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星空の下で

「日も落ちてきたし、今日はここで野宿かな」


砂漠を超えてしばらく進んでいたが、目の前のペネリート山が近くなる様子は一向にない。

どうやら想像以上に距離があるようだ。


「野宿ですか!わぁ!私、野宿なんて初めてです!」


ハルが馬車から飛び降りてはしゃぐ。


「野宿か、なんだか久しぶりだわ。あんたと旅する前はよくやっていたんだけど」


イゼリアも馬車から降りて言う。その言葉通り、イゼリアは慣れた手つきでそのあたりに落ちている木々を拾って焚火の準備を進めていく。


「馬車があるから寝るならこの中でいいかもね」


俺はユミナの言葉に頷く。ある程度地面に敷く布はあるが、わざわざ外で寝る必要はない。

少し硬い床でも、地べたよりはマシだろう。


「でも、馬車の中って4人で寝るとなると結構狭いんだけど」


焚火の準備を終えたイゼリアが馬車を指さして言う。

確かに、それなりに広い馬車をもらったとはいえ、寝るとなるとかなりキツイな。


イゼリアも、以前のことを考えると言い方こそ優しいがやっぱり俺と近くなるのが嫌みたいだ。

まあ、イゼリアが至極当然の反応なだけで全く気にした表情もしないハルとユミナが年頃の女の子として心配になるが。


「大丈夫でしょ!慣れたらいけるいける!」


ユミナが親指を立てて、イゼリアに特に根拠のない説得をする。


「慣れたらってなによ!?嫌なことは嫌よ!ってああ、別にあんたのことがどうとかじゃなくてね...」


イゼリアはユミナに突っ込んだ後、慌てて俺のフォローをする。

大丈夫だ、それが普通なんだ。俺の世界で考えたら、犯罪も同然のっていうか犯罪そのものである絵面だからイゼリアはとても正しい。俺は微笑みながらイゼリアに顔を向け続けた。



結局、馬車の中で4人とも寝ることになった。

イゼリアは長く葛藤していたが、俺への罪悪感から覚悟を決めたらしい。


焚火を囲んで夕食を行った後、俺たちは馬車へ入った。

俺とイゼリアはお互いに端っこ、俺の隣にはハルで、イゼリアの隣にはユミナという位置関係になった。


「や、やっぱり...狭いわね...」


当然だ。座るならまだしも、寝るとなると何倍も場所を取る。しかも、各々の荷物を馬車に積んであるから余計に圧迫感がある。


「私はこのぐらいの方が安心します!」


ハルはなんだか満足げだ。俺の隣でウキウキしているのがすぐにわかる。

逆にイゼリアはここからでも眠れそうにない緊張した様子が伝わってくる。


「すーすー」


ユミナはもう寝息を立てて寝ている。寝つきが良すぎるぞ...


「うーん...」


イゼリアはなおも寝れそうにない。

俺は起き上がって、外に出ることにした。


「ちょ、ちょっとあんたどこに行くの?」


「目がさえちゃって。少し夜風に当たってくるよ。先に寝てて大丈夫だから」


「...ありがとね」


馬車から出る直前、イゼリアのそんな声が聞こえた気がした。

外に出て、すぐに俺はハルがいることに気づく。


「えへへ、なんだかすぐに寝るのがもったいなくて」


そういえば、俺が出ようとしたとき、反対側から誰か出ていったような...

俺は思わず笑いが零れる。


「はは、悪い子だ」


空は満点の星空だ。

俺とハルはそんな星空の下で話し込んだ。


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