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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第五章 そうだ! ダンジョンへ行こう!!
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第74話 再臨、突撃お宅の駄女神さん。


 言われるがままティノちゃんは女神像の前に。促されるように祈るような格好になる。


「六柱神が一柱、成長と才能の女神 レベリット様。新たなる信徒となりしこの者に加護と守護を与えたまえ。信徒となりし者、ティノよ。才能に溺れることなく正しき成長を続けることをここに誓いますか?」


「はい、誓います」


 そう言えば俺のときもこんなだったなとほんの二ヶ月ほど前を思い出す。


「成長し身につけた力を悪意に任せることなく正しく奮う事を誓いますか?」


「誓います」 


 あれ!? またベルの輝き強くなってないか? やつか! やつなのか!!


「『……清く正しく美しいレベリット様に永遠の忠誠と献金を誓いますか?』」


「またお前かぁぁぁぁぁぁ!」


「『あ、ノブサダ君ちぃーっす』」


「軽いな! 相変わらず!!」


 ティノちゃんは突然のことに呆然としている。すまない、だまし討ちのようだがこんなのが洗礼をうけた女神なんだ。


「『いやいや、流石ノブサダ君。私の使徒として新たな信徒の獲得ありがとう!』」


「そういえば勝手に使徒(仮免)にしていたな。異議を申し立てる、訴えて勝つぞ?」


「『えー、そう言わずに。良いではないか良いではないか』」


「ノリだけで押し通そうとしないように。まったく相変わらずの駄女神っぷりだな……」


「『むぐぐ、相変わらずノブサダ君は容赦がないだわさ。でもそこに痺れる憧れるー』」


「それで、今回はいったいなんで降臨してきたよ」


「『軽くスルーですか……お姉さん悲しいったらないわ』」


 ベルの体でのの字を書きながら上目使いで見てくる。だが俺はモーホーでもショタでもないノンケなので再び華麗にスルーだ。


「いいから説明ははやめに。長いことやってるとベルがやばいんだろう?」


「『むむぅ、今回はお布施に奉仕活動、新たに信徒の獲得してくれたノブサダ君にご褒美をあげようとおもってきたのにー』」


 ほう? ならば以前から考えていたことを叶えてもらおうか。スキルやなんやら色々と聞きたい案件がたくさんあるからな。


「それじゃベルを介さずにもうちょっと長い時間会話できる機会が欲しい」


「『えっ!? ノブサダ君ってば私にホの字? いやぁん、女神との人ならざる恋って♪』」


「とりあえず説教をする時間が小一時間。それと折檻する時間が数時間、聞き出したいことの時間が一昼夜ほしいところであるな」


 ポキンポキンと指を鳴らしつつベルinレベリットへにやりと口角を吊り上げた笑顔をわざらしく見せてやる。


「『まさかのばいおれんす!? ぼ、暴力反対! ソフトSMまでならOKだけれども』」


 おいおい、幼子の前で何を口走っている。


「ま、冗談は抜きにして色々と聞きたいことがある。これだけ気安く下界に干渉してくるんだからなにか方法はあるんだろう?」


「『あるにはあるんですがそう簡単な話ではないんですよー? ノブサダ君は使徒だからこうやって会話できるのであって』」


「やってくれたらお供えものが充実するかもしれないんだけどな(ボソッ)」


「『ええ、簡易ながら神殿でも作って貰えればいくらでも降臨しますともさ! ばっちこーいなのですよー』」


 満面の笑顔でサムズアップするベルinレベリット。欲望に負けるの早いな駄女神よ。

 神棚サイズのお社で十分らしい。代償に俺の魔力を消費するらしいが今更の死蔵魔力だから問題はない。よろしい、ならば出雲大社のような荘厳なものを作ってやろうではないか。


「『それとノブサダ君頑張っているので色々と手を加えておきましたよー。その子にも加護には劣りますが守護をぷれぜんと! なのです!!』」


「なに!?」


「『それでは今日はこのへんでー。あでゅーー!!』」


「あ、おい!」


 ベルの体を包んでいた光が薄くなりやがて消え去る。やはり今回も記憶に残っておらずきょとんとしているベルがその場に立ち尽くす。

 とりあえず何事も無かったようにそのまま洗礼の儀を終わらせた。そのままお布施をしてティノちゃんの手を引いて神殿という名の掘っ立て小屋を出る。

 ベルは? 前回よりも長めの降臨だったせいか随分と疲労がきていたらしく体調の不良を訴えたんでポーションを渡して休むように言っておいた。






「ねぇねぇノブ兄ちゃん」


 掘っ立て小屋を後にしてしばらくしたらティノちゃんが俺を見上げながら話しかけてきた。


「ベルさんに憑いていたのってあれってやっぱり女神様なの?」


 OH、背後霊のような扱い。下手に隠し立てしても見てしまったものは消せない。ここは正直に話してしまおうか。


「そうだよ。アレが女神レベリット。ちょっとドジでお茶目で危なっかしいが頼りになるようでそれは気のせいだと思い知らされる女神だ。俺らが洗礼した相手だよ。がっかりしたかい?」


「ううん、神様なのに気取ってなくて親しみやすいから私は好きだよ。崇めるっていうよりも放っておけないから手を出しちゃう感じだけど」


 ティノちゃんや。本当に10歳かね。ベルよりよっぽどしっかりしてらっしゃるよ、この子。


「そうだねえ。そう考えるとベルと駄女神って似ているのかもね。そこいらへんが交神のスキルに選ばれた由縁かも」


「ベルさん。……うん、放っておけないよね。悪い女の人とかに騙されやすそうだし。うん、うん」


 おや? なんかしきりに頷いてるな。これってもしかして? まあ、まだまだ若いのだしなるようになるでしょう。

 あどけない顔なんだが中身は本当に成熟してそうで怖い。おじさん、ベルとは違う意味でティノちゃんが心配だよ。


 そういえば俺とティノちゃんに駄女神がなんぞ手を加えたらしいな。どれ識別先生ちょいとお願いしますよ。


 名前:ティノ 性別:女 年齢:10 種族:エルフ

 クラス:薬剤師Lv5 巫女Lv1(new!)

 称号:なし

【スキル】

 農業Lv1 調合Lv1 生活魔法 動植物知識Lv2


【固有スキル】

 レベリットの守護


【薬剤師】

 様々な素材を調合し薬品を作ることに特化したクラス。錬金術師と違い新たに薬品を生み出すことは稀だがレシピから薬品を作る際、品質に上昇効果が期待される職業。


【レベリットの守護】

 成長と才能の女神レベリットが好奇心からちょっかいを出した証。非戦闘による経験値、熟練度の上昇にプラス効果が付随される。



 なに!? セカンドクラス解放されているのか!

 駄女神め、思い切った手の出し方をしよった。何気に非戦闘設定だから少しは気を使ったのかもしれないな。守護なのに護ってないのは流石の駄女神クオリティ。


 俺のほうは……使徒と加護のところか。



【レベリットの加護(並)】

 本人とパーティメンバーのクラスの経験値とスキルの習得・熟練度の上昇にプラス補正が入る。


【レベリットの使徒】

 成長と才能の女神レベリットの真の御使いとなった証。レベリットの名代として信徒へ知識などを教授することを許されたもの。使徒となったものの行動如何で神の間での勢力バランスが変わっていく。所持しているだけで効果あり。



 パーティメンバーにまで範囲が伸びたのか。しかし、牛丼じゃないんだから並はないだろう、並は。加護のほうは願ったり叶ったりだがそれよりも仮免が取れて完全な使徒になっていることのほうが気になる。これから俺が何を成すかで神様間の勢力バランスが変わるのか。


 …………


 ……………………


 駄女神だものそもそもたいした勢力なぞないだろう。うん、気にするのはやめた。

 あいつは偉くなれても『面倒なので嫌ですよー』とかいって逃げると思うんだ、たぶん。

 駄女神ほど権力とかそういったのに向かないやつは俺知らないもん。


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― 新着の感想 ―
[一言] 昔のバージョンのチビリットが私の名前〜、て喜ぶ所が未だに忘れられないです
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