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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第一章 ノブサダ大地に立つ
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第6話 魔法少年ノブサダちゃん爆誕

 

 小屋に帰る頃には夕方になってしまった。キノコを採るのに夢中になった俺のせいだ。いや、だってマイタケやシメジがあれだけあったら、つい、ね。

 しっかりと食料を確保したので晩御飯は少し豪華だ。調味料が塩しかないのが難点だがキノコと野草の鍋と各種果物である。

 幸い鑑定があるから毒キノコなどの心配はいらない……はず。念のため食卓の脇にゲド草を準備してある。やばいとおもったらすぐ齧れるようにです、はい。


「ふう、満腹満腹。思ったよりもいいできだ」


 なんだろう、塩だけなのに十分旨みがでていたね。ただ、これだとすぐ飽きそうな気がするんでなにかしらの手段を講じないとだな。ま、ここからいつ出るかにもよるが食料が十分に確保できたのは大きい。

 かといって年中この調子ではないだろうし近々出て行くことにはなるだろう。

 その為にも準備だな。

 まずは再度ステータスの確認だ。


 名前:ノブサダ・イズミ 性別:男 種族:???

 クラス:異世界人Lv5

 称号:未設定

 HP:33/33 MP:64/64

【スキル】

 エターニア共通語 異魂伝心Lv1 魔法改変Lv1 家事Lv5 農業Lv3 剣術Lv2(up!) 投擲Lv1 偽装Lv2 魔力纏Lv1


【固有スキル】

 識別の魔眼Lv1


 おお、剣術が上がってる! これで少しは楽になりそうだ。


 そして、食事中ずっと考えていたことを実行してみる。最初、鑑定したときだが異世界人の称号にはこんな説明書きがあった。


 { 自由にクラスを変える事ができる。所持しているだけで自動発動 }


 つまりどうにかすればクラスを変更できるはずだ。クラスによって習得しやすいスキルもあるだろうし魔法なんか魔法使いとかにならなければ覚えられないかもしれない。


「クラスチェンジ、クラス変更、ジョブ設定、へーんしん! ぬうう」


 傍からみたら頭の弱い人のようだ。職業設定とかどうすりゃいいのか……。

 そう考えた瞬間、頭の中に情報が流れる。


「うおおおう」


 びっくりした。職業設定と念じる感じでいいのか。

 開示された情報をまとめるとこんな感じだ。


 戦士、拳士、修道士、魔術師、商人、農家、主夫


 主夫って。どこまでも家事をひっぱるか俺の体よ。

 そうだな、この中ではまず修道士と魔術師のレベルを上げてできれば魔法を覚えたい。修道士はおそらく回復魔法なんか覚えそうだ。右も左もわからんこの現状で信用できるのは今のところ自分だけだ。回復手段と遠距離攻撃手段を得るのは必要不可欠だと思う。

 クラス変えたら魔法とか使えるかわからないし、そもそも覚えるのかすら定かではないがやってみる価値はあるだろう。クラスだって異世界人のままじゃいろいろと不都合あるだろうしな。

 明日のプランを考えながら俺は初日の眠りについた。





「くううああ、体中が痛い……」


 さすが若い体、筋肉痛はすぐにきた。軽くストレッチをしてから体を拭いておく。果物で軽めの朝食をとったら早速マリモの蹂躙だ。

 よし! 今日も快晴! 一丁殺りますか! おっと不穏な変換になってしまった。


 クラスを修道士に変更する。脳内データだがタブレットのように指先でなぞる感覚で動かせるようだ。

 ん? 修道士に変更した瞬間、微妙に体が重くなったように感じる。これはやはりレベルが低いクラスへ変えたからだろうか。一応、HPとMPへの変動はないようだ。魔力纏を併用してケガの確率を少しでも下げよう。


 さて、緑のあいつを探そうか。


 索敵のスキルとかがあるといいんだけどな。ああいうのはシーフや狩人あたりのクラスがあれば覚えそうな気がする。クラスの解放条件は不明だが短剣や弓などの武器スキルがあるかなどの条件もありそうだな。手持ちのナイフじゃ心もとないしいつかちゃんとしたものを手に入れたら試してみようか。


 考え事をしながらマリモを追い切り伏せる。昨日初戦闘の時とは段違いでいくらか戦闘に慣れたのと自分自身の体の動きが良くなっているのがよく分かる。

 しかしあれだな、鉄の剣を持ちながら敵を追い回す修道士……。どっちかというと某エクソシストのようだ。

 そのうち「エェェェェェェェイメェェェェェェェェンンン」とか言い出したりしてな。いや、やろうとは思わないけれども。


 投擲を併用して弱らせつつスッパスパと切捨て御免な狩りは続きすでに1時間が経過していた。

 そして修道士のレベルが3になった時ついにあれがアナウンスされたのである。


 てってれ~♪ 神聖魔法Lv1が解放されました。


 む、習得じゃなくて解放? どんな違いがあるんだかわからん。早速試してみたいが呪文とかあるのかね。いざ自分がやるとなるとちょっとだけ恥ずかしいな。

 ちょこっと指先傷つけて試してみるか。


「いっつぅ…さて、ケ○ル、ホ○ミ、ファースト○イド、ヒール、い、痛いの痛いのとんでけぇ~」


 ヒールのところで手から淡い光が漏れ出た。すうっと傷口が消えていく。よかった、四角い会社から訴えられたりする魔法ではないようだ。


 名前:ノブサダ・イズミ 性別:男 種族:???

 クラス:修道士Lv3

 称号:未設定

 HP:37/37 MP:68/70

【スキル】

 エターニア共通語 異魂伝心Lv1 魔法改変Lv1 家事Lv5 農業Lv3 剣術Lv2(up!) 投擲Lv1 神聖魔法Lv1(new!) 偽装Lv2


【固有スキル】

 識別の魔眼Lv1


 ふむ、いまのヒールでMP消費は2か。初期魔法とはいえコストパフォーマンスはかなりいいな。出力とか自由に変えられるのかな? 恐らく魔法改変があるからできそうなきがする。落ち着いたら試してみるのもありだろう。


 そうそう、MPの異常な成長はやはり俺のスタンダードクラスであろう異世界人のクラス特性っぽいな。俺だけなのか他の召喚されたやつもそうなのかは知らないけれども。


 回復魔法も覚えたので次は攻撃魔法といきますか。そして他のクラスでも使用可能かの考察だな。

 早速、クラスを魔術師に切り替える。うお、修道士のときよりも体の動きが鈍いぞ。


 それでもやってやれないことはないだろう。心なしか魔力纏の出力が上がっているような気がするしな。


 はっはっは、肉体派魔術師いざ参る! 俺はマリモが泣き叫ぼうが切り裂くことをやめん!


 いかん、妙なスイッチが入ってしまったようだ。自重自重。




 2時間後




 てれれてってって~♪ 魔術師のレベルが4に上がりました。

 てってれ~♪ 属性魔法適性Lv1が解放されました。


 視界に入ったマリモは全て俺の糧となりました。ここら辺のマリモを全部狩りつくしそうな勢いですよ。

 そして魔法適性? ○○魔法みたいな分かりやすいやつではないのか。

 いや、むしろ適性レベルの範囲内ならば自由に使えるってことなのか? うーむ、よく分からんな。取扱説明書を所望します。


 ま、これは小屋へ戻ってから試そうか。妙なテンションで狩り続けたから流石に疲れたしそろそろ昼にしよう。


 てってれ~♪ 称号【マリモキラー】を獲得しました。


 へ? なんだこれ?


【マリモキラー】 マリモを虐殺するもの。マリモの天敵。マリモ系に攻撃する際、ダメージにプラス補正が入る。


 ……どうやら俺はやりすぎたらしい。かれこれ朝から50匹はマリモを倒しているしな。そもそも、小屋の周りにマリモがこれだけいる事のほうが問題な気がしてきた。


 昼食は昨日の残りの鍋で済ます。食べながら先ほどまでの戦闘から気になっていたことを考察してみる。

 どうやら修道士や魔術師のクラスは異世界人に比べて多くの経験値が必要なようだ。もしくは異世界人が上がりやすいだけなのかもしれない。


 あ、神聖魔法は魔術師の状態でも使用可能だった。これで属性魔法がうまくいけばこの小屋をでる算段もつくかもしれない。


 食後、一息ついてから魔法の実験を開始する。


「しかし、いちいち試さないといけないのは面倒だよな」


 誰に言うわけでもないがちょっとだけ愚痴りたくなった。そうだな、もし街に着いたのなら誰かに教わるか魔法に関する書物でも探そうか。こんな風に試しているところを見られたら最悪変人認定されそうである。


「ファイア、フレイム、バーン……違うか」


 良くある魔法名をとりあえず唱えてみる。あとは基本魔法っぽい魔法名はなにがあったっけかな。


「ファイアボール、ファイアアロー、ファイアランス……」


 ファイアアローのところでなんとなくだが魔力が動いたような気がする。発動までに至らなかったのはイメージが足りないせいだろう。


 森に燃え移らないように小屋からちょっと離れたところにある開けた場所へ標的を設置しておく。

 標的へと向かって意識を集中し魔法名を解き放つ。


「ファイアアロー!」


 力ある言葉とともに火の矢が俺の眼前に生まれ標的へと一直線に向かっていった。


 ボォン


 火の矢は見事標的へと命中し、その余波でバラバラになった標的が宙を舞った。


 べちょん


「うおああああああああ、あっちいいいい」


 飛び散った標的……バナナの皮などの生ゴミが俺の頭へと振りそそいだ。しかも火の矢が当たったあとだから生臭熱い!

 自然に帰すために横着しようとした報いだろうか。何気にダメージになってたようでヒールを使ってしまった。


 ……はげてないよね? ぐすん。


 確認してみるとアロー系の消費MPは3。コストパフォーマンス的には言うことなしである。

 その後、実験を繰り返した結果、○○アローという名前で発動することが判明。

 水がアクア、風がウィンド、土がサンド。雷や氷もできないものかと試したが適性レベルが低いのかうまくいかなかった。

 やはり火か風が戦闘には適しているようだ。サンドアローは微妙だった。本当に微妙だった。あんまりだったので二回言いました。土属性は嫌いではないのだが扱いが悪すぎると思うのだ。

 いつかは無数の土の槍とかを生み出せるような魔法を行使することで土魔法に報いてやろうと思う。


 ぐらっ


 うおっ、魔法の実験で随分とMPを使ったようで頭がふらふらする。これがMP切れの前兆なのかね。

 戦闘中とか気をつけないと思わぬミスを生みそうだ。


 今日はここまでにしておこう。明日は戦士を上げつつ食料の補充をして明後日にはここを出ようか。

 若い盛りなこの体。やはり肉や米が無性に食いたくなってきている。干し肉は味気ないし非常用なのでとっておきたい。やはり異世界ならではのマンガ肉っぽいのや血の滴るようなドラゴンステーキを食べてみたいものである。そして、日本人ならやはり米が欲しいのは当然の流れであるな。

 この世界に米はあるのだろうか。無かったらあれだ、異世界人召喚できるなら種籾を召喚することもできるはず。そこまでしたくなりそうで怖いな。


 そんな阿呆なことを考えつつ俺は眠りについた。


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