第42話 宴会の準備をしよう
さらに3話目ぇぇぇぇぇ!
ちょっと諸般の事情で2,3日投稿できなそうなんで書きあがっている分あげておきました。
んじゃ逝ってきます_〆(・ω・*)
冒険者ギルドを出た後、俺は『ひきこもりのラミア』へと来ている。
「セフィさーん、ただいま戻りましたー」
裏口の鍵を開けてセフィさんへ帰還の挨拶をする。表のほうには誰もいなかったからだ。
そしてそこにセフィさんはいた……。すやすやと寝息をたてて。
おーい、店主! 仕事はどうしたぁぁぁぁぁ!
……わしっ。
おもむろに鼻をつまんで待つことしばし。
「ふはぁぁぁん、なになになんなのぉ」
「おはようございます。ご店主様、お仕事はどうされましたか?」
「あ、あらぁ、ノブちゃんお帰りなさい。えーっとぉ、今日はねぇ。作り置きしていたポーションがなくなっちゃってぇさっきまで作ってたのよぉ? ほ、本当なんだからね。そしたら高品質用のガラス容器がなくなっちゃって今日はここまでかなぁって……」
すこーしだけジト目で見てたのに気付いたのか申し訳なさそうに答えるセフィさん。低品質用の石器は十分に余ってるけどもね! ま、セフィさんが店主なんだから自由でもいいんだがフリーダムすぎるぜ。
「一応、依頼の間中に作っておいた石器と桃薬粉(桃味ポーションの原料の通称で『とうやくふん』と呼んでいる)を納めますよ」
「んもう、ノブちゃんは真面目ねぇ。それにしても桃薬粉のお陰で随分と加工が楽になったわぁ。保存も利くしこれって大発明よねぇ。錬金術ギルドから教えろって催促が多いけれどもぉ」
「またですか……。しっかりと断ったんですけどね」
桃薬粉は俺が開発したものなのでセフィさんに催促がきてもお断りいただくようにしてもらっている。加工が俺しか出来ないのとどうにも錬金術ギルドの上役たちが気に食わないからである。
何度か会ったことがあるんだが明らかに上から目線で独占契約をせまって来た。即答で断ったんだけどもあのギルド長とこの街で一番大きい錬金術店が諦めずにやってくる。加工は俺しかできないって言ってんのにセフィさんに詰め寄るところがさらに気に入らない。ギルド員じゃないから俺には無理強いできないからなんだろうな。大量生成できるようになったらあいつら以外に卸してやろうかね。
「酷いようなら対策をしっかりとりましょう。最後の手段は師匠に依頼しますから」
「その時はお願いするわぁ。ごめんねぇ」
「師匠のほうでも『直接卸してくれるから助かる、協力するのはかまわん』って言ってましたから大丈夫でしょう。そうそう、別な用件で来たんですよ。セフィさん明日の夜は予定ありますか?」
「空いてるわよぉ、どうしたの? お姉さんと夜遊びしちゃう?」
「それはそれでそそりますが明日の夜、炎の狛でお世話になった人を呼んで宴会をしようかなと」
「ま! 宴会!! 行く行く、行くわよぉ。うちのワイナリーから『ニャンベルたん』や『首領・ペリー』、『腰の塩梅』持って行くわぁ。ノブちゃんもおつまみつくるんでしょぅ?」
ワイナリーからってどう考えても日本酒みたいなの混じってますが……。名前からして高そうな気がする。これに合うツマミってか。ハードル上がったなぁ。
「ええ、これから迷宮に篭って食材集めてきますよ。2Fでキノコ類と3Fでお肉類ですかね」
「んふぅ、楽しみだわぁ。でも帰ってきたばかりだし無理しちゃだめよ」
「ええ、ほどほどで帰ってきますよ。それじゃまた明日」
「はぁーい」
さぁてとしっかりと食材を貯め込みますかね。『トレジャーハンター』のおかげでだいぶドロップは良くなったけどもやはりナスキノコなどのレアドロップは出難い。それでも折角準備するならみんなに美味しいものを食べさせたいし頑張ってみよう。
さてやってきましたダンジョン2F。
幸い異世界人のレベルが上がったお陰で使用できる魔力にはえらい余裕がある。今回は魔力纏の硬化能力上昇とその維持を課題にして色々と試してみよう。
そういや月猫もいまだに抜刀すらできていないよな。
やりたいこと、やれていないことが多すぎるわ。折角の刀だっていうのに抜刀できないってどうなのよ。
あんだけ力入れてもまったくびくともしないんだものなぁ。どんな刀身なんだか見てみたいよ。
そんな事を考えながら月猫を弄くる。
スルリ
はっ!?
抜けたぁぁぁぁぁぁ!!??
まったく抵抗なくするりと抜けた刀身は鮮やかな刃文を持ち俺の心を魅了した。
博物館等で見たことはあるがケース越しと違って確かな手ごたえと間近で見る美しさは堪らないものがある。
しかし、なんでまた急に抜けたんだ?
この間までと違うのは
1:ダンジョンの内部
2:俺一人+タマちゃんのみ
3:魔力纏発動中
試しに魔力纏を解除して抜こうとしたがガッチリはまって抜けなかった。今度は魔力を手に溜めて引き抜こうとするとするりと抜けた。
どうやら柄に一定量の魔力を当てることで抜くことが可能になるようだ。
そして柄から刀身へと魔力が伝わっているようで天恵の発動条件にもなっているらしい。魔力を流さずにマヨイタケを峰でトドメを刺そうとすると不殺の効果がでずに粒子と消え去った。
天恵についてだが以前おやっさんからちらっと聞いたことがあることを思い出した。
武具を作る者が加護や守護を持っていると天恵と呼ばれる基本的に先天性となる能力付与がつくことがある。後天的な付与魔法などの付与限界に影響しないため天恵があるとそれだけでアドバンテージになるな。また、特殊な能力も多く天恵でしかないものもあるらしい。
月猫の天恵は再生、硬化、峰に不殺。
識別先生の説明文では扱うものによって性能が変化するとあるからこれらは俺が手に持ったから現れたのかね。そして、いずれはさらに成長する? 俺と共に成長するものがタマちゃんに続いて増えたことになる。どうなっていくか楽しみでもあるね。
硬化で刃こぼれしにくく、したとしても再生で修復する。なんてコンボだ。切れ味もいいしまさに主武装に相応しいな。
ただ、一つだけ気になることがある。
鉄の剣を振るっていたときよりなんというか使いづらいというか違和感があるというか。慣れるしかないんだろうけども理由が分からないとむず痒いな。
それからは時に試し切りを挟みつつ『赤壁突風大炎上』でもりもりと炎上させつつマヨイタケを駆除していった。
寝取り魔や最強の罠師に呉の栄光はやらせはせんのだよ。亀甲男や鞭好き炎上爺がそう叫び賞賛するほどの着火を繰り返し8本ほどのナスキノコをゲットだぜ!
ついでにキノコ類も山になるほど! 毒キノコはフリーズドライして粉状にし無駄に技術の上がった螺旋蓋つき石器へと種類ごとに厳重保管しておいた。
てってれ~♪ 称号【カビデストロイヤー】を獲得しました。
むぉ、物騒な名前の称号まで!?
【カビデストロイヤー】
菌類を掃討するものに与えられる称号。行動ひとつひとつに菌類へのダメージプラス効果。
善玉菌も殺してしまうので注意。
よかったカビ○ラーではなかった様だ。俺がお風呂にいるだけでしつこいカビ共は死滅するのだろうか。お風呂ないけど……。いつか作るであろうお風呂に思いを馳せつつ次の獲物を探しましょう。
野菜は十分、あとはお肉です。肉肉野菜肉肉筋肉なのです。
3Fにはなんと豚肉をドロップするモンスターがいるのですよ。
その名を『ルイヴィ豚』。うん、高そうだ。
ドロップも複数種類あり様々な部位を落とすためか収量も安定しないんだよね。ま、今回はなんでもいいので量がほしかですよ。贅沢を言えばトンカツ用の肩ロースは多めに欲しいですがね。
こいつらは特定の場所にいるんで比較的楽に出会うことは可能なんだ。だが、それほど市場に豚肉が出回らないのはなぜか。それはドロップ率の低さもあるがルイヴィ豚のサイズが非常に問題なのだ。
小部屋の半分以上を埋め尽くす巨体。突進されたら逃げ場がないため通常なら一気に仕留める火力が求められる。
ま、俺の場合はズルするんだけどもな!
いたいた、部屋の端(といっても部屋半分くらい占拠してるけども)に陣取ってやつはいた。
そして、俺が小部屋へと足を踏み入れた瞬間、テリトリーを侵害されたと判断し鼻息荒く突進しようと構える。
「ストーンウォール!!×5」
ガンガンガンガンガンと小気味良いリズムで石の分厚い壁が展開されルイヴィ豚の突撃を阻もうとする。
そういやストーンウォールも改変魔法だけど詠唱とか考えてなかったな。……面倒だからいいか。
ゴスン!!!
ゴスン!!
ゴスン!
ゴス……。
お、そろそろ気絶したか。
ストーンウォールを解除するとそこにはしたたかに脳天を打ちつけピヨってるルイヴィ豚が転がっていた。
以前、依頼を受けて豚肉を確保しに来て学んだんだけれどもルイヴィ豚って一度突進始めると敵が倒れるまで止めないんだよね。馬鹿正直に真正面から戦った後、ほうほうの体で逃げ出したときストーンウォールを使って足止めしようとして気付いた。
それに気付いてからはこうやって相手を気絶させてからゆっくりとトドメを刺すやり方に切り替えている。お陰様でやおはっつぁんやドヌールさんからの食材調達依頼がたまに指名で入るほどだ。
月猫でさくりと脳天を突き刺しトドメを刺すとしゅんと消え去ったあとに3キロほどの肉の固まりが残っている。
こいつは……いよっし! 一発目で肩ロースとったどー!
トンカツ作って~♪ カツサンドも作って~♪
あとはバラ肉とかで串焼きもいいな。モモ肉がでたらハンバーグとかもありだ。
さてさてどんどん狩っていきましょうか!
あっなたの素敵な肩ロース♪ 見っとれて炒めたヒレ、ロース♪ 思わず煮込んだモツ、スネに~く♪
そしてモモ肉、はんば~ぐ♪
思わず歌を口ずさみながら肉狩りは進む。みんな美味しく食べてくれたまえよ!




