大丈夫
ウーロイは時折二回行動をしてくる序盤にしては手数が多いボスだ。
さらに、HPが減ってくるとポーションを使って回復もしたり、毒霧を吐いてくる器用さもある。
このウーロイ、シートレを出た先にあるダナメという村の近くにある湖の洞窟で出会うボスだ。
なぜここにいるかはわからないが、これ以上被害が大きくならないようにしないと。
目の前のウーロイから俺は目を離さない。来るなら来い。
そんな思いに応えたのか、ウーロイは一気に距離を詰めてくる。
そして剣の間合いに入った途端、1本しか剣を持っていないはずなのに四方八方から斬撃が飛んでくる。
ゲームで想像していた以上の手数と速さだ...!
「くそっ!とんでもないスピードだ!すまん!俺たちの...」
警備隊の人が心配してくれている。大丈夫、俺の予想通りだったから。
俺はウーロイの剣を全て的確に自分の剣で受けきる。
「な!!?」
そして、それら全てを今度は吹き飛ばさないように小突く程度で押し返す。
小突かれたウーロイは体勢を大きく崩す。
その大きな隙の間に俺はウーロイの胸目掛けて剣を力いっぱい振るう。
「...!!!」
ウーロイは苦悶の表情を浮かべ、よろよろと崩れて膝をつく。よし!致命傷を与えることができたみたいだ!俺は確かに手ごたえを感じた。
「あ、あの剣を軽々と...」
警備隊の人の声が後ろから聞こえる。こいつを倒して早く手当てしてもらわないと。
ウーロイは立ち上がり、鬼のような形相で俺を睨みつけてくる。
怒っている。次は何をしてくるかわからないぞ。
ウーロイはさっきとは比べ物にならないほどの速さで俺に近づいてくる。
また、正面から斬りかかってくるのか!?
俺は剣を構えた。
しかし、俺の眼前に来たウーロイは口から紫色の霧を吐きだした。
「!?毒霧だ!吸うんじゃない!あんた!」
これが毒霧か!さらに、ウーロイは毒霧の中から剣で斬りかかってきた。
微かに勝ち誇った笑みが見えた。
だけど、俺は毒霧なんかお構いなしにウーロイの剣を弾き飛ばす。
「!?!?」
ウーロイの笑みが一転してありえないといった表情になる。
だけど、ウーロイはすぐに立て直して剣を取りに俺に背を向ける。
俺は逃がすまいとその背中を追いかけた。
直後、ウーロイは立ち止まり即座に振り返って俺に鋭い歯を立てて喉元を狙った。
...!罠か!
「あぶねえ!」
だが俺はそれを紙一重でかわして、がら空きになった背中へ渾身の一振りを食らわせた。
「!?!?!?!?!?!」
ウーロイは声にならない声を上げて倒れた。
そしてすぐに、光の粒子となり金貨と剣だけがその場に残った。
「あんた、とんでもなく強い人なんだな」
「だから言ったでしょう。大丈夫だって」
俺は笑って答えた。




