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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第五章 そうだ! ダンジョンへ行こう!!
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第77話 妖怪あらわる?

 最初の襲撃から二度ほどカエルの団体さんをお迎えした。

 回数を重ねるほど数は減っているのだが一体どこから湧いてきているのだろうか?


 俺が単独で空間迷彩を使い周囲の索敵をしたものの魔素溜りもなく他に湧いている敵もいないようだ。

 この広間の中央付近に大きな沼地があるようだがそこら辺が湧くスポットなのだろうかね? まだ先だが注意するにこしたことは無い。


 ともあれ連戦したことだしひとまずは休憩を挟もうか。偵察から戻りながらそう考えた。



 ドゴーン、ドゴーン、ドゴーン、ドゴーン


 ストーンウォールを繰り返し発動し簡易の休憩所を造り出す。3人とも俺の魔法に関しては諦めの境地へと達したようで今更どうということもないらしい。

 テーブルの上に予め作っておいた本日の昼食を並べていく。今晩の夕食から作り置きのストックを始めるのだし昼くらいは楽をしよう。

 メニューは以下の通り。


 ・鶏ももの炭火焼

 ・たまごサンド、チキンカツレツサンド、レタスハムサンド、フルーツサンド

 ・リポビタマDX(試作品)


 試作品のリポビタマDXはタマ汁にハーブと柑橘系果汁を加えすっきりとした飲み応えになっている。今は味の最終調整段階なんだな。3人には丁度いいのでモニターになってもらおう。


「んー、やっぱりノブ君と旅すると食が充実してていいわぁ。もう味気ない保存食の旅には戻れへん」


「それは同意じゃな。この試作品という飲み物も果実水とは違った味わいでいいのう」


「……はくはくはく」


 ミタマ、まさに猫夢中状態だな。3人とも連戦の疲労はあまりないようだ。タマちゃんは?


 ふにゅううん


 濃魔力水に浸かってご満悦のようです。

 あの分体生成も俺の魔力供給があるので自分の魔力を消費せずに使用できているようだ。俺自身の魔力は消費されてもハラショーって感じで随時回復していく。魔力総量があがったからか回復率も上がっているみたいだ。


「それでここの階層で主殿は何を狙っておるのじゃ? たしかにこんなに早くレベルが上がったのは予想外じゃが他になにか目的があるのであろ?」


 ふむ、カグラさんは鋭いな。確かに他の冒険者に余り好まれないこの階層だがドヌールさんからとある情報を仕入れたため何日か費やしても構わない覚悟でいる。

 そう、ここのフロアに湧く魔物の中にアレを落とすヤツがいるらしいのだ。俺が求めて止まないアレを!!


「うん、実はとある食材を十分な量確保したいと思っている。俺の故郷では主食にされていた『コメ』を落とす魔物がいるらしいんだ。それがあれば俺の料理の幅も広がるし是非にも手に入れ……」


「……さぁ行こう。絶対手に入れなきゃだめ」


 あ、うん。ミタマの反応が良すぎる。あまりの食いつきのよさに驚いてしまうわ。

 他の二人もミタマほどではないが乗り気であるので助かるな。


 米をドロップする相手はアルラウネの変異種らしい。まずはアルラウネを探さないといけないんだよね。

 植物の魔物なら沼地近辺にいないもんかととりあえずは中央沼地を目指そうか。



 そこからの襲撃はなくとんとん拍子に中央の沼地が目視できるくらいに近づいた。


「……沼の周りになにかいる」


 ミタマの言葉通り沼の周りにわっさわさと動く何かが見える。遠いので見えにくいが識別できるかな?


 アルラウネ Lv19

 HP:48/48 MP:30/30

 甘い花弁の匂いで人を誘惑しその精を喰らう魔物。上半身が少女、下半身が花のような容姿。蔓をスプリングのように使い弾みながら移動する。


 緑色の肌の少女がそこにいた。うん、素っ裸である。うわぁ倒し難いな。

 そんなアルラウネが十数体沼の周りできゃっきゃうふふと弾んでいる。その中で数体だが違う容姿をしているものがいた。


 アルライネ Lv22

 HP:52/52 MP:40/40

 甘い花弁の匂いで人を誘惑しその精を喰らう魔物の変異種。上半身が少女、下半身が稲のような容姿。蔓をスプリングのように使い弾みながら移動する。


 こいつだーーー!

 絶対こいつだーーーーー!

 米置いてけ! 米置いてけよう!!


 おっと、いかんいかん。あまりに興奮しすぎて妖怪『米おいてけ』になってしまった。


「皆、目標、前方のアルラウネ。そのうち黄金色の穂を持った下半身の変異種は俺がヤる」


「「「はい」」」


「重力魔法で動きを阻害する。接敵次第解除するので気をつけてね」


 目標、アルラウネの集団。範囲、沼地の一角。威力、重力4倍。

 いざ……参る!!


「グラビトン!!」


 ズシンと急激な重力の上昇にアルラウネたちが苦悶の表情を浮かべ地面へと押し付けられる。その重圧に悲鳴を上げることすらできない。

 魔法の発動と同時に俺は一気呵成に飛び出しアルライネへと近づく。重力の力場において俺だけが平然と動けるっていうのはもうズルいことこの上ないな。アルライネとの距離と後続の皆の距離を測り『グラビトン』を解除した。

 ふうっと重圧から解放されたかと思いきや月猫が振るわれその命を摘み取られる。うん、やっていることは酷い。だが悲しいけどこれ戦闘なのよね。南無阿弥陀仏。一番楽なのは狙撃してしまえばいいんだろうけれども今回は刀で戦うと決めているからな。


 近づいて確認したアルライネの数は3匹。アルラウネの数に対してはそこそこ多い比率だと思う。

 ザンザンザンと首を一太刀で落としていくとそこには魔力の殻に包まれた米俵がドロップしていた。ダンジョンでのドロップ。肉やらキノコやらいままで収穫してきたけれども魔物の体が消滅後、魔力の殻に包まれてドロップ品が地面に落ちているのである。じゃないと地べたに落ちるわけで。魔力の殻っていってもいつまでも存在するわけじゃない。何かが当たればぱりんと砕けるし放っておいたら消えてしまう。速やかな回収が求められるわけだ。

 アルライネを殲滅後、米俵を次元収納へと回収し辺りを見渡す。すでに皆が辿り着きアルラウネの殲滅戦に入っていた。というか俺の『グラビトン』はやりすぎたらしい。元々アルラウネは戦闘向きの体格ではない。それに4倍もの重力をかけてやればそりゃ息も絶え絶えになるわいな。


 カグラさんは金棒で叩き潰し、ミタマは短剣で首を寸断する。フツノさんも杖術でしばき倒しタマちゃんも体当たりをかます。

 ものの十分ほどで集団は壊滅していた。

 はっはっは、やりすぎちゃったかね。


 アルラウネも魂石以外にドロップしたものがある。米俵と一緒に確認しよう。


 サタンニシキ

 品質:高品質 封入魔力:5/5

 異世界の魔王が持ち込んだとされる穀物。抵抗力が弱く育てるには高い技術力が必要とされ一般には流通していない。噛み締めるほどにUMA味が溢れる。


 バニラエッセンス

 品質:良 封入魔力:1/1

 バニラの種子から成分を抽出したもの。


 アルラウネの蜜

 品質:良 封入魔力:3/3

 アルラウネの花弁から抽出された蜜。甘味というよりも媚薬の素材として扱われる。


 やばいよやばいよ。何がやばいって魔力の殻の中に液体が入ってるんだものさ。全員総出で器を出して回収に当たったよ。


 米俵は二俵げっつ。ちょこっと隙間から覗いたけれども脱穀されていない籾殻つきである。

 そして特筆すべきは『稲麹』つきの籾があったんだよ。俺は思わずガッツポーズをしてしまった。これで米麹、さらには米麹から味噌、醤油を作ることができる!! ちなみに味噌は実家で作っていたので問題なくできるはずだ。だが、醤油は作り方を知ってはいるもののやったことは無い。これは試行錯誤するしかないだろう。最悪、味噌の上澄み液などを使って似たようなものを作りだせばいい。某第六天魔王のシェフもやっていた。ノブサダなシェフも挑戦するぜよ。


 むっふっふふふうとほくそ笑んでいると流石に皆も引いていた。慌てて場を取り繕って事なきを得る。いかんいかん、求めていたものが手に入ると思うと気が緩んでしまうよ。


 そう、確かに俺はこのとき気が緩んでいたのだ。


島津のあの人みたいに大暴れさせようか考え中(-ω-

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