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砂漠を超えて

「あっづー」


ユミナがたまらずに声を上げる。無理もない。本当にうだるような暑さの中に俺たちはいるのだから。

ここは、砂漠。俺たちはトウシン目指して、終わりが見えない砂漠を歩いていた。


ダナメ村を出て、東へ真っ直ぐ行くとトウシンに着くことができる。

途中にある広い砂漠を抜けられた後に。

これがゲームの広さとしては2画面分くらいでゲームでも長い間歩かされた。


「これも修行これも修行...」


イゼリアはぶつぶつとなにか独り言を言い始めた。

暑さにやられちゃってるんじゃ...


「砂漠が暑いってことは本を読んでて知ってましたけど、ここまでなんて。実際に体感することができて嬉しいです。でもそれ以上に辛いですー!」


ハルも、旅のわくわくよりも砂漠の辛い部分の方が勝ってしまっているような状況だ。


そして、俺自身は鎧を着ているんで全身を炙られているような気分だ。

ただひたすらに無心で先頭を歩いていた。


意識も朦朧としてきた。だが、ぼやけた視界の奥に建造物が映ったのがわかった。

俺の意識はみるみる回復して、視界をはっきりとさせてもう一度見る。


見間違いではなさそうだ。高い外壁に囲まれた建造物、いや街がある。

あれが、トウシンだろう。


「みんな、あと少しだ」


「ん?おー本当だ」


ユミナはまだ余力があるの顔を上げて確認する。

しかし、イゼリアとハルからは返事がない。


不思議に思い、2人に目を向けると倒れているのが見えた。


「イゼリア!ハル!」


俺は2人に駆け寄る。


「まずいねこれ。とにかく、はやくあの街まで行かないと」


「ああ!俺はイゼリアを背負うから、ユミナはハルを頼む」


「了解!さっさと行こう!」


それぞれ背負った後、俺とユミナは暑さのことなど忘れて全力疾走でトウシンへ入って行った。



トウシンに着いた俺たちは何よりもまず、宿を取ってハルとイゼリアをベッドへ寝かせた。


「水だ!ここで手に入る水をありったけ!」


「ここのは高くなかったっけ?」


「そんなこといいからとにかく買える分を買ってくるんだ!」


俺とユミナは構造もよく知らない街中を駆け回って水をありったけ手に入れた。


水を持って宿に戻ると、イゼリアとハルは目を覚ましていた。

だが、明らかに顔色が優れない。


「あれ?私、どうしたの...」


ハルが意識もはっきりしないまま言う。


「倒れたんだ、2人とも。暑さにやられたんだろう。水を買ってきたよ。できるだけ飲むようにしてくれ」


俺は2人のベッドの横に買ってきた革袋に詰めた水を置いていった。


「あんた...ありがとう」


「しばらく2人ともゆっくりしていてくれ。俺は少し用があるから」


2人を看病したいところではあるが、俺はこの街で行われる闘技大会に登録しなくてはいけない。

そして、聞こえてきた話によると、この闘技大会には話に出てきていたもう1人の勇者が出る。どんな人物かはわからないが、仮にも勇者。勝ち進んでいけば当たるだろう。


登録の締め切りまで時間がなさそうなので、俺はユミナに2人の看病を代わりに頼み、急いだ。


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