湖の洞窟にて(その3)
ここにあったはずの宝箱がない。
ということは…
「誰かに先に開けられちゃったんでしょうか?」
ハルが俺の考えを言う。
あるはずの物がない以上、そうとしか考えられないよな。ゲームでは、気にしたことなかったけど勇者以外の誰かが来る可能性なんていくらでもあるよな。
「先を越されちゃってたかー」
ユミナは残念そうだ。
「商人だからってちょっとガッつき過ぎじゃない?」
「イゼリア、これは商人とか関係ないよ。あたしはなんでも一番乗りが好きなだけ。まー、ただの性格よ」
「どうでもいいけど、ここが魔物の棲家ってことちゃんと頭に置いときなさいよ。なにがいるかわかんないんだから」
イゼリアが再度注意するが、ユミナは手をひらひらさせてへーきよーとしか言わなかった。
さっきの戦闘では瞬時に連携が取れていたのに、普段の性格でこうも食い違うんだなぁ。
人間、難しいものだ。
「とりあえず、戻って行ってない方の道にいってみようか」
俺は少し強引にまとめて、来た道を戻ることにした。
宝箱は取られていたが、ここまで来たのなら元々ウーロイがいたはずの場所はもう少しだ。
◇
戻って、俺たちはもう一方の道を進んでいった。
そこからは、特に長くもない一本道だった。
そう時間もかけずにウーロイがいた場所、の前にたどり着いた。
前、というのは道が行き止まりになっているから先に進むことができなかった。
「ここで終わりかしら。この洞窟は」
イゼリアが壁に手を当てて言う。
そうだな、どう見てもそう思うよな。
「いや、ここから進めるよ」
だけど、俺はイゼリアの言葉を否定する。
そのまま俺はポーチを漁って、進むためのアイテムを探し始めた。
実はこの壁は魔力によって作り出された強固な偽の壁だ。つまり、これを壊すことができれば先に進めるが、ちょっとやそっとの力じゃ壊せない。ということをダナメ村で判明させる。
俺はそんなこと元々知っていたので、壁を壊すためのキーアイテムをシートレで補給する時に買っていた。
そのアイテムを俺はポーチから出す。
そう、このファンタジーな世界にはそぐわないし、ゲーム中でもなぜか当たり前のように売っている代物…
ダイナマイトだ!




