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~朝

「どうして?」


俺は思わず聞き返した。


「私ね、今日のあんたを見ていて思ったの。こんなに強い人と一緒に旅をすれば私ももっと強くなれんじゃないかって」


「いやあ、それは」


俺の強さはズルによるものだ。そんなやつのもとにいても強くなれなさそうだが。


「謙遜しなくていいの。私が素直に思ったことだから。それにね、勇者であるあんたに着いていけば魔物と戦う機会も増えていい修行になるし、世界中を旅するから自然と名が売れていく。だから、というかなんだけど、そういう下心もあって着いていきたいの。足手まといにはならないようにする。お願い」


そうか。俺自身がなにか特別なことを教えなくてもイゼリアは自分で修行できる場を見出していたのか。イゼリアは、今日は偶然に不意を突かれただけでかなり戦えるステータスを持っている。

それに、俺はこの子の抱えているものを解消する手助けがしたい。断る理由はないな。


「わかった。なにがあるかはわからないけど、これからよろしくね。イゼリア」


「うん、よろしく。ジル」



イゼリアはお辞儀を何度もしながら帰っていった。了承は得たものの、着いてくることと昼間のことで罪悪感があったようだ。

昼間ではキツいイメージがあったけど、こうして考えると筋が通った丁寧な人物だとわかる。


イゼリアが部屋から出て程なくすると、ドアがノックされた。

イゼリア、まだ気にしているのかな?


「もう気にしなくていいよ」


もう寝る姿勢に入っていた俺は立ち上がらず、一言だけ言った。


「そうですか!わっかりました!」


「え?」


ドアが勢いよく空き、ハルが俺のベッドにミサイルのごとく一直線に入ってきた。


「ハル!?どうしたんだ!?」


「私、やっぱりジルさんと一緒に寝たくて...だからつい部屋の前まで来てしまったんです」


ハルは切ない表情を浮かべる。寂しかったんだな。

なんだかんだ長く母親がいない生活だったんだ。まだ子どもだし、寂しくもなるだろう。

それで昼間にあんなことを...色々とマズイかもしれないが、ここで否定するとハルが可哀想だ。


「じゃあ、一緒に寝ようか」


「いいんですか?えへへ...じゃあ遠慮なく」


ハルは俺に寄り添ってきて、俺の腕を掴んだ。


「こ、こうやって寝てもいいですか?」


「ああ、大丈夫だよ」


俺は母親の代わりなんか到底なれないけど、こうやってハルの寂しさを紛らわせられるなら俺はなんだって喜んでハルのお願いを受け入れる。


ハルは俺の腕のもとで赤くなっていたが、とても嬉しそうだった。


「あ、イゼリアが旅に加わることになったよ」


「えぇ!?」


説明しているうちに夜が更けて、俺たちは眠ってしまっていた。


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