新たな仲間
ユミナの店の品揃えは確かに価値がある武器ばかりだ。
ゲーム終盤の町でしか手に入らない武器がたくさんある。
ユミナの話は本当なのがうなずける。
「うーん」
けど、やっぱり俺の今の装備が最も強い武器である以上、これよりいい武器は見つからない。
わかってはいたし、なにより単純に自分が知らない店がどんな品揃えか気になっていたからつい来てしまったというのが本音だ。
「あまりピンとこない?」
「ああいや、俺の持っている剣がね...」
俺は腰に差している剣を指さす。
「この鞘にあるの、勇者の紋章!? ちょっと見せてもらっていい!?」
「いいよ」
俺は剣を取り外してユミナに差し出す。
ユミナは生き生きした様子で俺の剣を手に取る。
「この剣、あたしが今まで見てきたどんな剣よりも完成されてる...こんな剣があるなんて...」
ユミナは「ゆうしゃのけん」を細部に至るまで調べる。
商人として、惹かれる要素があるんだろうな。
「ちょっと待って...この剣に勇者の紋章があるってことは...あなた勇者!?」
「ええっと...そう...だよ?」
俺は言葉に詰まりながらも返答する。
シートレの発行所の件を思い出すとどうもはっきりとそうだと言えない。
「やっぱり!あれ?でも、あたし勇者はもっと若いって聞いていたんだけど」
「そ、そのことなんだけど」
俺は勇者と名乗っている誰かがいることを告げる。
その人物と自分、どちらが本物かはっきりしていないということを加えて説明した。
「自分が本物かどうかわからないの?変な自称勇者ね」
自称をつけないでくれ。なんか悲惨な感じが増す。
「ま、あなたが勇者かどうかはどうでもいいわ」
ユミナはあっさり切る。
勇者の役職、蔑ろにされ過ぎじゃないかな。
「それよりも、あたしが自信を持って揃えた武器よりも質のいい剣を見せられてあたしは燃えているのよ!」
唐突にユミナが気合を入れて言い始める。
「あたしね、商人としてまだまだとは思っているけどここで出している商品は職人さんと直接交渉して特に出来のいい物を買わせてもらって、どれも最高の物と思って並べていたの。だけど、あなたのその剣、いいや剣だけじゃないわ、鎧や指輪の細部に至るまで最高の品質の装備で身を包んでいるのがわかる」
そ、そこまでわかるのか。ユミナの目利きは本物らしい。
「あたし、まだ全然武器のことをわかっていなかったのかも。そもそも、商人として経験が足りていないんだと思う」
「十分商人として能力を発揮していると思うよ」
俺は素直な感想を述べる。
しかし、ユミナは首を横に振る。
「ううん、能力があっても知識がなければ効果的に発揮はできないし、逆に知識があっても能力がないと自分のやりたいことは実現できない。この2つを鍛えるには、経験あるのみ!なのよ!」
ユミナは向上心が豊富な女の子だな。
そういう前向きに取り組む姿勢は若いからこそだ。なにか助けになれればいいが。
「というわけで、決めた!経験を積むためにあたし、あなたの旅についていくわ!」
「は!?」
「ええ!?いきなりその結論はおかしくないですか!?」
俺は素っ頓狂な声を上げ、静かに聞いていたハルは反射的に大声で突っ込んだ。
こうして俺とハルの旅にまた1人加わることになる。




