崩れ
回想回です4話早めに書きますので。
以下十三の隊を崩災寺時雨討伐隊とする
<主要戦闘隊>
零番隊 隊長兼最高指揮官 戦原 定
副隊長 有川 冬
一番隊 隊長 津村 勝弘
副隊長 穂利川 回
二番隊 隊長 千舟
副隊長 望月 怜
三番隊 隊長 鏡崎 統
副隊長 伊藤 雷
<特殊工作隊>
四番隊 隊長 青村 褥
副隊長 千田 王権
五番隊 隊長 最上 章
副隊長 楽川 橋
六番隊 隊長 二階月 入亜
副隊長 伊平 愁
<射撃隊>
七番隊 隊長 当麻六月
副隊長 二龍崎 倉
<狙撃及び射撃隊の援護担当の隊>
八番隊 隊長 下田 塁
副隊長 初元 来道
<全隊の援護>
九番隊 隊長 流島 府ニ
副隊長 宇野 俊明
十番隊 隊長 基坂 魚助
副隊長 力崎 剣山
十二番隊 隊長 紫両
副隊長 矢形 鉄
<救護隊>
十三番隊 隊長 流御坂 了
副隊長 作戦直前に大怪我を負った為除名
「お前食い過ぎやろ」
有栖は新沢に言った。当然だ、食べた皿の量がもの凄いことになっていて先程から周りの視線が痛い。店員ももう食わず帰れにという無言の重圧をかけてきている。
「もう無理」
新沢は苦しそうな声で言った。春はやっと帰れると思い側にある鞄をとった。有栖は溜息をつきながら財布を出した。その財布はとても可愛く、お世辞にもセンスが良いとは言えない有栖が持っているものでは…ん?待てよあの表面の傷まさか…
「先輩それ…」
春は尋ねた。有栖は耳に入っていないのか中から紙幣を出している。
「春ちゃんちょっと貸し…」
有栖は言いかけたが春は彼の足を思い切り蹴った。そして言った。
「嫌です。奢るって言いましたよね?」
春は笑みを浮かべた。有栖は救いを求めるように新沢を見た。新沢は眠っていた。有栖は諦めたのか会計に行った。
「有栖先輩災難ですね」
外に出て春は言った。外はまだ少し寒かった。
「そうだね…」
有栖は言った。有栖は何か魔法を詠唱した。すると少しだけ暖かくなった。
「そんな薄着で風邪引かないでくださいよ」
有栖は笑って言った。周りの人は有栖の魔法に気付いていないようだった。春は疑問に思ったことを有栖に聞いた。
「有栖先輩に魔法を教えた師匠って誰なんですか?」
有栖はその言葉を聞いて少し笑みが無くなった。有栖は後ろを見て言った。
「”いない”ね分かった良いよ」
有栖は言った。そして続けた。
「僕に魔法を教えたのは崩災寺時雨、世界最強の魔法使いだよ」
春はその言葉を聞いて思った。ありえない、だってその人間は確か––––––––
「新沢君が来てないね。行こ」
有栖は笑って言った。だが目は笑っていなかった。
新沢はふらふらとこっちに来た。有栖は肩を貸した。
崩災寺時雨–––––––この男は10年前に生ける災厄として討伐された。確か有栖先輩は大学棟のラストの学年で年は20とちょっとだったと思う。そんな先輩が時雨と?頭の中にたくさんの疑問が浮かんだ。
「ああそう崩災寺時雨という人間は死んでませんよ」
有栖はまるで春の疑問に答えるかのように言った。だが春には言われた意味が分からなかった。じゃあ何故社会の本にもニュースでも死亡扱いになってるの?春の頭にたくさんの疑問が生まれた。
「そんなに気になるのなら会いに行きます?ここから近いし」
有栖が言った。春の頭はまだ混乱したままだった。そして春の気は遠くなっていった。
春が気付くと春は椅子に座っていた。新沢と有栖も同じであった。新沢は寝ていて、有栖は座って前の暗闇を見ていた。周りを見渡すと所々から植物が生えていた。窓にはヒビが入っていて、机も使い古された感じであった。立ち上がって机を見る。机の上に何枚かの紙があった。手にとって見る、だが良く分からなかった。
「崩災寺時雨討伐計画概要」
暗闇の中から声がした。春は前を見る。前から一人の男が歩いてきた。その男は袴のようなものを着ていて侍のようであった。手には錫杖のようなものが握られている。見た感じ年齢は40代であった。
「お久しぶりです、師匠」
有栖は言った。新沢も目覚めて時雨を見ていた。その目は新沢には珍しい恐怖の目であった。時雨は笑って春に言った。
「春、知りたいことがあれば言いなさい」
その語調はとても優しく、災厄とは思えなかった。というか何故名前を知っているの?
「何故貴方は生きているのですか?死んだのでは?」
春は尋ねた。時雨は天井を見つめていた。
「それが知りたいのか…分かった、いいだろう。だが本当に知りたいのは別のことだろう?」
時雨は言った。そしてタンスから何かを出し、机の上に置いた。それはピーナッツだった。彼は食べながら言った。
「君が知りたいのは強くなる方法だろう?私の生涯は有栖から聞けばいい」
時雨はそう言い新沢を見た。時雨が注意深く新沢を見る、新沢は目を逸らした。
「君の悩みは…ほうほう…私と同じだな」
時雨はそう言った。そして足を組んでピーナッツの袋を後ろに放り投げた。袋は綺麗な放物線を描いてゴミ箱の様なものに入った。時雨が詠唱をした。
「木樹魔法 神秘の枝」
すると机から木が生えてきた。すぐにその樹は実を実らせ、その実は下に落ちるそしてまたそこから樹が生えた。
「有栖この修行は続けているのか?」
時雨が笑って言った。おそらくこの修行というのはこの樹のことであろう。
「はい」
有栖は答えた。だが目が少し泳いでいた。
「頻度は減っているようだがちゃんとやっているようだなうんうんOK」
時雨は笑って言った。そして有栖に目で合図した。
「そろそろ帰りましょう」
有栖は言った。また意識が遠くなっていった。
「有栖さんあの人何故生きているのですか?」
気が付くと先ほどまで居た焼肉屋の前であった。春は有栖に尋ねた。何故かこのことは知っておかなければならない気がした。有栖は春の方を向いた。そして衝撃の一言を放った。
「あの人は日本の全ての力をもってしても殺せなかったんです」
有栖は言った。春は納得した、いや納得せざるをえなかった。
「そうですね...どこからお話ししましょうか。まずはこの魔法社会の起源からお話ししましょう」
有栖は歩きながら言った。春も一緒に歩く。有栖は続けた。
「この魔法世界において魔法犯罪の抑止力と成りえるものが3つあります。春さん分かりますか?」
有栖は尋ねた。春は少しの間考えてから言った。
「魔法警察と英霊隊と...」
春は返答に困った。忘れていたのだ。それを見かねて有栖は言った。
「蓮千亭です。ちゃーんと覚えといてくださいよ」
有栖はいつもの調子で言った。
「この3つを作り、内閣府及び国会を再編成したのが師匠なんです」
春は頭がこんがらがった。訳が分からない、じゃあ何故災厄と呼ばれ大討伐が行われたの?春にはよく分からなかった。有栖は続けた。
「師匠の魔法はとても希少な魔法なんです。あの人は他にもたくさんの魔法が使えるんですが・・・ある日修行を続けていて魔法の効果の適用範囲を拡大したんです。そこで見てしまった」
有栖は言った。表情はとても悲しげであった。
「大量の汚職、データの改竄、犯罪の隠蔽・・・世界政府が隠し続けていたデータを・・・師匠はそれに激怒しすべてのデータを念写してインターネットにアップロードしたんです」
Long time ago
「糞がふざけやがって!」
内閣では秘密閣議が行われていた。周りに目障りな蠅は居らず各国務大臣など国の政治に強大な力を持つ者のみが出席していた。議題はもちろんデータに関することであった。一人の大臣が激昂していた。
「ここまで派手にやられては収集がつきませんな」
内閣総理大臣済道烈は言った。大臣の顔にも怒りの表情が浮かんでいた。すると一人の男がパソコンを持って入ってきた。
「大臣!データの流出先を特定しました」
男は嬉しそうに言った。大臣達も喜びの表情を見せた。男は前のスクリーンに魔法でスライドを出して言った。前には時雨の顔が映っている。
「名は崩災寺時雨、住所所在地等が判明いたしました。現在部隊を派遣させています」
男は言って椅子に座った。何故か座って足をバタつかせている。
「おい貴様、そこは戦原卿がお座りになる場所だぞ」
内閣総理大臣が怒って言った。男は上を見ていた。
「うるせぇなあ・・・犯罪者共」
男が不機嫌そうに言った。男は顔を上げた、そこにはスクリーンに映った顔と同じ顔があった。大臣は全員魔法詠唱体制に入った。
「戦うのか犯罪者ども」
男は冷たく言った。不穏な空気が流れる。だが男は笑って言った。
「こっちの要求はあんたら全員法による裁きを受けてもらうことと三権全組織の再編成よ、あんたらが使い古した傀儡にも情報は流すつもりだから。後は煮るなり焼くなりお好きにどうぞ。期限は一週間」
男は言って何処かへ飛び立って行った。
「大臣、如何なさいましょう」
大臣の一人は内閣総理大臣に言った。内閣総理大臣は虚空を見据えていた。
「討伐隊を編成しましょう、これはテロです」
後ろから声がした。そこには戦原卿が立っていた。顔は静かであった
「総員集まったな」
警視総監西橋哲は言った。眼前にはたくさんの人間が居た、隣には戦原が座っていた。二人とも表情が険しかった。
「これより崩災寺時雨討伐計画に関する会議を始める。まず討伐隊を編成する。討伐隊は全警察組織を使い、この中の十三名に各隊の隊長を務めてもらう」
戦原は言った。そして視線を落とし下の名簿を見ながら続けた。
「まず零番隊の隊長は私が務める、一番隊隊長津村勝弘」
男が起立して返事をし、敬礼した。
「二番隊隊長千舟」
女性は起立し敬礼した。
「三番隊隊長鏡崎統」
鏡崎は起立し敬礼した。
「以上が主要戦闘隊。続いて射撃隊及び特殊工作隊を任命する」
戦原は続けた。
こんにちは二本針怜だよー
読んで頂きありがとうございます
今回は回想回でして…回想は4話で終わらせます