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きっかけ

「おつかれーす」

「お先でーす」


定時で上がる後輩を尻目に俺は残っている仕事を片付ける。

この俺、田島照久34歳はいわゆる窓際族だ。


「田島くんさぁ、まださっき言った仕事終わってないの?」


上司の八木さんが俺に問いかけて来る。

無茶を言うな。定時直前に書類のチェックし直しを要求されてすぐにできるわけがないだろう。


「すみません。まだ時間がかかりそうです」


「はー!もう一個仕事頼もうと思ったのに!つっかえねーな!早く仕上げろよ!」


そう怒鳴って八木さんは自分のデスクへ戻っていく。


昔、この八木さんに反発したことで俺は今の場所に追いやられた。まともな仕事をさせてもらえず、定時直前には仕事を振られ、散々に嫌味を言われる日々を過ごしている。同僚や後輩からも腫物扱いだ。


結局、終電前にやっと仕事と嫌味から解放されて帰ることができた。どうせ、残業代もまともに着いていないんだろうな。


そんなのけ者な俺でも1つだけ楽しみがある。


「グランドワールド」


昔よくやっていたありがちなドットグラフィックのコマンドRPGだ。


久しぶりに最初からやってみると案外ハマってしまって毎日やるようになった。

あっという間にクリアしてやりこみもパーティのステータスを上げるだけになってしまった。


そして今日ついに、ステータスアップの種を主人公に与えて全ステータスをカンストさせた上で装備も最強の状態を作り上げることができた。


全てやり切った高揚感の反動で疲れてしまい、俺は少し目を閉じた。


ふと気が付くと時間が思っていたよりも進んでしまっている。どうやら眠ってしまったようだ。明日も早い。電源を切ろうと画面に目を向けるとこれまでやりこんできて一度も見たことがないメッセージが表示されていた。


<よくそ”かき”をあけてくた”さいました>


なんだ、これ?


<あなたはえらは”れしえいゆう>


なにか開発側からの特別なメッセージか?


<わたしたちをたすけて>

→はい

いいえ


よくわからないけど、ゲームの隠しイベントみたいなものだろうか。一区切りつけるために俺はとりあえず「はい」を押す。


その瞬間、目の前が真っ白な光に包まれた。

あまりの眩しさに目を閉じ、光が収まったところで再び俺は目を開いて驚愕した。


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