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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第一章 ノブサダ大地に立つ
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第8話 教えてフツノ先生

 

 てっくてくと3人で道を進む。あ、前回戦闘したあたりから少し出ると街道っぽいのでました。


 今、目指している街は“グラマダ”

 この国、タイクーン公国において二番目に規模の大きな街で、二人はこの街を拠点に活動しているそうだ。何よりの特徴として街のすぐ近くに国が管理しているダンジョンが複数存在することである。

 ダンジョンは突如出現し魔物を生み出し人を誘い込むため財宝を生成する。誘い込んだ人を吸収しダンジョンは成長し最終的には魔物を外部へと溢れさせ大災害を引き起こす。故にダンジョンが存在する地域においてダンジョン内を掃討していくことは必須の事業となる。

 そして、ダンジョンの最奥に存在しているダンジョンコアを制圧することでそのダンジョンの成長は止まり魔物も弱いものしか出現しなくなる。つまり、冒険初心者の育成などに最適な環境となるのだ。

 ちなみにコアを破壊した場合、そのダンジョンは消滅する(中に入っていた人は強制的に地上に排出されるそうな)。


 グラマダの周囲には未踏破のダンジョンもいくつかあり初心者からベテランまで幅広い層がこの街へ集まっている。ゆえに別名”冒険者の街”ともよばれかなり賑わっているそうな。

 あてのない俺が潜り込むには最適な街だな。冒険者の街と呼ばれるくらいなら様々な情報や資料があることだろう。

 特にダンジョンは一攫千金を狙うには最適の場所だ。その理由はダンジョン内で魔物を倒すと宝物やアイテムなどを落とすことがあるそうだ。階層が深ければ深いほど敵が強ければ強いほどいいものがでる確立があがるとか。勿論、そうそう甘い話があるわけでもなく死と隣り合わせかそれよりひどいこともあるらしい。意識のあるまま魔物に使役されたりとか……。そんな危険を侵してでもダンジョンへと潜る冒険者は後を絶たないそうだ。

 まぁ強さとお金を求めるのだからきっと俺も潜るんだけどな。人目があまり届かないほうが都合いいだろうしな、俺の場合。



 道すがら二人の話を聞いてみる。

 二人は姉妹でフツノさんが姉。ミタマは異父妹なんだそうだ。母方の連れ子がフツノさんだったらしい。

 家族の仲はとてもよかったそうだが1年ほど前に流行り病で両親を亡くしたそうだ。だから俺の嘘設定にも感情移入してしまったらしい。でまかせでごめんなさい……悪気はなかったんや。

 その後は二人だけで生活していたらしいのだが妙齢の美人姉妹に悪い虫が忍び寄る。


 丁度、故郷の村へ視察に来ていた領主の三男が二人に目をつけたのだ。やっぱりいるんだな、くされ貴族。

 姉妹を差し出せと馬鹿ボンボンが村長に詰め寄るも二人の両親と懇意にしていた村長はこっそり路銀を与えて二人を逃げ出させた。

 村を出た二人は冒険者を生業とすることにした。いつ馬鹿ボンボンの追っ手が来るか当時は分からなかったからだ。

 幸いにしてフツノさんは母親から巫女、ミタマは父親から狩人の指導を受けていた為、冒険者に馴染むまでさほどの時間はかからなかったそうな。

 街に落ち着いたのは3ヶ月ほど前。故郷を遠く離れた大都市なら追っ手もこないだろうと判断したっぽい。


「なんやろね、今まであんまりこんな話したことなかってんけどな。恩人であるノブ君が聞きたいいうたから話したけど他の人には言うたらあかんで?」


 言いませんとも、ボクとアナタの秘密です。ちょっとはにかむフツノさんが可愛過ぎてどきどきするよ。

 顔が赤くなりそうで慌てて話題を変える。


 折角の機会なので聞きたいことフツノさんに質問したおそう。


「魂石って初めて聞いたんだがアレってなんなのかな?」


「魂石は体内で生成される結晶でその者の強さや魔力が高いほど大きさと色が変化するんよ。さっきのゴブリンからとれたのは一番ランク低い魂石やね。アレより弱い魔物なんかは魂石すら残さず消滅してまうなぁ」


 マリモなんかはそれで消滅したわけか、まさに痕跡を残さず。洒落が効いてやがる。

 魂石は魔道具などの稼動に必要で需要は常にある。なので冒険者の収入枠の多くを占めるらしい。

 魂石の質は黒が最低で黒、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、白の順で価値が上がる。稀に虹色の魂石というものもあるそうだ。虹ってのは七色に輝くらしく希少性と相まって貴族などに装飾品として持てはやされているため、価値がものすごく高いそうだ。

 大きさはその者のもつ強さや魔力で変わり強いものほど大きくなる傾向があるらしい。


「そういえば家事のLv5で驚かれてたけどそんなに高いのかな。そこらへんよく分かってないんで教えてくれるか?」

「なんのスキルでもそうやけどLv5だと熟練者くらいってとこやろか。漠然とした例えやけど細かいところは簡便な」


 フツノさんの例を表にするとこんな感じだ。


 Lv1  初心者

 Lv2  駆け出し

 Lv3  一人前

 Lv4  玄人はだし

 Lv5  熟練冒険者級

 Lv6  騎士団長級

 Lv7  王級

 Lv8  英雄・勇者級

 Lv9  魔王級

 Lv10 神級


 うん、どう捉えていいやら悩むたとえだ。まぁレベルが一緒でも個人ごとに優劣あるそうだし一応の目安としてみておけばいいか。

 そういえば他の人のステータスってどんななんだろね。ちょっといけない事と知りつつも興味深々です。

 スリーサイ……。いやいや、それはいかん。でも、こっそり鑑定っと……。


 名前:フツノ 性別:女 種族:獣人族

 クラス:巫女 Lv15

 称号:なし

【スキル】

 火魔法 風魔法 生活魔法 結界術 短剣 杖術 交渉

 スリーサイズ 残念、レベルが足りない!( ・᷄д・᷅ )


 名前:ミタマ 性別:女 種族:獣人族

 クラス:狩人 Lv13

 称号:なし

【スキル】

 短剣 弓術 生活魔法 直感 潜伏 暗視

 スリーサイズ いかん、気配に気づかれそうだ!( ・᷄д・᷅ )


 なんだよ、この顔文字! グネのやつ、しっかり起きてんじゃなかろうか……。

 おや? 生活魔法ってなんだろか? 気になるな。

 あと、魔眼のレベルが低いのか自分を鑑定するよりかなり情報量が少ない。スキルレベルすらでてきてないしね。熟練具合が出てこないからどれくらいで上がるのやら。もう、目に付いたものみな鑑定していくくらいしないと駄目かなぁ。

 そういえば俺のレベルも上がってたな、どれどれ。


 名前:ノブサダ・イズミ 性別:男 種族:???

 クラス:戦士Lv5

 称号:【マリモキラー】

 HP:42/60 MP:75/82

【スキル】

 エターニア共通語 異魂伝心Lv1 魔法改変Lv1 家事Lv5 農業Lv3 剣術Lv2 投擲Lv1 魔力纏Lv2(up!) 回避Lv1(New!) 神聖魔法Lv1 属性魔法適性Lv1 偽装Lv2


【固有スキル】

 識別の魔眼Lv1


 やはり戦士はHPの伸びがいい。MPまったく伸びてないけど。

 魔力纏しながらゴブリンにダメージ貰ってたのが熟練度上げたのかこれも成長している。

 何気に回避が増えているのが嬉しい。盾とかは持つ気はないからこれを伸ばしていこう。ミタマみたいに直感とかあると有効そうだけどどうやったら習得できるもんだかな。


「ノブ君、そろそろ宿場町が見えてくるで。小さな村みたいなもんやから宿は一軒しかあれへんけどね」

「明るいうちにつけそうでよかった。フツノさん、雑貨屋とかあるかな? ちょっと買出しとかできればいいんだけど」

「品揃えはそこまで良ぅないけどあるよ。この時間ならまだ開いてるはずや」

「あんまり道具とか持ってこなかったから買い足したかったんだ」


 できるなら色々欲しいところだな。あと食材もあれば尚いい。採って来た果物とかと交換できないものか。


 宣言どおり日が暮れる前に宿場町に着いた。たしかに村といわれても納得できる規模だ。

 宿もそれほど大きいわけではない。ここは森に向かう人が泊まるくらいだそうだ。採取依頼などでそれなりに冒険者が訪れるらしい。

 さて、宿を取ったら閉まる前に雑貨屋へいかんとな。おっとフツノさんの喋り方がうつってしまったようだ。

 宿の料金は一人部屋で500マニーだった。なのだがフツノさんがあれやこれやで交渉しているうちに450マニーまで値下がった。やるな狐娘さん。俺も交渉の参考にしよう。

 疲れているであろう二人と分かれて俺は場所を聞いた雑貨屋へと向かう。


「こんばんは、おばあさん。ちょっと商品見ていいですか?」

「ぁぃ、どうぞどうぞ。たいした物はありゃしませんがお気に召したら買っていってくださいな」


 お婆さんが一人で営む雑貨屋はなんか昔の駄菓子屋を思い起こすな。おっといけない、何があるかな~。


 気になったものを手にとっていく。


 棚の上にはそこそこ商品が並んでいる。

 お、小麦粉とかあるじゃないか。それに川魚の干物もある。鑑定すると岩魚らしい。

 これらに岩塩、食用油、3人分の野菜を2食分ほど、小鍋などの調理器具数点、陶器の器数個ときれいな布を数枚買い込む。結構な量になったんでお婆さんがちょこっとサービスしてくれて730マニーでいいと言ってくれた。それだと少し悪い気がしたので果物を何個かあげたら結構喜んでくれたよ。

 あのリュックサックに入れておくとどうやら食材など劣化が遅れるらしい。2日前に採った果物が萎びる気配がなかったんでね。明日の昼は多少手の込んだものを作りますか。宿でちょいと下拵えしとかんとなぁ。


 ほくほく顔で宿へ帰還する。


 そして日も落ち夕食の時間だ。


 宿の飯……黒パンにスープだったよ。うん、期待はしてなかったがこの世界の食糧事情はそこまで良くないようだ。グラマダの街までの我慢だ。きっと大都市なら多少の期待は受け止めてくれるだろう。いやいや、ほんとマジで頼みます。

 部屋へ戻る前に宿のおかみさんに頼んでお湯と桶を借りた。しめて5マニー。高いのか安いのか微妙な金額である。部屋で体を拭きつつ思うのはお風呂はいりたいぁということである。やはり日本人なら毎日お風呂入りたいよね?異世界に来て二番目の不満点である。一番? 米、肉、つまり食事ですがな……。

 あまった時間で明日への仕込を済ませてしまおう。二人が喜んでくれるといいな。


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