苦しい言い訳だ。咄嗟に上手い言葉が見つからなかった。
エラクスは、ゲーム内では魔法を覚えることができる本の著者という情報ぐらいしか出てこない。
もちろん、ゲーム中に出てくることなんてない。
そのせいで、俺はエラクスの情報には詳しくなく、エラクスの娘だというイゼリアにどう言えばいいのかわからなかった。
「な、なにそ「えー!?イゼリアってあのエラクスの娘だったの!?」
イゼリアの話にユミナが問答無用に割り込んできた。イゼリアには悪いが、助かった...
「ちょ、ちょっと!みなさん来ないからどうなったのかと思って来てみたらなに盛り上がってるんですか!」
馬車に待たせてたハルも来た。そういえば、ずっと待たせてしまっていた。
「それで、エラクスさんって誰なんです!?すごいんですか!」
「そりゃ、すっごい人だよー」
ハルとユミナが勝手に盛り上がる。イゼリアはその様子を見て、溜息をついた。
「立ち話もなんですし、私の屋敷に行きましょうか。イゼリア、あなたもなにか話したいみたいですし。ちょうどいいから、みなさんとゆっくりお話しなさい」
「う、うん。せっかくだし、みんなにちゃんと私のお父さんについて話そうと思う」
◇
俺たちがいた山道の坂道から上がってすぐにマヤマ村はあった。
入口には簡素だが木製の門があり、門から整備された道が真っ直ぐに一番奥にある屋敷に続いていた。
その道は村の真ん中に位置しているため、必然的に民家は左右に建てられていた。
俺たちはヤンさんの馬車についていって、屋敷で馬車を停めた。
その後、エリクさんの案内で俺たちは大きなテーブルと大量のイスが並べられた食事場へ通された。
「私は書斎にいって兄さんが書いた本を探してくるわね。みなさん遠慮せずにどうぞごゆっくりなさってください」
そう言ってヤンさんはお辞儀をした後、エリクさんと一緒に出ていった。
「そんじゃ、気になってるし聞かせてもらおっか」
ユミナが想像以上の軽さで話を切り出した。
そんな軽さでいいのか...?
「え、ええ。そうね。私はさっき言った通り大魔導士エラクスの娘よ」
イゼリアが自身のことについて語り出した。




