プロローグー4「犯人は誰だ?」
『クーたん、良い報告と悪い報告があるんだけど、どっちから聞きたい?』
「もったいぶるな。そんなこと聞かずに両方話せ」
『むぅ……じゃあ良い報告からね。アリサの銃弾より先にボスの銃弾が当たった。わかってると思うけど弾速はアリサのより速かった。つまり狙撃銃での長距離狙撃ってこと』
「武器が分かったのが良い報告か? 俺でも簡単に想像できるぞ」
『違うよ。相手はボスの直線上、狙撃後に移動してるって考えたら大体3キロ以内の地点にいる可能性が高いってこと。その地点を探してみて』
クルスはカフカの指定された方向に移動しながらも少し悪態をついた。
「カフカ、俺に探せっていうけど、そこら辺の監視カメラをハッキングすればいいんじゃないか?」
『あ、それ悪いニュース。監視カメラの映像は全部ハッキングされてて、データ自体が抜かれてた。だからさすがのボクもお手上げなのですよ。壊されてたら復旧もできたけどね』
「そうか……いや、待てよ。大体の場所がわかれば熱源とかの反応を探れば」
『それもダメ。多分相手はジャミング装置を持ってる。あんな旧時代の遺物相手に負けるってのも屈辱だけどね』
カフカの言ったとおり、今やジャミング装置は過去のものとなっている。このデータ社会において、ジャミング装置は効果が絶大のように思われる。
だが、それは大きな間違いだ。今、人の体内にはナノマシンを組み込むことが義務付けられている。ナノマシンからはGPS信号や、個人の健康状態などを管理した信号が常に政府に向けて送られている。
さらに、ナノマシンには体内の病原体を駆除する働きもある。現代人は病知らずなのだ。
つまり、このナノマシンは自身の存在を政府に知らせていると同時に、所有者の健康状態を守ってくれているのだ。
もしこのナノマシンに少しでも異常が起これば、政府の組織が速やかに対象者を回収に向かう。要するにジャミングを使うと、すぐさま政府に自らの存在がばれてしまう、ということだ。
「相手はナノマシンを入れていない……ってことか?」
『たぶんそうなるかも。とにかく、ボクは何か証拠が残ってないかもっと調べてみるから、クーたんも捜索よろしくね』
了解、と返事したクルスは捜索に戻った。
だが、1時間以上探しても何も見つからず、結局何もわからないまま引き返すこととなった。