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想定外の戦い

「来ちゃった♡」


ユミナはウインクしながら言った。

予想外の出来事に俺は固まる。


な、なんでユミナがここに!?


イゼリアとハルは知っているのか!?

俺は観客席にいるイゼリアとハルを見る。

イゼリアは呆れたような様子で、ハルは目をまん丸にして舞台にいるユミナを見ていた。


案の定、どっちも知らなかったみたいだ。

当のユミナ本人はそんな様子を知らぬ態度で観客席にいるイゼリアとハルに笑顔で手を振っている。


「準備いいなぁ!始めなぁあああ!」


俺たちの困惑が収まらぬうちに開始の合図が響く。

ええい、細かいことは後だ!俺はとにかく勝たなければいけない。今はこの試合に全力で取り組む。


「おっし、じゃあ全力で行かせてもらうよー」


ユミナは腰に差した剣を抜くと一直線に向かってくる。だが、前に見たユミナの動きよりも格段に遅い。


全身の装備が仇となっているのか!

これならステータスなんて関係なく避けられる!


ユミナの攻撃を避け、俺はユミナへ反撃する。

しかし、その反撃は空を切る。避けられた!?


目の前にはユミナが着ていた鎧と剣だけがあった。


「囮を使ってある程度注意を絞らせてもらったよ!」


背後からユミナの声がする!

しまった、早く振り向かないと…


俺はできるだけ素早く剣を持ち直して背後へ攻撃する。背後に見えたユミナは手をかざしていた。


「カルード!」


直後、俺の剣は透明な壁にめり込む。壁はそのまま破壊できたものの、明らかに勢いが落ちる。

カルード!物理攻撃を少しだけ耐えることのできる壁を作り出す魔法だ!


ユミナは俺の攻撃を楽に避ける。

更に、手を前にかざしていた。また魔法か!


「ディレイ!」


ユミナはニヤリと笑う。かかったのを確認するとユミナは身軽になった身体で後ろへ大きく下がる。


「よっしゃ、成功!ジルの剣は速すぎるからね、少しはあたしでも見えるようにしてもらわないと」


ユミナはガッツポーズする。

どうやら本当の目的はディレイをかけることにあったらしい。最初の攻撃は明らかに遅く、俺はユミナが普段装備していない鎧や攻撃をしてくる剣にしか目がいってなかった。


当然、そこにいるものと思い込んで俺は剣を振った。

しかし、ユミナは瞬時にそれらの装備を脱ぎ捨てて俺の視界外の背後に回った。

センスのおかげて反射神経が常識外まで上がっているが、そもそも見ていないものには反応しようがない。


慌てて、背後のユミナを対処しようとしたところでユミナはそれを読んで今の通り見事にディレイをかけられてしまったというわけか。


想定外の事態にはどうにも弱いな…


「まだまだ、こんなもんじゃないよ!」


ユミナは見えないなにかを引っ張り上げる。

すると、ユミナが脱ぎ捨てていた鎧たちが宙に舞った。ユミナの手元を見て目を凝らして見ると透明な糸が太陽に反射して見えた。


あれで引っ張り上げたのか!


だが、上げたところでなにが…

兜や鎧の中から無数の剣や槍に斧といった多種多用な武器が降り注いできた!


「どうよ!これこそジルのポーチを密かに調べて、それを基に作った仕込み鎧よ!」


ユミナのここ一番の大技だろう。普通なら諦めるレベルの物量だ。


だけど…



「ユミナ、ごめん」


俺は剣を目一杯扇ぐように降る。

その勢いで暴風が巻き起こり、上から降り注いでいた武器は全て吹き飛ぶ。


「ウソ!?」


ユミナは動揺して硬直する。



俺は距離を詰めるために走り出す。結構距離があるな…。はやさが半減されているから、本気で走ろう。本気で走るのなんてハルと出会った草原以来だ。


はやさは半減されていてもステータス上は127以上はある。十分なはやさだ。


あっという間に俺はユミナの背後に回りこみ、剣を当てる。


「ユミナ、俺の勝ちだ」


「うーん、敵わないなー。降参!」



ユミナは両手を挙げて降参の意を示した。

その瞬間、会場が沸き上がる。


「勝者!期待のおっさん、ジルだあああ!」


新人要素を消されてしまったものの、無事にユミナに勝利することができた。


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