一話 序
初めての連載です。よろしくお願いします。
昔々の遠い昔、まだ妖魔が闊歩していた頃。
雪のように真白な鬼がおりました。
その鬼についている色といえば、瞳の金色だけ。
皆さんもご存知の通り、妖魔といえば黒っぽい、或いは派手な色をしているもの。
その中で、雪のように白い鬼は大層目立ちました。
白い鬼はとても強く、物珍しさから面白がって襲ってくる他の妖魔や、白く長い髪や綺麗な角を狙う人間達を、さして苦労せず追い払ってきました。
しかしある時、白い鬼は悪戯好きの魔女に捕まってしまいます。
「きにいらない、きにいらない。そのしろいいろがきにいらない。きんいろのひとみはもっときにいらない。しろいかみとしろいつのはとてもきにいらない」
白い鬼は魔女によって、金色の瞳、白く長い髪、綺麗な白い角、おまけに力の源である腕を奪われてしまいました。
「しろいおによ、おまえからうばったものはにんげんにくれてやったぞ」
そう言って愉快そうに笑う魔女から逃げ出して、白い鬼は探し続けるのです。
金色の瞳を持った人間、白く長い髪を持った人間、綺麗な白い角を持った人間、強い力を持つ腕を持った人間を。