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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第四章 狐猫騒乱
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第69話 幸せを感じる朝

 コンコン


 コンコン


「主殿~。主殿~。誰もおらんのじゃ~。主殿はなにか知らんかえ~?」


 んあ、カグラさんの声がする。眠い目をこすりながらむくりと起き上がる。朝同様に三人とも同じベッドである。



 ガチャリ


「すまんがお邪魔するのじゃよ~。主殿起き…………」


 扉を開けてひょっこり顔をのぞかせるカグラさんとばっちり目が合う。そして脇に横たわっている面々へと視線を移した後、ゆっくりと俺に視線を戻した。


 …………


 気まずい空気が流れる。



「妾だけ除け者なのじゃーーーーー!!!」


 カグラさんの叫びが屋敷に木霊した。









 グスン、ヒク、ヒン


 それから早々に服を着てカグラさんを慰めている。他の面々もなんとも苦い顔をしてらっしゃる。


「なんでじゃー、なんで妾だけ除け者なのじゃーーー」


 それはそのなぁ……。

 俺が言い辛そうにしているとフツノさんがカグラさんの頭をなでつつ話を切り出した。


「ごめんなあ、誘おうと思ったんやけどもな。カグラの体……ちんまいままやったからなぁ」


 そう、あれから今までカグラさんの体は幼女のままなのだ。状態異常になっているわけでもないのでそのうち戻るだろうと全員楽観視していたのだが3日が過ぎるも一向に戻る気配がないのである。

 流石にょぅι゛ょへ手出しするのは躊躇する。俺はロリコンじゃない! 健全な男性……魔物っこ獣っこ大好きな健全な男性である!! 健全ってなんだっけ。


 おっかしいなぁ。もう一度ステータスを確認してみようかね。



 名前:カグラ・カガミ 性別:女 年齢:20 種族:鬼人族

 クラス:闘鬼Lv24 状態:健康(ノブサダより魔力の供与あり)

 称号:【血煙の戦乙女】

 パーティ名:【イズミノカミ】

【スキル】

 両手棍Lv4 両手槍Lv5(up!) 格闘術Lv3 回避Lv2(up!) 身体強化Lv2 隠蔽Lv2 偽装Lv2 生活魔法


【固有スキル】

 幼女変体 異魂伝心(従)



 何か増えてる!! 増えてるんだが!! 識別先生! スキル名なんとかならなかったとですか!?

 これじゃカグラさんが変態のょぅι゛ょみたいじゃないですか。


【幼女変体】

 自己意識で肉体の年齢を変容させることが出来るスキル。切り替えるには一定量の魔力が必要。意識して切り替えない限り効果は永続する。


 これはあれか。俺からの魔力供給がされたことによりこのスキルを発動する準備が整ったから発現したのか? でもその前だと……濃魔力水飲んでドーピングしていたときになんかスイッチ入っちゃったのかね。


 とりあえずこの事をカグラさんに報告すると嬉々として発動してみる! と瞳をきらきら輝かせている。どうにもこの状態のときは普段よりも感情のふり幅が大きいらしい。年相応で可愛らしいとは思うんだけどね。


「幼女変体!」


 声高らかにスキルの発動を宣言する。ん? でもこれってまずくないか??


 にょきにょきと育っていくカグラさん。勿論、お約束のように身につけていた子供服は弾け飛ぶ。

 ですよねー。

 真っ裸になってにこやかにこれでどうじゃと言い出だしそうなほど前のめりにぐっとガッツポーズを取っている。


 そんなカグラさんを見てベッドを指差しカモーンと言わんばかりに手招きしてやった。それで自分の状況を把握したのか体と俺の間を視線がいったりきたり。


 かもーん


「また今度なのじゃーーー」


 真っ赤に茹で上がったカグラさんは勢い良く逃げ出していった。真っ裸で。残念。



 異魂伝心で繋がったせいか詳細に情報が把握できるようになったのだろうか?

 先ほどの騒動ですっかり眼が覚めた二人と未だに夢の中のミタマをちゃんと確認しておこうか。



 名前:フツノ 性別:女 年齢:19 種族:金狐族

 クラス:巫女Lv18 状態:健康(ノブサダより魔力の供与あり)

 称号:【アメトリスの巫女】

 パーティ名:【イズミノカミ】


【スキル】

 火魔法Lv3 風魔法Lv4 生活魔法 結界術Lv3 短剣Lv2 杖術Lv3 交渉Lv4 神託Lv1(new!)


【固有スキル】

 金狐封術Lv2 アメトリスの加護 異魂伝心(従)



 あれ? なんか称号がついている。いつの間に??


【金狐封術】

 金狐族固有の秘術。一族でも始祖に連なるもののみに発現する。金色の炎や特殊な幻術、魔を封ずる封印術などが存在。


 称号『アメトリスの巫女』

 生と豊穣の女神であるアメトリスのお気に入りを示す。


『アメトリスの加護』

 生と豊穣の女神アメトリスに気に入られ加護を授かりし者の証。胸囲の育成と授乳の効果がアップ。

 母乳に赤子の免疫力を高め健やかに育つ効果を与えてくれる。



 オィィィィ、女神様なにつけてくれてますか!? まだ、気が早いよ。早すぎるよ。でも駄女神と違って具体的かつありがたみがある気がする。



 名前:ミタマ 性別:女 年齢:16 種族:天猫族

 クラス:狩人Lv16 状態:健康(ノブサダより魔力の供与あり)

 称号:【ルーティアの使徒】

 パーティ名:【イズミノカミ】


【スキル】

 短剣Lv3 弓術Lv4 生活魔法 直感Lv2 潜伏Lv4 隠密Lv4 暗視Lv3 神託Lv1(new!)


【固有スキル】

 ルーティアの加護 異魂伝心(従)


 称号『ルーティアの使徒』

 精霊と理の女神であるルーティアの使徒に(一方的に)任命された者。精霊と意思の疎通ができるようになる。


【ルーティアの加護】

 精霊と理の女神であるルーティアに気に入られ加護を授かりし者の証。身体能力や耐性に大幅な上昇効果がある。ただし、作る料理に状態異常が付与されてしまう副作用が常時発動する。奮起するほど毒性値は上昇してしまう。一説にはルーティア()極度の料理下手なためではないかといわれている。



 ミタマ(ブルータス)、お前もかリターンズ。

 まだまともな女神は(たぶん)アメトリス様だけですかい。なんだろう、母性溢れるアメトリス様に他の駄女神が『ママ、ごは~ん』って群がっているのが想像できてしまう。あれだな、今度うちの駄女神にお供えするときにはアメトリス様へもおすそ分けしてもらおう。きっと苦労されているに違いない。


 それにしても俺を含め四女神の加護持ちが周りに揃うってどれだけの確率なんだろう。なんとなくだが作為的なものを感じるな。それこそ俺のことを特異点って言ってたし。そこらへんも今度あの駄女神に問い詰めてやる。



 名前:セフィロト・ネヴィア 性別:女 

 年齢:な・い・しょ♪ 種族:ラミア族

 クラス:錬金術師Lv42 状態:健康(ノブサダより魔力の供与あり)

 称号:【氷霊の暗殺者】


【スキル】

 両手槍Lv4 暗殺術Lv6 水魔法Lv6 風魔法Lv5 複合魔法Lv4 変身Lv4 隠密Lv6 錬金術Lv7 偽装Lv5 生活魔法


【固有スキル】

 異魂伝心(従)



 識別先生に干渉しているだと!? セフィさんあなたどれだけーって何この暗殺術!?

 さらに複合魔法まで使えるとな! 水と風の複合で氷魔法を扱うのだろうか。

 もう驚きばかりでわけわかめですよ。今度、訓練に付き合ってもらおうかと思います。動きたくないのぉって断られそうな気もするけど。



 確認の内容は今のところ俺の中にそっと留めておこう。すっと立ち上がりお昼ご飯にしようかと声をかければパチリとミタマも目覚める。流石ミタマ、安定の食いしん坊である。


 厨房へいくとそこにはディリットさんが昼食の準備をしていた。量を見るに俺達の分もあるのだろう。ちらっと見やれば僭越ながら準備させていただきましたとはにかまれた。氷冷庫にあるものは好きに使っていいと言ってあるし問題はなかですたい。

 やっぱりエルフだけあって菜食が中心のメニューだな。それでもいくらかは肉も使ってありヘルシーかつバランスはいい。俺が作るとどうしてもガッツリ系に寄ってしまうことが多いので交代で作れば丁度いいのかもね。


 とはいえこの量だと多分ミタマとカグラさんには足りないだろう。俺もマイ包丁を取り出し追加のメニューといきますか。


「ディリットさん、うちのミタマとカグラさんは結構な胃丈夫なんでもう少し多めにしないと足りないんですよ」


「そうなのですか? これでも多めに作ったつもりなんですが。皆さん冒険者のようですし体が資本ですものね」


 そうなんですが明らかに俺より食べてるんだ。あの細い体のどこに収まっているんだろう? 胸か! 胸なのか!! あれはいいものだ。


 料理を作りながらディリットさんと他愛の無い会話で盛り上がる。そういえばティノちゃんは10歳だが洗礼はおわっているのだろうか? この街で生活していくのなら持っていた方がお得だろうて。


「ディリットさん、ティノちゃんはもう洗礼は済んでいるんですか? これからこちらで暮らすのなら生活魔法がないと不便になりそうな気がするんですが」


「そうですね。私達エルフの場合は集落に四女神様の司祭様がいらしたので各々希望する神様へと祈りを捧げるのが一般的でした。ですが私はティノが生まれてから集落を離れたので洗礼を受けさせることができずにいます」


 あれ? 六柱神じゃないのか??


「六柱神ではなくですか? エルフでは男神の二柱は除外されているんですか?」


「ええ、先祖よりの言い伝えらしいのです。除かれる理由は長達のみに口伝で伝えられるので教えてはもらえませんでした」


 ふーむ、男神はエルフになんぞやらかしたのかね? まぁいいか。それよりもやはり済んでいなかったのね。お兄ちゃんて呼ばれちゃったらお世話しなくちゃ男が廃るのだよ。


「今度空いた時間にでもティノちゃんを連れて神殿へいきましょうか? レベリット様なら友人が神官なので問題なく洗礼は可能ですが他だと見知った人がいないので深めに帽子被って耳を誤魔化しましょうか。費用は俺が出しますよ。ティノちゃんにも色々お手伝い貰うようになるでしょうから」


「よろしいのですか? 申し訳ありません、お世話になるばかりで」


「いえ、構いませんよ。こうやって食事の支度をしてもらえるだけでもかなり助かりますから。毎回俺だけだと料理のレパートリーも尽きちゃいますからね。行く前に伝えますからティノちゃんにはどの神様がいいか聞いておいてください」


「はい、ありがとうございます」


 ニコリと微笑むその顔は母性に包まれております。というか流石エルフは美形です。ニコリの威力は俺の比ではないのです。これがエルフ驚異のメカニズム!!?


 そんなこんなで俺が追加作成したのは『ナスキノコの豚肉巻き』と『ルイヴィ豚としめじのクリーム煮込み』である。ディリットさんに味見してもらい太鼓判を押してもらいましたよ。


 食卓にはいまこの屋敷にいる面子が勢ぞろいしていた。各々、食事に舌鼓を打っている。ティノちゃんは『ルイヴィ豚としめじのクリーム煮込み』をお気に召してくれたようだ。はっはっは、おかわりもあるんじゃよ?


 やっぱり食卓はみんなで囲んで楽しく食べるのが一番だと俺は思うのだ。うん、幸せを感じるな。


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