サルガッソ
「え?3代目?」
俺は思わず聞き返す。
「あれ?知っているんじゃないの?」
ユミナはキョトンとした顔でさらに聞き返してくる。
「いや、その、サルガッソって商人が詐欺を仕掛けているって話を聞いて...」
俺は咄嗟にごまかした。
明らかに俺が知っている情報と食い違っている。
「詐欺!?って、ああ、そっちの方ね。そのサルガッソの方が有名なのはほんと不名誉なのよね」
そっち?どういうことだ?
「サルガッソってね、元々はあたしのおじいちゃん、初代サルガッソが立ち上げた商業組合なの」
「一つの組織だったのか!?」
「ええ、そうよ」
じゃあ、ゲーム内での詐欺をしてくるサルガッソは...?
「ちょっと説明がながくなるけど」
ユミナは話し出した。
「なかなか市場に出回るのが難しい職人の武具を広めたいって信条から集まった組合でね。おじいちゃん、人脈を駆使して辺境に住んでいるような職人の流通経路を確保して職人の高い品質の武具を安価に市場へ流すことに成功したの。それで、順調にサルガッソが色々な人に知られることになって、組織もどんどん大きくなったわ」
そんな優れた商人の総称だったのか。
ユミナは「けどね...」と続ける。
「組織が大きくなった分、悪いことを考える人も多くなったの。ちょうどあなたが言ったような詐欺を働く人とかね。サルガッソは高い品質の武具が売り。だから、サルガッソと名乗ってその信頼を餌に汚い金儲けをするのが組織内でどんどん広まった」
もしかして、ゲーム内で出会うのはその中の一人なのか。
「そんなこと繰り返されている内にサルガッソの評判は地に落ちたわ。二代目サルガッソ、あたしのお父さんだけど、この状況を収めようとがんばったけどダメだった。最後には解体宣言をしたわ」
ユミナはそっけなく語るがどこか寂し気だ。
「でもね、解体するぐらいならあたしが継ぐって思って継いじゃった」
「そんな簡単に継いじゃっていい物なのか?」
「だって、このままやられっぱなしで終わるのは悔しかったし」
ユミナはにやりと笑う。
「あたしが、本来のサルガッソの信条を守ってお客さんにきっちり売る。んで、売れて大丈夫だと信頼された時にあたしがサルガッソのことを教える!これで徐々に信頼回復!どうよ、このプラン!完璧でしょ!」
ユミナは親指を立てて自信満々に言う。
色々と穴だらけな気がするが、こんなにも真っ直ぐに夢を追う女の子には突っ込みがしづらいな。
「いいプラン、だと、思うよ!」
「でしょ!」
ユミナの笑顔が眩しい。
「だから、ほら買ってって!買ってって!」
まあ、とりあえず事情を聞く限り俺の知っているサルガッソとは違うようだし買っても大丈夫かな。
そもそもゲーム内で出るサルガッソはおっさんだったし。
「うーん、この杖もいいし。あ!この杖も!」
一方のイゼリアはというと、いつの間にか杖選びを再開して悩んでいた。
「イゼリアさん、結構すぐに気移りするんですね」
ハルは横で少し呆れていた。
まだ全然見ることができていないし、俺も見て行こうかな。
俺はイゼリアと一緒に武器を見始めた。ハルも時折加わりながら。




