第33話 ノブさんの近況報告
この街を拠点にしてはや一ヶ月が経過した。
目標としていた全クラスをレベル10にするっていう目標は概ね達成したと思う。概ねなのは派生やスキルの習得などでクラスが増えそれらまで手が回らなかったのだ。
増えたクラスは錬金術師、奇術師、奴隷商人、大工、石工の5つ。
錬金術師は言わずもがな、奇術師はベルの周りにいた子供達をあやすのにちょっとした手品を披露していたらいつのまにかあった。大工は同じくベルのところで雨漏りの補修をしていたらあったし石工はジャムの容器を作成しているうちについていた。改めてみると殆どがレベリット神殿関係で取得している。これもレベリット様のお導き? いや、あの駄女神だからそんなことはないだろう。
レベルが上がった際に覚えたクラススキルは10までだと魔法を使うクラスを除く戦闘職だけが習得できた。
以下がそのスキルである。
拳士 『チャクラ』
気を集中することで体内の自己治癒能力を活性化させHPを回復する。熟練度がありベテランの域に達すると解毒や麻痺の解除も可能になる。
獣使い 『手当て』
従魔に手を当てその体力を回復する。原理は不明。絆が深いほど効力は上昇する。
狩人 『鷹の眼』
獲物を見据える鷹の如く射撃の命中率が一時的に上昇する。
んでもってこれが現在のステータス。奇術師とかあげてどうするのって思うけれどもシミュレーションで鍛えたコツコツ精神が俺をレベル上げに誘うのですよ。
名前:ノブサダ・イズミ 年齢:15 性別:男 種族:普人族?
クラス:錬金術師Lv1 奇術師Lv1
状態:健康
称号:【真・マリモキラー】
HP:334/334 MP:2,183/2,183
【クラス】
異世界人Lv10 戦士Lv10 拳士Lv10(up!) 修道士Lv10(up!) 魔術師Lv10(up!) 呪術師Lv10(up!) 奇術師Lv1(new!) 錬金術師Lv1(new!) シーフLv10 狩人Lv10(up!) 獣使いLv10(up!) 商人Lv10(up!) 奴隷商人Lv1(new!) 農家Lv10(up!) 主夫Lv10(up!) 大工Lv1(new!) 石工Lv1(new!)
【スキル】
エターニア共通語 異魂伝心Lv2 魔法改変Lv2 複合魔法Lv2(up!) 家事Lv5 農業Lv3 剣術Lv3 格闘Lv3(up!) 両手槍Lv2 投擲Lv2 身体強化Lv2(new!) 魔力纏Lv2 回避Lv3(up!) 受け流しLv2(new!) 神聖魔法Lv3(up!) 暗黒魔法Lv1 属性魔法適性Lv4(up!) 複合魔法Lv2 生活魔法 偽装Lv2 錬金術Lv2(new!) 加工技術(木・石)(new!)
【クラススキル】
挑発 トレジャーハンター チャクラ 手当て 鷹の眼
【固有スキル】
識別の魔眼Lv4 レベリットの加護(小)
【従魔】
タマちゃん
【属性魔法適性】
Lv4
火:ファイアジャベリン 大型の炎の槍を高速で飛ばす。
水:バブルボム 触ると破裂する泡を創造する。
風:サンダー 目標へ向かって電撃を飛ばす。
土:ストーンスキン ある程度のダメージを肩代わりする土の膜を付与する。
【神聖魔法】
Lv3
ハイヒール 回復量の高いヒール。重傷にも効果大。部位欠損までは治せない。
プロテクション 対象の物理防御力が一定時間上昇する。
マナシールド 対象の魔法防御力が一定時間上昇する。
名前:タマちゃん 性別:雌 種族:マリモ
クラス:SマリモLv14(up!) 状態:健康
称号:【可能性のマリモ】 絆:親愛
HP:81/81 MP:24/24
(主の称号の効果でステータスにプラス補正)
【スキル】
分体生成 神聖魔法Lv1 回避Lv1(new!) 迷彩Lv1(new!)
【可能性のマリモ】
今を越える力、未来へと進む可能性という内なる力に目覚めたマリモ。
称号に関しては抽象的過ぎて効果すら分かりません。でもタマちゃんには無限の可能性がある。それでいいのです。
迷彩はカメレオンの如く周囲に溶け込み見付かりにくくなるスキルで異魂伝心がなければタマちゃんの姿を探すのは至難の業だったよ。
ベルの件があってから定期的にレベリット神殿に荷を卸す様になりそれに伴なって交友関係も広がった。神殿周囲の奥様方やお客さんとしてきた冒険者達、やおはっつぁんを中心とした商店街の面々。特に商店街の人たちはたまに食材などで指定依頼を貰えるほど仲良くなった。
それらを精力的にこなして行った結果、現在冒険者ランクが『D』になっております。
え? なんで2つも上がってるのかって?
色々と理由はあるけれども一番は依頼の評価でほとんど優を貰っていたというのが大きいかな。戦闘に関する依頼ではなく大半が採取系の依頼を受けていたんだけれどもマジックリュックのお陰で品質が落ちない、ちゃんと品ごと種類ごとに小分けして納める、期日前に余裕を持って納品するなど日本だったら当たり前だろうってレベルのことをしてただけなんだ。こっちの世界の荒くれもの達はここら辺が結構いい加減だったので俺のほうは依頼主からかなり喜ばれてたよ。日本人の社畜根性も役にたつもんだ。
そろそろミタマやフツノさんと肩を並べて依頼とか受けれそうな気がしてきた。
そんなランクの上がった俺だが未だにソロモン亭のお世話になっている。ランクが上がったら料金は通常料金に戻る決まりだったのだが俺はドヌールさんからそのままでいいとお墨付きを貰ったから。これは以前教えた揚げパンなどのレシピが冒険者連中のお昼などにもってこいで売り上げ好調らしい。その功績を持って据え置きお値段なのだよ。
微々たる褒美ではあるが食生活の安定や名物が増えるのは俺にとっても十分益になる。中身を様々なものにアレンジしたものをドヌールさんたちが考案してるからバリエーションも豊富になってきてるんだよね。俺も偶にお世話になってます。今や厨房を割りと自由に使わせて貰える様になったのもありがたい。
セフィさんのところでの錬金術修行も順調だ。とはいえ両手を合わせて槍作ったり壁直したり指パッチンで炎出したりなんてはできない。
だがどこかのアトリエくらいの調合作業はできるようになれるかもしれない。
不味いというのが定番だったポーションの改良をしてこの街名産の桃味ポーション(名称は仮)を作成することに成功。冒険者の中にも大分浸透してきたようで売り上げが右肩上がりになっている。
ドライを改変してできた魔法『フリーズドライ』を使うことで薬草と桃を瞬時に凍結、乾燥させ粉にする。厳密なフリーズドライは知らないけれどもなんとかそれっぽく仕上げた魔法だが出来ているんだから問題ないのである。
これを原料として作成すると苦味やエグ味のないポーションが出来上がる。実質この粉さえ作り置きしておけばなんぼでも桃味ポーションを作ることが可能になった。作成時間、保存場所、品質どれをとっても従来のレシピよりも優秀だったのでセフィさんが小踊りしながら喜んでいたね。粉作成の時点で俺の魔力をこれでもかと練りこんであるので封入魔力が上昇しポーションは誰が作成しても一定レベルの品質を保てるようになったし。ちなみにセフィさんにも同じように魔力を錬りこんで加工してもらったんだが品質の上昇効果は出なかった。なんか俺だけの特典っぽいな。
この桃味ポーションは売れれば売れるほど俺にもマージンが入ってくるんで『ひきこもりのラミア』は半ば共同経営みたいになっている。はじめは固辞したんだがセフィさんの目が獲物を逃がさない猛禽類のような雰囲気を醸し出したあたりで根負けした。
師匠達との修行も滞りなく進んでいる。
以前はまったく目が追いつかなかったエレノアさんの5割の速度にもなんとかついていける様になってきた。レベルを上げていけば体のほうもついていく様になると思う。相変わらず段々と速度がエスカレートするのは変わらないんだが興奮しだすあたりで抱きつくような仕草をするとちょっと冷静になってくれるようになった。片乳を揉みしだいてしまったアレを思い出してしまうらしい。
技の研究もそれなりに進展している。魔力の入れ具合を見直すことで消費魔力の削減とバリエーションの追加に成功した。それと並行して魔法の改変も色々と実験していたんだが師匠からのアイデアが面白くいつも通りなんやかんやと没頭しては部下の人やエレノアさんに叱られていたりする。いくつか実戦でも使えそうなものが出来たと思う。
ベルの方はといえば元々保護欲を刺激するベルは何だかんだで奥様方の人気を獲得し治療院として定期的な収入を得ることができた。あいつは日々のご飯が食べれる幸せに浸っている。なんともお手軽なやつである。ま、そんなベルだから手助けしたくなったんだけれどもね。ただ、某神殿のお偉いさんのストーカーが生まれたとか生まれないとか……。ベルよ、夜道やお尻に気をつけるんだぞ。
そして俺にも関係することなのだがベルと神殿にて二人でいたところ奥様方の一部から非常に生暖かい目で見られることがある。これが何を意味するのか考えたくもないのだが敢えて言おう、ホモゥはあかんで! 薄い本とか布教されてたりしないだろうな!?
また、卸しているレベリンゴジャムの売り上げも好調だ。狙い通り容器のフルコンプリートを目指す好事家まででてきたようだ。ちなみにシークレットレアはカラーでデザインされたタマちゃんである。いままでに二つだけしか作っていない。ふふふ、タマちゃんをそう簡単に手に入れられると思うなよ?
本日までの収支 元金319,020+9,750(ジャム売り上げ、ベルの給金やお布施などの諸経費除いた取り分)+32,000(ポーション売り上げ取り分)+63,400(依頼料+魂石や素材の売却)-11,680(宿代やその他諸々)=412,490マニー
こうしてみると新人一ヶ月目では有り得ない金額稼ぎ出してる。見た目地味だけどな!
足元の固め具合はいい感じとなったのでそろそろ討伐系の依頼やダンジョンの攻略を進めるのもいいかもしれない。まだ見ぬ強敵や迷宮のお宝に思いを馳せ俺はタマちゃんを愛でていた。




