強がり
「ありえない!こんな数値の人間、存在するはずがないわ!」
イゼリアは目に見えて取り乱す。
「ははは...」
やっぱり、こういうステータスだよなぁ。
「ほーら!やっぱりジルさんは勇者にふさわしい強さをお持ちの人でした!イゼリアさん、大人しくジルさんを認めましょう!」
なぜかハルが得意げだ。
「わ、私の魔法の調子が悪かったのよ!そうよ!そうに違いないわ!」」
「んな!?そんな子どもじみた言い訳が通じると思っているんですか!」
「知らない!そんなの私は知らないし!」
本当に子どものようなダダのこね方だった。
子どものような、ってまだ17だから子どもと言えば子どもか。
「とにかく、こんな数値だけで私はあんたを認めないから!森の魔物退治で私の方が強いってことを証明してやるんだから!」
そういうとイゼリアはどこかへ走り去って行ってしまった。
「行っちゃいました...」
「...俺たちは今日はもう宿屋で休もうか」
「なんだか草原を歩いていた時よりも疲れた気がします」
◇
翌朝になると、イゼリアは宿屋の前で既に立っていた。
イゼリア、昨日はどこまで行っていたのだろうか。無駄な体力を使っていなければいいが。
「来たわね」
「もう今から行く気なのか?」
「ええ、数値だけであんたより弱いと思われるのは嫌だからね。少しでも早く私の方が強いってことわからせたいから」
「微塵も認めようとしないのがすごいですね・・・・・・」
ハルは呆れている。
それにしても、随分と強さにこだわるな。イゼリアにとって大事な誇りがあるのかもしれない。
「そうか、でもまだどんな魔物が出るか聞いていない。聞いてから出発でも遅くないだろう?」
「そうね。昨日の渡し役の村人に話を聞いてみましょう」
俺たちは渡し役のもとへ向かい詳しく事情を聞きにいった。
最も、俺はもう知っているが。このイベントは船を動かすための初めてのボス出現イベントだ。
フィールド上の森の開いた場所にいるウリボンスという猪っぽい、というか完全にデカい猪のボスを倒して船を出してもらうという流れだ。
知りながらも事情を聞きに行こうと提案したのは単純にまた方向を見失って道を見失うのはもう嫌だったからだ。
◇
「ま、そういうわけなんよ」
「事情はわかったわ。私に任せるといいわ」
イゼリアが渡し役の話を聞いて快諾する。
「この海を背にしてまっすぐ行けば森があるから、そこに例の魔物がいる。まあ迷うことはねーべ」
特に迷う要素はなかった気はするが道もわかった。
俺たちは森へ向かった。




