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ヤン叔母さん

「紹介するわ。私のお父さんの妹で私にとっては叔母に当たるヤン叔母さんよ」


「どうもみなさんヤンです。イゼリアがお世話になっているようで」


ヤンさんは深く頭を下げて挨拶する。柔らかい喋り方で大変まったりした人だ。

この人もマヤマ村へ向かっているところだったのだろうか。


「叔母さん、どうしてこんなところに?」


「トウシンまで闘技大会を見に行きたかったから、御者のエリクに頼んで馬車を出してもらったの。行きはよかったんだけど、帰りで魔物に襲われちゃってねぇ。本当に助かったわ」


ヤンさんのそばには長身の金髪男性が立っている。紹介に合わせてその人が会釈する。この人が御者のエリクさんだろう。


「奥様がいつもお出かけの際には護衛をつけるようにしていますが、今回はお忍びでお一人で満喫したいとのご要望に折れてしまいました。その結果、私個人では対処ができずあのような事態になってしまいました。不覚の至りです」


「あらあら、エリク、そんなに自分を責めるものでもないわ。助かったんだから気負うことでもないわ」


エリクさんはかっちりとした喋り方で、ヤンさんとは反対に堅いイメージが出てくる。

ヤンさんに対して行う会釈やお辞儀、そして謝罪といった頭を下げる動作は全て種類ごとに何度やっても同じ角度になる徹底ぶりだ。


「あら、急がないと日が落ちちゃうわ。イゼリア、もしかしてマヤマ村に行くところだったかしら?」


「え、ええ。そうよ」


ヤンさんからの問いにイゼリアは頷く。


「それならよかった。私の家ね、マヤマ村にあるの。よかったらそこでもてなしをさせていただけない?それに、あなたに見せたい本もあるから」


「それじゃあ、お言葉に甘えようかしら。叔母さんが私に見せたい本も気になるし」


「あ、あのその本ってどんなものなんですか?」


俺は思わず聞いてしまっていた。実はマヤマ村には隠しイベントがある。

隠しイベントといっても屋敷に住んでいる女性に話しかけると、大魔導士エラクスが残した魔術書を持っていることを教えられる。


その後、その女性に何度も話しかける。すると、52回目で呆れかえった女性は厄介払いをするために魔術書を渡してくれるというとんでもなく迷惑なイベントだ。


しかし、最も重要なのはその女性がそんな魔術書を持っている理由だ。実はこの女性、エラクスとは家族でだから、彼の開発した魔法に関する本をいくつか持っている。


マヤマ村で本が取り上げられるイベントなんてこれだけだ。

つまり、ヤンさんがこの女性に...そうなるとイゼリアは...


タイトルもゲーム中に出てくる。ついとても単純だと思ってしまったけど。

たしか...


「「エラクスのほん」」


俺とヤンさんの声が重なった。


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