その夜~
夜、俺の部屋のドアがノックされた。
「はい?誰ですか?」
もう寝ようと思っていたんだけど・・・・・
誰なんだろうか。
「私。イゼリアよ。ちょっと話したいことあるんだけど、いいかしら」
イゼリア?どうしたんだろう、話したいことって。
「ああ、いいよ。入って来てもらって」
ドアが開いてイゼリアが寝間着姿で入ってくる。
俺は窓の近くに置いてあった椅子へ座らせ、俺はベッドに腰かけた。
「で、どうしたんだい?」
「その、今日はごめんなさい。私、自分の強さを誇示したいがために自分勝手だった。あんたに突っかかってたのも、あんたが勇者って聞いて魔物退治の機会を使って私の方が強いってこと証明したくて焦ってたの。それで、無駄な危険を晒してあんたにも迷惑をかけて。そのことを謝りたくて」
なんだ、そんなことだったのか。
「気にする必要はないよ。なにか事情があることは見て取れたし、そもそもあのぐらいはなんともないさ。ただ、教えてもらっていいかな。なんでそんなに強さにこだわるのか」
イゼリアは考え込む。長考になると思ったが、意外とすぐに話し始めてくれた。
「私が使った魔法、お父さんから教えてもらったって言ったわよね。私のお父さん、有名な魔法使いでね。難しい魔法もすぐに使えるようになる人で、さらには魔法の開発もできるから、お父さんはどんどん有名になっていった」
イゼリアの話はまったく聞いたことがない話だった。メインストーリーとは違うサブストーリーとは思った。しかし、グランワールドにはサブストーリーなんかなかったはずだけど。
「そうしてお父さんは魔法使いとして地位も名誉も手に入れていったんだけど、そんなお父さんに嫉妬する人たちが大勢いた。その人たちはお父さんの作った魔法を難癖をつけて、使い道のない魔法しか作らない役立たずの魔法使いという風潮を世間に広めた」
話しながら、よっぽど悔しかったんだろうイゼリアの目には涙が浮かんでいる。
「そんな風潮がが世間に浸透したせいで、お父さんの魔法は全然使われなくなった。お父さんは気にしなくても大丈夫って言ってくれたけど、私には納得ができないの...いつまでたっても。私は悔しかった、お父さんの魔法はすごいのに風潮のせいで誰にも使われないことに」
「それで、君はまさか?」
「ええ。お父さんの魔法を使って私自身の強さを世間に示すことによってお父さんの魔法は強いということをもう一度世に広めようとしていたの。だけど、今日のあんたのこと見て考えが変わったの」
俺の今日のことから、なにを見出したんだろう。
「あんたは私の知らない魔法や、知っていてもまったく上の威力の魔法が使えるほど強かった。それを見て思ったの。私はまだまだ弱い。だけど、私の目標はあきらめたくない。そこで、強くなるために修行を積もうと思ったの」
それはいい心がけだ。イゼリアはきっとまだまだ強くなる。
「それでね、ここからが本来話したかったことなんだけど...」
あれ?最初の話がメインじゃなかったのか?
「私を、あんたの救世の旅に連れて行ってほしいの」




