2話 後編 討伐
敵のいるという洞穴に着いた。
確かに小人種や狼の足跡が残っている。
「ここで間違いなさそうだね。」
「どうする?私たちだけで突撃する?待ち伏せして後ろから狙うのもいいし。」
「……個人的には野外戦の方が得意だが、片付けるなら早い方がいい。」
俺の意見に同調したようだ、クワットも頷く。
「なら、進みましょう。中にいるのは丁度よく小鬼だけみたいよ。」
「首領がいる訳ではなさそうだな。」
小鬼は小人種の中では比較的知能は高いが、狼を飼い慣らすほど知能は高くないはずだ。
「そうだね。ボスは豚鬼の可能性が高い。でも、豚鬼が住処から動くなんて……何かあったのかな。」
洞窟はそう深くなかった。
少し進むと大きなベッドのようなものの上で戯れている小鬼が2匹いた。
小鬼達はこちらを見つけた途端、慌てふためき、逃げようとする。
1匹は俺の懐に特攻して来たので剣を横に構え、押し当てる。
自ずと首が取れた。もう1匹を仕留めようとすると、レジーに止められた。
「どうした?追わないのか?」
「どこへ行くのか気にならない?」
「……豚鬼の所へ行くかもしれないってことか。」
「かもしれないわ。」
小鬼は尾行に気づくほど賢くはない。相手からある程度の距離を保って追いかけていくと、村の近くの森に駆け込んでいった。
「まずいね……森の中だと小鬼を追うのは難しいだろう。」
「距離を詰めるか。」
もし尾行に気づかれたとしても目的地を変えることはないだろう。
森の中を数分歩くと、開けた場所に出た。
「あら……ここ村の真裏ね。仮の拠点と言ったところかしら。」
「クワット、見えるか?」
「ああ。さっきの小鬼と豚鬼1匹、狼が2匹だ。2人で戦うにはちょっと厳しいかもね。僕が戦えれば良かったんだけど……」
「確かにそうだな。クワットは残りの2人を呼んできてくれないか?」
「抑えきれるかい?」
「やってみせるさ。」
クワットは森を抜けていった。
レジーは笑いながら聞いてきた。
「本気を出すの?」
「この程度に?まさか。結界を張ることはできるか?」
「いいわ。やってあげる。」
瞬間的に開けた土地を抉った。
敵は突然のことに驚きを隠せていなかった。
「今だ!」
駆け出す。狼に剣を投擲する。
胴体に突き刺さる。
剣を胴体から引き抜き、その勢いで小鬼に切りかかる。
切り伏せる。小鬼は倒れる。この間わずか数秒であった。
豚鬼は怯んで動けないようだったが、狼は果敢に攻めてくる。
左腕に噛みつかれる。激痛が走る。
腰にある短刀を喉元に突き刺す。
豚鬼と対峙。体格差は二回り、左腕をまともに動かせない状況。
「レジー!ヘルプ!」
「なら大きく距離をとって。」
「了解!」
出せる限りの全力で走る。豚鬼は足が遅く、土地も窪んでいるので追いつくことはないだろう。
「いっくよー!」
天井の結界の一部が魔法陣へと代わり、巨大な鉾が召喚される。
「ブグォォァ!?」
豚鬼は断末魔の悲鳴を上げながら鉾に貫かれる。
丁度その時、3人が現れた。
「おおー。久しぶりに見たぜ。」
「ってリーデル君!腕に噛み傷が……」
「ああ。治療をたのむ。」
巨大な鉾は敵を蒸発させたようだ。魔力片すら残っていなかった。
「おお……ありがとうございます……これでこの村は救われます……」
村長は涙ぐみながら深々とお辞儀をした。
「少ないですが、これが報酬です。」
袋に入った金貨を手に入れた。500G程だろうか。
「いえいえ、また何か困ったことがあったらいつでも依頼を入れてください。」
セッテはにこやかに答えた。
消失、確認。
領域を狭める方法がこんな簡単なことでいいとは思わなかった。
今回でクワットの戦力が皆無であるとはっきりした。しかし、レジーの魔力は常人の倍、もしくはそれ以上だ。完全に消すのにはかなりの時間がかかりそうだ。
オトフィの実力を測ることが今後の課題か。