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山道の救出劇

「けっこー登ったわねー」


ペネリート山の山道から見える下の景色が霞んできた。

パトロンの体力のためにも、何度も休憩を挟んでゆっくり登っていたがいつの間にかそんな景色になるまでの高さまで来ていた。マヤマ村はもう近いだろう。


「きゃああああ!!」


!?

突然、山道に悲鳴が響き渡る。声の方へ目を向けると一台の馬車が魔物に襲われていた。


「ユミナ!」


「オッケー、助けよう!」


ユミナは馬車をその場に停め、俺とイゼリアは馬車から飛び出す。

ユミナも、続けて来る。


「そ、空にいっぱいです!」


馬車に残ったハルが空中を指さす。馬車を襲っている魔物は空から襲ってきていた。

子どものような体の背に小さな黒い羽、これはペネリート山に出てくるインプだ。

特別な能力はないが、中盤の敵なためそれなりに攻撃力がある。集団で出てきやすいから集中攻撃を受けて、下手をすればすぐに瀕死まで追い込まれてしまう。


インプはゲーム中だと多くても3匹ほどしか出てこないが、今いるインプたちは軽く10匹は超えている。


「ゲッ!ゲゲッ!」


インプは指先から悲鳴の主が乗っているであろう馬車に向かって一筋の雷を出してきた。

雷の中級攻撃魔法、ライマレンだ!

俺は咄嗟にジャンプしてその雷の軌道に飛び込む。


「うお!」


空中で食らったおかげで馬車には当たってないようだ。

それほどダメージを食らった感じはしないけど、雷の魔法だからやっぱり痺れるな。


「大丈夫!?」


イゼリアが慌てて俺に駆け寄る。俺は大丈夫とだけ伝えて立ち上がる。


インプたちは不気味な鳴き声で上空を飛び回っている。

これでは剣が届かないぞ...


となると、魔法か。インプは確か、炎の魔法が弱点だったはずだ。

これだけ数が多いとグレンマでは火力不足か...?


「グレンマ!くっ、やっぱり距離が離れすぎててまともに当たんない!」


イゼリアが俺の代わりに答えを出してくれた。

グレンマを空中で飛び回りながらもインプは的確に回避する。インプに届く前に勢いがかなり弱まってしまっているのが原因だ。


よし、グレンマで火力足りないなら更に上の魔法、炎の上級攻撃魔法を使ってみよう。

ただ、あちこちに分散しているからひとまとめにしなくちゃならない。


「どう?このインプの群れなんとかできそう?」


ユミナが上空を見上げながら言った。


「ああ、多分。あのインプを1か所にまとめられるのなら」


「なんだ、それなら大丈夫。イゼリア!手伝ってよ!」


ユミナはイゼリアに声をかけてなにやら話す。


「わかったわ。じゃあ、早速...カルード!」


イゼリアが魔法を使うと空に透明な壁が出来上がり、インプが左右に移動できなくなる。

それに気づいたインプは次に上下に逃げようとする。


「カルード!」


そこですかさずユミナが上下に蓋をするように魔法で壁を作り、インプを完全に閉じ込めてしまう。


「さあ、やっちゃってー!」


ユミナが合図する。

今なら、絶好の的だ。俺は手をかざし、魔法を放った。


「レンゴク!」


直後、空を覆いつくすほどの炎がまとめられたインプを全て覆う。

強大な炎が収まった後にはお金と光の粒子だけがその場に残った。



「いやー、本当に助かりました」


「いえいえ、そんなに大したことは...当然のことをしたまでで、はい...」


馬車から出てきたのは1人の御者とそれを従えた中年女性だった。

背も腰も低い中年女性はペコペコと頭を下げる。

俺もその姿勢に応えてしまってお互いに頭を下げ続けた。


イゼリアがそのお辞儀合いの最中、中年女性の顔を目を凝らして見る。


「ん?あれ?叔母さん...?」


「あら、イゼリアちゃん!」


まさかのイゼリアの親戚だった。


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