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湖の洞窟にて(その1)

明かりがさし込んで水たまりがそこかしこにある洞窟を俺たちは進んでいく。


「ここになにかあるのかしら?」


ユミナが聞いてくる。俺はわからないとだけ答える。

ここは湖の洞窟。俺たちはシートレで補給をした後、ダナメ村の近くにある湖の洞窟にやってきていた。


シートレからさほど距離はなかったし、消費もほとんどなかったからダナメ村には入らず直接ここに来た。


俺がシートレで倒したウーロイ。本来はここで戦うはずだったボス。

ならば本来いた場所はどうなっているのか。念のために俺は調べに来ていた。


「水が反射してきれいな洞窟ですねー」


湖の洞窟はその名の通り湖に隣接する洞窟だ。

洞窟の内部は湖から流れてきた水がところどころ漏れる光で反射してかなり明るい。


こんなに明るい洞窟だから、明かりも必要なくて助かる。


「ここは明るいから、気を付けた方がいいわ。私たちがよく見えるってことは魔物からもよく見えるってことだから。いつ見つかってもおかしくない」


イゼリアは特に警戒していた。そう、ここはもう魔物の棲み処。

俺も油断しないようにしないと。


ユミナはガンガン前に進んでいく。恐れないなこの子。

ハルはイゼリアの言葉を聞いて何気なく一番後ろにいる俺の傍に来る。怖くなっちゃったかな。


「ア!」


「おっとぉ!」


突然、岩陰からなにかがユミナを襲った。ユミナはそれを持っていた剣で受け止める。


あれは、ウコか!

ウコはウーロイから剣をなくした魚人だ。要するになにも装備していない魚人の最下級魔物だ。

ここではよく出る魔物のはずだ。


「ク!」「ア!」「ソ!」


3体のウコが岩陰から姿を現す。


「早速来たわね!」


ユミナは構える。イゼリアも青い玉の杖をかざす。


「あんたはハルを!私がやるわ!」


「んじゃあたしはイゼリアのサポートやるよー」


イゼリアは「任せた!」というと集中し始める。

ユミナはイゼリアの盾になるように3体のウコと向かい合う。


「イゼリア、魔法使いだよね?それならんー、コラチ!ほーらほら、あたしはこっちだよ」


魔法を唱えたユミナは手招きしてウコへ挑発をかける。

コラチは、ゲームではエンカウント率を上げる魔法だったはずだが...

なぜか戦闘でも使える不思議な魔法だった。


「ヤ!「コ!」「ナ!」


ウコは一直線にユミナの方へ攻撃を仕掛けていく。

まさか、戦闘中に使うと自身へ魔物を引き寄せる効果になるのか!?

一人旅のグランワールドでは全く意味がない魔法じゃないか!


ウコはユミナへ一斉に襲い掛かるが、ユミナは軽く避ける。しかし、反撃はせず避けることに徹する。


「いけるわ!ユミナどいて!」


「わかったー、よっと!」


ユミナは後方に大きくステップしてイゼリアの背後に立つ。


「狭いから力の調節が難しかったわ。ライゴウ!」


ライゴウ、中級雷魔法だ。

これが前のグレンと一緒ならみんなくらってしまう!


「「「ギ!!!」」」


しかし、目の前にいるウコだけがイゼリアの魔法を受けていた。


「時間稼ぎをしてたのって...」


「そう、こんな洞窟内じゃ危なくて範囲の広い魔法をそのまま使えないもの」


イゼリアは杖をしまい込んで言う。


「範囲とか威力の調節は効くけど時間が必要なの」


「だから、あたしが時間稼ぎを買って出たってわけー」


まだ出会って間もないのに、一瞬でできたのか、今の連携を...


「少しは認めてもらえたかしら?」


イゼリアは俺の顔を伺う。

認めるもなにも、最初からすごいと思っているんだけどな。


「!」


瞬間、ユミナとイゼリアの背後から2体のウコがまた新しく岩陰から飛び出してくるのが見えた。


「危ない!」


「きゃあ!」


「おお!?」


俺は2人を突き飛ばしてウコの攻撃を正面から受ける。

いた...くない!流石まもりもカンストだ!


俺は瞬時に剣を引き抜き、横に薙ぎ払う。

ウコたちは真っ二つになり光の粒子となっていく。


「大丈夫か!突き飛ばしてごめん!」


俺は2人の安否を伺う。


「やるねー」


「やっぱり、あんたにはまだまだ敵わないな」


ユミナとイゼリアは2人とも苦笑して言った。

な、なんだ?無事ならそれでいいけど、どうしたっていうんだ?


知らない間になにかやってしまった感じがあった。


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