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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第五章 そうだ! ダンジョンへ行こう!!
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閑話その6 まんどらサン

何かが降りてきて取り付かれたかのように書き上げた一話。

CV? 魂が誰かなのかを判別するはずダ。

 屋敷の無駄に広い庭。折角あるのにもったいないということで結構な面積を使って薬草園を造る事にした。

 ノブサダさんは山へ腐葉土集めに勤しんでおります。スコップ片手にへいほーへいほーと次元収納へぶち込んでいます。ちなみにですが誰も手伝ってくれません。今日はお休み、他のみんなはお休みで寝てたり飲んでたり飲んでたり飲んでたりします。寂しくなんて無いもんね。


 堆肥を採るついでに山の幸も頂きます。夏の山菜ウドやミョウガもほいほいと詰め込みますよ。いや本当に日本かっていう食材がいっぱいだ。


 カルシウム資材として貝の殻をくまはっつぁんから貰い受けて魔法で塩分を洗い流し砕いた後に乾燥させておいた。




 さてさて肥料としてぶち込むものもそろったら土壌の開墾でございますですよ。


 まずはストーンウォールを利用して土壌の石などを根こそぎ回収。畑の囲みとして再利用する。そしてアースウォールを小刻みに発動させて大地の隆起を繰り返した。堆肥等を混ぜ込みさらに混ぜ混ぜ。まさに俺は今トラクターと化している。慣れてくると範囲の指定も余裕が出てきて最終的には畑一面を一気に開墾することが可能になった。



 それにしても魔法での開墾は早くていいなぁ。トラクター使っていてもここまで早くなかったよ。


 さてふっかふかの土壌になったところで畝をたて種を蒔きましょう。今回育てるのはポーションの基本材料となるヒラ草がメイン。あれはハイポーションにまで使えるのでどれくらいあっても問題ないのです。それとタマ汁(仮)を薄めたものへと配合するハーブを数種類。まだまだ改良中だがほぼ完成品と言ってもいい仕上がり具合になってきたので先んじてそこらへんも育てておこうという訳。


 そしてなにが育つか分からない謎の種が4つほど。これはセフィさんから薬草園の許可を貰ったときに預けられた。



 ~回想~



「セフィさん、あそこの空いてる庭って草ぼうぼうだけども何か使うのかな?」


「あそこ? ああ、あれはねぇ」


 うん、特に理由は無く使っていなかった。引きこもりかつ出不精なセフィさんは単にやる気が起きなく放置しまくっていただけだった。


「それじゃ開墾して畑作ってもいい? 薬草作れば遠出して採取する手間が省けるよね」


「あらあらぁ、ノブちゃん、そういうのまで出来るの? 出来るのだったらお願いしたいわぁ」


 その後二人で相談してヒラ草を主軸に育てることにしたがセフィさんが何かを思い出したかのように棚の中をごそごそと探し始める。やがて『あったわぁ』と小袋に入ったなにかを掲げている。


「むかぁ~し流れてきた行商人から貰った種なのよぉ。折角だし一緒に蒔いてほしいの」


「ふむむ、どうなるか分からないけれどやるだけやってみるよ」


「ありがとっ、ちゅっ」


 ごっつぁんです。



 ~回想終了~



 そんな種を識別してみるとこんな感じ。


 謎の種

 品質:謎 封入魔力:謎

 どこの何が育つか分からない謎の種。その種、なんの種、木に生る種?


 色と形はまさに正○丸。間違えないように端っこの区画に専用区域をこさえましょう。






 ~~ 一週間後 ~~





 さすが薬草とは言え雑草のお仲間。わっさわさ育ちそろそろ収穫時期になりそうだ。ちなみにこの農園の世話はエルフの親子にお任せしてある。甲斐甲斐しいお世話の甲斐あって豊作と言っていい育ち具合だね。森の住人だけあって緑の手をお持ちなのかもしれない。



 ヒラ草

 品質:高品質 封入魔力:30/30

 濃い魔力を吸いあげ瑞々しく育ったヒラ草。ポーション、ハイポーションの素材になる。



 そして問題のあの種。一体どう育ったのか。それがこちらでございます。



 マンドラゴラ(甘口)

 HP:3/3 MP:89/89

 根が人の形をした植物の魔物。引き抜く際に叫び声を上げそれを聞いたものは気絶、酷いときには即死すると言われている。媚薬、精力剤、栄養剤の素材になるが特殊な処理をしないと毒性が抜けないため危険。



 マンドラゴラ(辛口)

 HP:4/4 MP:77/77

 根が人の形をした植物~。



 マンドラゴラ(おちょぼ口)

 HP:1/1 MP:105/105

 根が人の~。



 まんどらゴルァ

 HP:30/30 MP:201/201

 根が人の形をした植物の魔物の変異種。引き抜く際に叫び声を上げそれを聞いたものは気絶、発狂、酷いときには即死すると言われている。媚薬、精力剤、栄養剤、筋弛緩剤、麻酔薬の素材になるが特殊な処理をしないと毒性が抜けないため物凄く危険。




 ちょっと待て。特に最後!

 なんてやばい植物生えたんだ。そもそも植物どころか魔物じゃないか。幸いこの屋敷の周りにご近所さんはいないので叫び声あげられてもそう酷いことにはならないんだがどうやって抜こうか……。



 色々と考えたけれども耳栓して俺が抜くことになりました。他の人にやらせるわけにもいくまい。いざと言うときは耐即死が発動してくれることを切に望みますよ。



 そいやっ!


 ズボシ



「イヤァァァァアァァァヒトデナシィィィィィッィイ、オカサレルゥゥゥゥ!」



「ヤメテ! オナカニハアナタノコドモガァァァァァァ!」



「オパンポポンポンパン!」


 てってれ~♪ 耐性:気絶が解放されました。


 てってれ~♪ 耐性:即死がレベルアップしました。


 危ない、即死効果発動してるじゃないか! 耳栓していてもなぜか頭に響くだと!? なんつう心を抉る嫌な叫び声をあげよる。三番目のはよくわからんが。

 そして最後の変種。果たしてこれは一体どうなるのやら。意を決して葉っぱの根元をぐっと掴み引っ張る。



 ズボシ



 ん? 叫び声はどうした?


 くるーりと根っこがこっちを振り向くかのように回ると俺と目が合った。

(-_-)←こんな感じのが俺を見つめている。



「いよぅ、若けぇの。いくら俺っちが植物だからって断りも無く勝手に引き抜かれちゃあたまったもんじゃないんだぜぇ」



 …………



 無言で埋め直すノブサダ。


 再び土に埋められたまんどらゴルァだがブルンと震えたかと思うと器用に両手(?)を使って這い上がってくる。



「おいおい、若ぇの。人(?)が話しているってのに埋めるたぁどういう了見だ? 俺っちも黙っちゃあいないぜぇ??」



 なんだろう?

 生後七日目のはずなのにいぶし銀な貫禄すら漂うこのナマモノは……。

 そして、まんどらサン(仮)は本当に黙っちゃいなかった。






「いいか、若ぇの。俺っちたちにとって母なる大地から引き抜かれるってこたぁどんだけ大変なことかわかっているのかぃ?」


 諭すように重低音の声でこちらへ語るまんどらサン。

 それを聞く俺はなぜかその場に正座している。


「す、すいません」


「いやいや、怒っているわけじゃぁない。俺っちたちを引き抜いたみてぇに若ぇのの首根っこ引き抜いたらどうなる?」


「……死にます」


「死ぬようなことを………!!」


 まんどらサンの体がぶるぶると震えだす。青筋らしきものも浮かんでいるように見えなくも無い。

『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』と背後に擬音が文字で出てくるくらいの迫力である。



 ―――30分経過―――



 それからもまんどらサンの説教(?)は続いた。途中からなぜか『それゆけまんどらサン漫遊記』のような物語調になったためもう少し聞いていたかったが。


 先ほどまでゆらゆらと揺れながら体を使ってダイナミックな語り口をしていたまんどらサンだが急にぴたりとその動きを止めたのである。


「どうやらそろそろお迎えのようだ。若ぇの、今際の際の俺っちだが頼みごとがある。良かったら聞いてくれるかい?」


「は、はい!」


 ぼくらのえいゆうまんどらサンの頼みならいくらでも聞かせていただきます。あれ? 毒されてる??


 葉っぱの付け根辺りをごそごそと器用にまさぐり出したと思うとその手(根?)にはいくつかの種が握られていた。


「こいつぁ俺の種子なんだがな。できることなら芽吹かせてやっちゃあくれねぇかい?」


 コクリと頷くノブサダ。なぜか涙を流している。これが漢泣きだろうか。そんなことが思い浮かぶ。


「すまねぇな。そんな若ぇのには良い事を教えてやろう。俺っちの体を薬にする時ぁ死後硬直が収まって30分くらいしてからが一番質が良くなるんだぜぇ。覚えておくといい。……ああ、そろそろお迎えが来たようだ」


「まんどらサン……」


 植物に死後硬直あるんかい! っていう突っ込みをしそうになりつつも空気を読んで懸命に押し殺す。


「泣くんじゃねぇぜ、若ぇの。出会いがあれば別れがある。それが渡世ってもんだ。俺っちはこれで逝くが若ぇのにゃあまだまだ先がある。これから何度も出会いと別れがあるだろうさ。俺っちは草葉の陰で若ぇのの生き様を眺めるとするさ」


「まんどらサァン……」


「じゃあな。あばよっ!!」


 カクンと糸が切れた人形のように倒れ伏すまんどらサン。


 1時間にも満たない短い時間ではあったが非常に内容の濃い時間だった。

 さらば、まんどらサン。あなたの勇姿は忘れない。あんたぁ漢だよ。




 ~~ さらに一週間後 ~~



 まんどらサンから託された3つの種、それがそろそろ収穫時期となる。この日に目標をあわせてダンジョンから帰還した。


 今回も被害を出すわけにはいかないので俺だけが引き抜き作業にあたる。



 マンドラゴラ(苦味しばった男の味)

 HP:10/10 MP:89/89

 根が人の形をした植物の魔物。引き抜く際に叫び声を上げそれを聞いたものは気絶、酷いときには即死すると言われている。媚薬、精力剤、栄養剤の素材になるが特殊な処理をしないと毒性が抜けないため危険。



 マンドラゴラ(酸いも甘いも味わいつくした末期の味)

 HP:9/9 MP:108/108

 根が人の形をした植物の~。



 突っ込みどころは満載だがここまでは普通のマンドラゴラっぽい。先んじてズッポシ引き抜く。


「ウレシイコトイッテクレルジャナイノ。ッアーーーーーーーーーーーーーーーー」


「デッパイチッパイナンノソノ。ヤッパリ、ツルペタコソシコウナリィィィィ」



 こんなんばっかりか……。ここまではまだいい。ここまでは。



 まんどらゴルァ(二代目)

 HP:40/40 MP:256/256

 根が人の形をした植物の魔物の変異種。引き抜く際に叫び声を上げそれを聞いたものはSAN値直葬から気絶、発狂、失禁、酷いときには即死すると言われている。媚薬、精力剤、栄養剤、筋弛緩剤、麻酔薬、育毛剤、発毛剤の素材になるが特殊な処理をしないと毒性が抜けないため物凄く危険。



 二代目! 増えてるよ、色々なものが!! 突っ込みどころが多すぎるというか突っ込みどころしかないが悩むのはやめよう。南無参!!!


 ズボシ!!!



「いよぅ。また会ったな、若ぇの。だが、いっこも反省してねぇじゃねぇの。駄目だぜぇ、断りなくひっこぬい……」



 記憶受け継いでるのかい!!!



 その後、説教タイムが続いたあと魔力を供給されれば死なないと判明したので異魂伝心で従魔契約を結んでみた。名前は『わかもとサン』。


 こんごともよろしく?







 名前:わかもとサン 性別:漢の中の漢 種族:まんどらゴルァ

 クラス:まんどらゴルァLv2 状態:健康(ノブサダより魔力の供与あり)

 称号:【いぶし銀】 絆:心の友

 HP:40/40 MP:256/256


【スキル】

 植物操作Lv1 咆哮Lv1 水魔法Lv1 土魔法Lv1


【固有スキル】

 種子砲撃Lv1



【いぶし銀】

 くすんで見えるがその実、気遣いの出来る味わいある者へ贈られる称号。味の分かる人に対する好感度アップ。


【種子砲撃】

 魔力が凝縮された種子を撃ち出す。当たったその場で炸裂し小規模な爆発を起こす。レベルが上がるほどその規模と威力は拡大される。


(´・ω・)σ やっぱり作業用BGMにベリーメロンかけていたからだろうか?


まんどらサンは引き抜かれると魔力欠乏により1分ごとに1ずつスリップダメージが入ります。余生を全て説教という名の物語につかわれました。初代よ永遠なれ。

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