賢くて愚かな僕の一日
僕はガッルス・ガッルス・ドメスティクスの鳴き声で目が覚めた。うーん、今日も良い朝だ。
庭に出るとカニス・ルプス・ファミリアスが近寄ってくる。頭を撫でると嬉しそうに吼えた。
散歩に行こうと門を出た瞬間、目の前を黒いフェーリス・シルウェストリス・カトゥスが横切った。不吉だ。少しだけ気分が落ち込んだ。
カニス・ルプス・ファミリアスは早く散歩に行きたいのだろう。僕の周りをうろうろと走り回っている。そんな姿を見ていると元気が出てきた。
「よし!」
パシンと乾いた音が響く。頬がじんじんする。でも気合は入った。
「行こうか散歩」
カニス・ルプス・ファミリアスに引っ張られながら走っていると、どしんどしんと音を立てて歩くスース・スクローファ・ドメスティクスのような体型をしたホモ・サピエンスとすれ違った。
家に帰ってテレビをつけると、ちょうどエクウス・キャバルスのレースが始まるところだった。
疲れているのになかなか寝付けない。どうしよう。……そうだ! あの手があった。
オビス・アリエスが一匹。オビス・アリエスが二匹。オビス・アリエスが三匹。オビス・アリエスが四匹。オビス・アリエスが五匹。オビス・アリエスが……。
一見何がなんだか分からない小説ですが、登場するカタカナ名はすべて動物を学名で表したものです。
以下ネタバレ
ガッルス・ガッルス・ドメスティクス にわとり
カニス・ルプス・ファミリアス 犬
フェーリス・シルウェストリス・カトゥス 猫
スース・スクローファ・ドメスティクス 豚
ホモ・サピエンス 人間
エクウス・キャバルス 馬
オビス・アリエス 羊