湖の洞窟にて(その2)
「結構奥まできたわね」
イゼリアが言葉を漏らす。
ここに入ってボスのいる場所まで半分といったところだろうか。
「洞窟ってこんなに入り組んでるんですねー」
ハルが言う通り、中は分かれ道が多くて道を覚えるのが大変だ。
ゲームでは入ったことのあるダンジョンだけど、ゲームは見下ろす視点だった。
主観の視点で見たら、これが全く別のダンジョンへと変わる。
ゲームのマップを思い出しつつ、目の前の情報と照らし合わせながら進んでいかないと。
「お、また分かれ道みたいね」
先頭のユミナが2つに分かれた道の前で止まって指をさす。
左は先にまた分かれ道があり、もう一方の右は見た限りではそのまま一本道が続いている。
「どうする?どっちに行く?」
イゼリアが訊いてきた。
そうだな…
俺は考え込む。この構造、俺は覚えている。
確か、分かれ道がある方にはどちらも宝箱が…
「左に行こう」
「余計に入り組んだ道に行きそうだけど?」
イゼリアは率直な質問を言う。
俺は大丈夫とだけ言って先頭に立って左へ進み始めた。
◇
「ライゴウ!」
「ギ!」
道中、襲ってくるウコを魔法で片付ける。先頭に立ったのは前からの攻撃を全力で迎撃しやすいからだ。
この世界で魔法がどれほどの範囲かわからない以上これが確実だろう。
「あんた、迷わずこっちに決めてたけどここのこと知ってるの?」
イゼリアはウコの残骸(お金)を集めながら言う。
「えーと、まあちょっとね」
説明しづらいなぁー。
「ん?あれは、宝箱!あたし1番乗りー!」
「ユミナさん欲望に忠実すぎません!?」
ユミナが宝箱の影が見えた瞬間に一気に先頭の俺を追い越すほどのスピードで走っていった。
「おーい、落ち着いてー!?」
俺は呼び止めるが、聞いちゃいなかった。
急いで俺たちはユミナの後を追った。
そう時間もかからずユミナには追いつくことはできたが、ユミナが立ち尽くしている。
「ユミナ、どうした?」
「こ、この宝箱、空なんだよー!?!?!空っぽの宝箱なんてこの世で最も無意味な物体なのにー!」
ユミナは頭を抱えながら絶叫する。
ここで宝箱を開けたことはないのに、なぜ宝箱が空いていたんだ?
俺は3人を引き連れてもう一方の宝箱がある分かれ道へと向かった。
だが、そこでも宝箱の中身は入っていなかった。




