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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第二章 鬼姫邂逅
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第40話 カグラさんとの冒険 たわわ編

 階段を上った先には何やら泉のようなものが見える。枯れていたあの部屋と似たような造りの部屋だな。

 あの部屋と決定的に違うのはひたひたの水の底になにやら安置されている物が見える。台座かなんかか? なにやら遠目では見えにくい。


「こ、これじゃ! この水じゃ!!」


 カグラさんが歓喜の声をあげている。このひたひたの水が目的のものだったのか。

 どれどれと鑑定をしてみるとこんな結果になった。


 濃魔力水

 品質:良 封入魔力:30/30

 非常に魔力密度の高い水。標準的な魔術師三人分ほどの魔力が込められている。


 ほうほう。あれ? これってタマちゃんがいつも飲んでるやつのほうが品質いいんじゃないのか?


 カグラさんは水を両手で掬い上げそのまま口に含み飲み込んだ。そして何やら聞いたことのない言語の詠唱をする。


 ちょっとまって。もう姿変えの術とやら発動してるんですか?

 その格好のまま戻ったら色々とやばいって!

 カグラさん、すとーーっぷ、着替えてからじゃないと……。



 ぐんぐんと元のサイズへと戻っていくカグラさん。もちろんワンピースもどきや紐パンもどきはそれに耐えられるはずもなくサイズの違いからビリビリと音をたてて破れていく。


「戻った。戻れたのじゃ、ノブサダ!」


 こちらを振り返り大きなモーションで喜びを表現している。弾む体に合わせて別なところもたわわに弾む。

 彼女は自分の今の状態に気付いていないようだ。もう、俺の視線は大きな双丘と黒い草原に釘付けだった。

 一言も発しない俺に首を傾げるカグラさん。


「ど、どうしたのじゃ? さっきから押し黙って……」


 不審に思ったのか俺の視線を辿って自身の状態を把握する。


「ひゃわああああぁあ。み、見るな。見るでないぃぃぃぃ」


 慌てて屈み込んで体を抱え隠す。すいません、あまりの眼福具合に視線を逸らすことができませんでした。しっかりと堪能し記憶フォルダにまたひとつシークレットファイルが誕生したのであった。

 後ろを向いてカグラさんが着替え終わるのを待つ。しゅるしゅると布がすれる音がしている。なんというかこういう時のすれる音って小さくてもよく聞こえてくるよな。


 ズズズズズズーン


 鈍い音と地面のゆれが再び起こる。何度か起きている地震は蟻の巣が崩れている影響か?


「あ、あああああああ」


 着替えを急いでいたカグラさんから絶望的な感じの声がする。

 駆け寄ってみれば貯まっていたはずの濃魔力水が抜け落ち底が見えている。今ならはっきり分かるが台座のようなものに剣(?)が一振り安置されている。

 がっくりと項垂れているカグラさんを尻目に泉だったところの底へと降りてみた。


 上から見たときははっきりとは分からなかったがそこに安置されていたのは一振りの刀だった。


 恐る恐る近づき手にとって見る。



 月猫

 品質:高品質 封入魔力:21/21

 材質:陽命樹 魂鋼 魔鋼

 扱うものによってその性能が変化すると言われる世に三振りしか現存しない活魂刀の一振り。その刀身を維持するだけでも非常に大きな魔力を消費するため扱えるものは殆どいないとされる。

 天恵:【再生】【硬化】【峰・不殺】



 鑑定して何となくだが理解した。濃魔力水に浸らせて安置されていたのは何者かが刀身を維持するために施した処置だったんだろう。魔力を随時供給することで水の中でも錆びることなく保管されていたと予想される。この洞窟内の施設すべてがこいつを保管する為のものだったんだろう。


 アースウォールで階段を造り泉の底から這い上がる。

 折角だからこいつを抜いてみるか。


 ふんぬ!


 ってあれ? 抜けない!?

 もう一度落ち着いて柄に手を当て引き抜いてみる。

 ぬおう。駄目だ抜けない。なんかコツがあるのか?

 帰ってから試してみるか。あ、そういえばコレの扱いどうするかも決めないといけないよな。


「あー、カグラさん?」


 あ、なんか泣き出しそうな顔で何かを決意したような感じになっている。付き合いは浅いけどなんとなくこの顔してるときのカグラさんは明後日の方向に突っ走りそうな気がする。


「ふぅ、これでまた流浪の旅に戻らねばならぬか。ノブサダよ、最後となってしまったがお主と旅ができて楽しかったぞ」


 すっと握手を求めいかにもこのまま去ると言わんばかりのカグラさんにひとつ尋ねないといけないことがある。


「いや、それなんだけれどもね。さっきの濃魔力水ってあれより品質や封入魔力が高くても問題はないのかな?」


「ん? それは品質が高ければ高いほどいいものになる。問題などないのじゃ。されどあれほどの魔力水は普通の魔術師3,4人が魔力を振り絞ってやっとできるくらいの代物じゃぞ? 買ったらとんでもない金額になるであろう」


 え、そうなの? それを毎日三食飲んでるタマちゃんは実はセレブなのか!


「いや、あれくらいの魔力水ならいくらでも供給可能なんだけれども……。実際、タマちゃんは毎日飲んでるしね」


 そういいながら魔力水を生成してみた。


 濃魔力水

 品質:高品質 封入魔力:40/40

 非常に魔力密度の高い水。標準的な魔術師四人分ほどの魔力が込められている。


 …………俺の手に生成された濃魔力水をみて目が点になるカグラさん。


「は?」


 ……再度説明中……


「……い、いままでの苦労は一体……」


 四つん這いになってがっくりと落ち込むのが痛々しい。その、なんというかごめんね。





 しばし落ち込んだ後、意を決したようにこちらを見る。俺を見る目になにやら熱が篭っているのは気のせいだろうか?


「ノ、ノブサダよ。妾の全身余すことなく見たからには責任をとってもらうのじゃ!」


 はい!?


 唐突な申し出に固まっていたところガバっと押さえつけられ強引に唇を塞がれた。

 突然の展開に思考が追いついていかない。女性特有の甘い香りが鼻腔をくすぐる。

 長いような短いような時間が過ぎぷはぁと離れるとカグラさんは俺の目をしっかりと見てこう切り出した。


「これは手付けじゃ。責任として月一度はお主の濃いのを提供してもらうぞ。対価はきちんと準備するゆえな」


「カグラさんなら別にいつでも提供す……」


「いかん、気持ちはありがたいがそうもいかぬ。濃魔力水は高品質なエクストラポーションなどの素材の一つぞ? まともに買えば一瓶2,000マニーはくだらんじゃろう」


 え!? そんなにするの? これを使えば資金に困らなく……いやいやまてまて、むしろ安易に広めたら俺の身がやばい。簡単に稼げる話なんて危険が盛りだくさん過ぎるからやめておこう。あの銭ゲバな錬金術ギルドの連中とかに嗅ぎ付けられたらなにされるか分かったもんじゃないしな。


「それじゃそのうちその身で……」


「な!? ……うん、それでも、あ、ありじゃな。……こう殿方に求められるというのもいい……ブツブツ」


「……困ったときに手伝ってくれればそれでいいですよ。って聞いてない!?」


 なんかカグラさんブツブツ言ってるけどよく聞こえなかったんだが。まぁ、一回提供するごとに依頼の助っ人とか頼んじゃっても平気だろうかね。

 それにしてもいきなり接吻されてびっくりしたわ。何年ぶりでしょ、元の世界じゃ枯れてるおっさんだったからな。

 今じゃ体が反応よすぎて困るくらいだが。ただ、そうだからといってすぐ事に及ぶのも理性が制止する。

 いつかそうなりたいという願望はあるがまだまだ足りないものが多いので我慢だ、我慢!

せっせと書き進んでようやっと閑話抜きで40話にまで到達。

やっと月猫復帰しましたよ。ちょっと前よりも訳あり武器に進化してみました。

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