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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第七章 レェェェェッツ、王都インッ!!
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第170話 断罪の塔潜入作戦①



「穴を~掘れ掘~れ~穴を~掘れ~。あ、ほりほり」


 ドーモ、ひたすら地中を掘り進むドリルの化身ノブサダです。バラックの真下を掘り込んで蝙蝠人族のみなさんの居場所を確保した後、ただ今王城地下へと向けて一心不乱に掘り進めておりますのよ? ま、魔法で掘削しているだけですがね。これ魔法解いたら王都で大規模地盤沈下とか起きそうで恐ろしい。やらないけども。そうそうディグで掘った土砂が何処に行くのかっていうクエスチョンがあったがそれの答えは次元収納の中。無駄に多い魔力を有効的に活用すべく日々俺の収納スペースは広くなっているのだ。土砂専用のスペースが大量にあるのだぜ。ストーンウォールなどを発動する際、現地で足りない分はこれでまかなったりしている。


 掘り出す前にバラックの地下に蝙蝠人族の皆さんが足を伸ばせる素敵空間をほんの10分ほどで作り上げたら大層驚いておったがじゃ。ノブサダさんの手に掛かればこれくらい朝飯前のスイーツ的感覚ぜよ。順番が逆? 気にしない気にしない、一休め一休め。


 ポポト君たちにはこのバラックはどうしても構わないという確約は貰っているので最終的には証拠隠滅のために潰れてもらう予定ではあるのだけれどもね。


 そんな事を考えつつも物凄い勢いで掘り進む。空間把握で王城の位置と現在位置はバッチリである。掘り進めていてすごく気になっていたのはツキジオンヌの地下になんか広々とした空間があるんだよね。細かく部屋割りされているようでまるで何かの施設である。どこかの錬金術師ギルドの親玉の自宅を髣髴させるようで良い気分はしないな。寄り道している余裕はないが一応記憶しておこう。


 そうそう、装備のほうも変更している。通常の鉄蟻装備も魔獣装備も見付かるわけにはいかないからだ。そらそうだ。だって王城に侵入するんだものさ。というわけで『鈍器混具』で購入した防具を改修し使えるようにしたので着替えたのだ。武器はポポト君たちに買っておいたものから短剣をチョイスして腰の両脇に佩いている。アルカナハンマーや鉄蟻刀はいつでも取り出せるようにしておく。



 双皇の鎧

 品質:遺産級 封入魔力:201/201

 付与:『反射』『気配遮断』『増筋』

 かつて双皇と呼ばれた剣魔が愛用した防具一式のうちの鎧部分。再度魔力を注ぎ込まれ新たに付与も追加された。天恵は一式揃って初めて効果を成す。

 天恵:【??】



 紺倶の手甲、脛当て

 品質:国宝級 封入魔力:135/135

 付与:『軽化』『硬化』『増敏』

 クランキー作の防具。加工しにくいことで有名な蒼砦亀の甲羅を力技で加工した品。加工しにくい分驚異的な硬度を有する。付与魔法が限界ぎりぎりまで施されており品質がかなり向上した。


『増~』っていうのは付与魔法レベル4で覚えたもので触媒によって筋力、体力、敏捷力、器用、知力、精神といった身体能力を上昇させる効果が付与される。ただし今までの触媒が何度か使用できたのに対して一回使えば消滅する上、一個の値段もかなりお高い。今回使用した筋力の実と敏捷力の実はそれぞれ金貨1枚、1万マニーもしたのだ。


 全身紺色だが頭のほうも目だけ出した忍者スタイルである。自作の鉢金と面頬も完備した。ドーモ、ノブ=サンです。冗談です、ごめんなさい。そうこうしていてもひたすらに掘り進めている。バラックから斜め下へ掘り進めたあとは地下を真っ直ぐ進み王城に近づくにつれて斜め上へ向けて掘る。最終的には真上に向けて掘り進む予定だ。仮に追っ手が来ても落下してしまうよう罠とするために。俺のほうは連れて行く人員を白米号に乗せれば輸送可能である。あ、フェイントのために横穴も開けておこう。コウメイの罠的なものも設置したいところだ。



 で



 とあるところへとちょっと寄り道した後に真上に断罪の塔を捉えたのだけれど……これ地上に出ている部分の下に家一件分ほどの地下室があるねぇ。明らかに子供だろうというサイズの人影がひいふうみの……6人分とある程度動きのある者が4人ほど。あとは地上だと塔の周りに結構な数がいる。ただ内部は詰めているのが8名ほどと頂上に小さなのが1人か。とりあえず最上階に椅子に縛られた美女がいるような塔ではないことは確かだ。内部構造すら把握できるんだからこの魔法は反則っちゃ反則だよな。罠のほうは判別できないから識別先生にお出ましいただいて直接見ないと分からないけども。


 さて掘り進めながら作戦を考えようか。とりあえず様子を伺い離れた隙に俺一人通れるくらいの穴を開けて侵入する。空間迷彩をかけてある程度近づいたらスリーピングミストの範囲に巻き込んで一気に眠らす。仮に効かないやつがいたら『乙女傷心爆裂弾ヨシヲボンバー』で一気に意識を刈り取るか。



 ボコン


 穴を開けた後にノブサダ生えました。もといふんぬりゃあと一気に身を乗り出せばそこは結構な広い空間。地下だけに全体的にヒンヤリしている。姿を消し気配を殺してそろりそろりと進めば右手に鉄格子がはめられた牢屋のような部屋が見える。外から中は丸見えで6人の子供が身を寄せ合い一枚の毛布で寒さを凌いでいた。入り口部分には普人族の男が二人仁王像の如く直立不動で立っている。


 ――宵闇の 黒き霧起ち 夢へ帰れ 暗き意識の 沈み行くままに。 スリープミスト!!


 エレノアさんが下着売り場でいろいろと見ている間の待ち時間に買ったばかりの魔法書で詠唱一覧を勉強していた。そいつを脳内で詠唱しそのまま一気に発動する。


 ガシャン、ズルズルズル


 鉄格子にもたれかかる様にずるずるとへたり込む強面の二人。武器を取り上げ次元収納へ放り込んだら猿轡を噛ませた後に抱き合わせてぐるっと縛り上げる。突と突がぶつかり合う様にな! 男同士で離れたくても離れられぬ苦痛を味わうが良い。寝ているからわからんか。


 子供達は怯えた顔で俺のほうを見ているがしーっと唇に指を当てればこくこくと頷いていた。理解が早くて助かる。さて残りは二人。こちらも同様の手口で気付く前に撃沈。武器を奪って男色固めにしてやる。『反重力領域アンチグラビトン』でふよふよと浮かべながら一旦鉄格子の前まで戻った。


 丁度壁に掛けてあった鍵を使って鉄格子の中へと入れば子供達は隅っこまで逃げ去る。それはそうだ見た目からして妖しいものな。


「フミルヌから依頼されて迎えに来た。クーネルちゃんはいるかな?」


 出来るだけ優しい声で語りかければ六人の中から一人進み出てくるものがいた。背中に小さな翼をもった金髪紫眼の瞳のパッチリした利発そうな女の子。俺に臆すことなく堂々とした様は将来は大物になりそうで非常に楽しみである。


「私がクーネルです。迎えには感謝します。ですが私一人だけというのであれば申し訳ないですが行く訳には参りません。この子達は私の家族同然。皆を置いて私だもにゅ」


 唇に人差し指を当てしーっと指を添える。


「四の五の言わないの。全員纏めて連れて行くから心配しないで良い。子供は子供らしく大人しくおっちゃんに助けられなさいな」


 ぽんぽんと頭を撫でつつあやし付ければ緊張の糸が切れたのかじわっと涙を浮かべるがそれでも鳴き声を上げることはない。本当に気丈な子供だよ。俺がこの歳だったらきっと泣き叫んでいた自信がある。



 子供達の首には加工された魂石らしきものが嵌め込まれた首輪がつけられていた。識別先生によれば『集魔の首輪』という魔力を吸収しどこかへ転送するものらしい。一体どういった経緯でこれを嵌められているかは知らないがいいものではないはずなので月猫を取り出して全て切り落としていく。念のため次元収納にしまいこみ子供達を牢からだし穴付近まで誘導する。


「『大地掘削ディグ』」


 ガコンという音と共に床へと穴が開く。急に広がった巨大な穴に子供達は怯えた色を隠せない。一人一人順番に予め掘ってあった横穴へ抱きかかえて飛行しながら連れて行く。恐怖で暴れだして危うく落としかけた一幕があったりしたが無事輸送を完了。


「それじゃまだ用事が残っているから少しここで待っててな。こいつを食べて一眠りしてていいからさ」


「「「「「わほー」」」」」」


 ほこほこの肉まんやずんだ餅、おいなりさんに焼きおにぎりを並べていくと我先にとかぶりついている。やはり栄養状態がよろしくなかった様で痩せ細っており虐待のあとだろうかいくつかの痣が残っていた。こちらは戻ってきたらヒールをかけてやろう。やはりというか獣人の食欲半端ない。だがドワーフも負けてないな。食べ物も飲み物も多めに置いていこう。ドワーフの子供が酒がないのか確認してきたときは驚いたけどもね。


 中に蛍石っていう光を発する魔道具を置き空気穴を作った壁を張り子供達の姿を隠て再び塔内部(地下)へと戻る。縛り付けていた野郎どもを牢の中へと引きずり倒し隅っこへ寄せてボロ毛布を上から掛けておく。おまけで『悪夢襲来ナイトメア』を上書きしてかけておいた。あまりに激しい悪夢にしていきなり起きられたりしたら面倒だから「負ければアニキとランデブーとなるストッキング相撲をしている夢」でも延々と見ていてもらおう。

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