ミス
「ぷごるるるる...」
猪をそのまま肥大化させたような巨躯。間違いない、こいつがウリボンスだ。
ウリボンスは静かにこちらを見据えている。どうやら俺たちの出方を伺っているようだ。
「あ、あの魔物が村の人が言っていた魔物なんでしょうか...」
「そうだろうな」
ハルは俺の後ろで怯えている。
「やっと会えたわね!散々探し回った分は返させてもらうわよ!」
イゼリアは早々に杖を取り出して構えた。
「ちょ、ちょっとは様子を...」
「ウリボンスなんて狩り慣れてるからへーきよ!グレン!」
イゼリアは俺の言葉などお構いなしにウリボンスに向かってグレンを放つ。
一直線に炎がウリボンスを襲う。しかし、ウリボンスはそれを難なく回避する。
「なっ!?」
「イゼリア!このウリボンス、よく見ろ!額に目玉が着いている!明らかに普通じゃないぞ!」
「くっ、魔王の使いだったのね!」
グランワールドのボスで出てくる魔物は全て額に目玉が着いている。これは魔王が魔物を生成する際に、特に魔力を注いだ魔物の証だ。これらは魔王の使いと呼ばれ、同一の魔物よりも強く設定されている。
そして、魔王の使いであるこのウリボンスは特にはやさが突出している。
ゲームでろくに準備もしないままこいつと戦うと、延々と先制できつい攻撃をされて子どもは泣くはめになる。俺は泣いた。
「ぷごー!」
魔法を避けたウリボンスがそのままイゼリアに向かって突進してきた。
「はやっ...!」
おおよそ、その巨体からは想像できぬほどの加速力でウリボンスは凄まじい速さの突進だった。
イゼリアはすんでのところで避ける。
ウリボンスは速度を保ったまま、方向転換してまたもイゼリアを狙う。
「向かってくるなら!避けられないでしょ! グレン!」
だが、イゼリアは突進してくるウリボンスに対して果敢にもグレンで反撃をした。
だけど、それはマズイ!イゼリアが危ないぞ!
「へ?」
ウリボンスはグレンを真正面から受けた。しかし、無傷で勢いが衰えることなくイゼリアへと突進する。
「イゼリア!」
俺はとっさに飛び込んでイゼリアを抱きかかえて回避する。
「大丈夫か!」
「あ、ありがとう...」
すこし強引な助け方をして、恥ずかしがってはいるが無事みたいだ。
俺たちは素早く体勢を立て直す。
「でもあいつなんで、グレンが効かないの?今までウリボンスといったら炎の魔法が一番効いたのに」
「あいつは炎の魔法が効かないんだ」
そう。この魔王の使いのウリボンスは炎が効かない。通常のウリボンスは炎が弱点なのに。
実はこいつ、プログラマーの設定ミスで炎に完全な耐性が着いてしまっているんだ!




