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聞き込み収穫

「勇者様はなぁ、若い人だけど情熱にあふれた人だったよ」


続けてそのまま、俺とハルは勇者に会った村人に話を聞いていた。

どんな人物かできる限り知っておきたかったからだ。


「最近、湖の洞窟に住み着いていたウーロイ、勇者様が親身になって解決してくれてな」


「!」


早速、近場の話が出てきた。というか、解決?


「あれが双子のウーロイでなぁ」


「え!?」


勇者の情報云々の前に自分にとって驚きの情報が入った。

魔物に双子とかあるの!?だから、湖の洞窟でもウーロイがいたのか!


「1匹はシートレまで行って、勇者様が倒してくれたらしくて」


「それって...」


俺はハルの口を手で制す。ここは静かに聞いてみようと目で訴える。

ハルも渋々ながら頷いた。


「もう1匹のことを話すと、わざわざ湖の洞窟まで行ってくれてなぁ。無事に倒したよって報告してくれたよ。お礼がしたかったけど、そのことを話すとトウシンに急ぐからってさっさと行っちまったんだよ」


湖の洞窟には先に来ていたのか。それで、宝箱が空だったんだ。

でも、ウーロイは2匹とも俺たちが確実に倒した。

少し、怪しくなってきたな。勇者のこと。


「お話、ありがとうございます」


「俺がこんくらいだ。旅人さん、あんたも勇者様みたいな旅人になりなよ」


村人は去っていく。

尊敬は確実に集めているな。


「ジルさんの名声を利用している悪い人ですね!お話に出てきた勇者さんは!」


周りに人がいなくなるとハルはプンプンと怒り出す。


「確かに、ここまでの話を聞くとそんな人に聞こえてくるね」


「聞こえてくるって、どう考えても悪い人じゃないですか!」


ハルは訴えかけてくる。

俺は少し、考えてハルを諭す。


「人の良し悪しってね、他の人からの情報だけで判断しちゃ絶対にいけないんだ。たとえどれだけ悪名高くても、名声があったとしても。直接会って、話してその上で自分がどう感じたか考えてから決めないと。人って本当に複雑だから、単純な情報だけじゃわからないんだよ」


「う、うーん。難しいです...」


「ははは、もうちょっとわかりやすく言った方がよかったね。とにかくまあ、誰かの言葉だけで判断してはダメってことだよ」


砕きすぎたかな?

でも、まだハルは子どもだしあれこれ吹き込むものでもないしな。わからないくらいがちょうどいいのかもしれない。


「さっきの人よりも勇者のこと知っていそうな村の人はいなさそうだし、宿に戻ろうか」


「はい!」


ハルはどんな時でも返事は元気だ。



宿屋前に着くとイゼリアとユミナもちょうど着いたところだった。


「おー、もう着いたのか。聞き込みはどうだった?」


イゼリアはギギギと音がなりそうなぎこちなさでこちらに顔を向ける。

反対にユミナはスムーズな動きでこちらに近づいてきた。


「見て見て!ここの武器屋にいる職人、いい仕事してるよぉー!特にこの槍がすごくてさ!買ってきちゃったぁー!」


「ぶ、武器屋は勇者が訪れそうだから行っただけで別に魔導書や杖を見たかったわけじゃなくて、でもでもこの魔導書は新しい魔法の参考になりそうで、それならあんたの旅の役に立つし、決して全くの無駄じゃないのよだから、...」


嬉々として話すユミナと、申し訳なさそうではあっても時折持っている魔導書を嬉しそうにチラチラ見るイゼリアの2人にはつい言葉が出てしまった。


「2人とも、いい収穫があってよかったね」


素直な気持ちと怒るに怒れない複雑な気持ちが半々になった言葉だった。


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