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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第七章 レェェェェッツ、王都インッ!!
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第148話 予選の先に

昨日、投稿を逃して寝こけてしまったので本日は2話投稿しますの。


「ノーヴ選手、予選突破おめでとうございます。明日の昼前にこの会場にて本戦の抽選がありますので忘れずにお越しください」


 受付嬢にそう告げられ闘技場の入り口付近をぶらつく。さてこれからどうしようか。エト様たちはこれからの試合も貴賓席にて観戦するだろうしエレノアさんもその護衛としてそちらにいる。俺がそっちにいくこともできないし前もって今日この後は自由にしていいと言われていた。


 そういえばドルヌコさんに頼まれていた息子さんの様子を伺うことは棚上げしていたな。まだ昼前だしちょいと行ってみようか。思い立ったが吉日と早速聞いていた住所の捜索といきましょうかね。幸いにしてここいら付近の地図は闘技場前に確認しているのでそれを機軸にしますか。



 買い食いを楽しみつつ屋台のおっさんなどから情報を集め移動していく。やがて辿りついた店先には『うさ耳ランドばにーちゃん』と書いてある。ほわっつ? たしか聞いていた名前は『ポポルトン商店』だったはずだが……。普通に考えれば潰れたのだろうか。店舗を構えた店が移転することはそうそう無いらしいからな。


 とりあえず店の中に入ってそこら辺を訪ねてみよう。決してばにーちゃんという響きに惹かれたわけではない。惹かれたわけではないのだよ?


「いらっしゃーい。お兄さんお一人? はい、こっちの席へどうぞー」


 そこにはうさ耳を付けた普人族のお姉ちゃんが出迎えていた。亜人排斥の動きが活発なのだろうが『けも耳』の魅力は排斥しきれないのか。排斥派も愚かな選択をしたものよ。ひとりごちつつお姉ちゃんの後をついていく。流石に現代のようにハイレグの網タイツって訳にはいかないが薄手のシャツみたいなものを羽織りもう少しでピンク色の先っちょが見えそうで見えないところが男心をくすぐるね。っとなにを真面目に解説してるんだか。


 ――情報収集中――


 果実水をちびちび飲みつつお姉ちゃんから話を聞きだしてみました。色々なところをぱっふんぱっふんと押し付けてもらったりしたことは内緒である。

 お姉ちゃん改めラーラさん。昼間からあなたも好きねーと言われつつも結構いい話を聞けました。


 この店はできて二ヶ月ほどの新参の店でそれまでは『ポポルトン商店』であったらしい。どうにもまともに営業をしていなかったらしく見るからに柄の悪い男などが度々出入りしていたようである。最後には建物と土地を手放してドルヌコさんの元妻は夜逃げのように去っていった。肝心のポポト君だがいつからか姿が見えなくなり現在は行方知れずのようだ。

 やけに詳しいと思っていたらラーラさんは元々『ポポルトン商店』で働いていたそうなのだがポポト君にも面識があったらしい。ドルヌコさんが追い出されてからもしばらく勤務していたのだが以前とは打って変わって考えなしの経営になりこのままでは危険だと早期退職を願い出たようだ。先を見る目をお持ちのようだがなんでこういったお店に? あ、男性が喜ぶ顔って可愛いじゃないかって? やむを得ずじゃなく嬉々としてお勤めでいらっしゃる。





 ラーラさんの非常にためになる話を聞き終え店から出てどうしたものかとため息を吐く。まいったね、こりゃ。

 とりあえず周囲の店などに聞き込みに入ってみようか。ツキジオンヌも近いし俺秘蔵のゴールドインゴットなどの買取の相場を確認するのもついでにやっておこう。





 ほうほう、ここがツキジオンヌか。武闘祭中であっちに人が集まっているのにも関わらず随分と活気があるようだ。荷車や馬車など引っ切り無しに行きかっている。店舗が軒を連ねると共に路上で荷を広げ商うものや小さな屋台を組み上げ呼び込みに精を出すものなど多種多様だな。所々に設置された市場見取り図によれば扱う品物により区画が分けられており探し物をしやすくて助かる。早速、貴金属を扱うところを見て回ろうか。


 手元にあるのは切り分けたインゴットを更に四分割したもの。こいつで相場を確認していこうって訳である。

 とりあえず目に付いた店に入ってみる。えーと、『ウラガン貴金属店』か。


 からりと横開きの戸を開ければ中にはぬぼーっとしたおかっぱ頭の店員が陰気な顔で出迎えてくれた。こいつは失敗したか!?


「いらっしゃいませ。本日はどのような御用でしょうか」


 あ、予想より普通な対応だ。よく店内を見渡せば清潔感もあり結構いい店のようだった。いかんな、店員の様子だけで判断してはいけないってやつだ。


「ええとこちらでは貴金属の買取は行っていますか?」


「はい、行なっていますよ。ツキジオンヌでの買い取りは初めてですか? よろしければ色々とご説明しますが」


「お願いします」


「それではこちらの席へどうぞ」


 カウンターの横に小さな椅子があるのでそちらを勧められた。

 店員(店主?)の話によればここツキジオンヌでは金と銀、そしてミスリルにおいてはある程度の基準価格が定められているそうだ。これは毎朝発表されて貴金属を扱う店ではちゃんと確認しにいくことになっている。その基準価格から色をつけたりするのは各店に任せられているがあまりにかけ離れた価格を付けるのはなしよと暗黙の了解で決まっているそうだ。そうすることで販売する商品に力を入れ技術力を向上させる目的があるらしい。だからあんまりにも人気の無い商品だけを扱えば自然と淘汰されていくためこの市場内で生き残っていけるというだけでブランドになるのだそうな。 


 それで問題の俺の内緒の金ちゃんなのだが。


「こ、これは!? すごい純度ですね。ほぼ混じりけなしの最上級品だと思われます。相場で言うとこの塊だけで100万マニーほどになりますね。どうでしょう、うちで買取なされますか?」


 ほほう、そんなになりますか。まだ24本と4分の3ありますのことよ。お金はいくらあっても足りませんので助かりますわ。ちなみにミスリルインゴットも見てもらったらこちらも純度に物凄く驚かれた。こちらは1本800万マニーだそうな。思わず笑みが浮かびそうになるのを必死に堪える。ダンジョンで入手した品なんだと言ってゴールドインゴット3本を現金化してもらった。白金貨で12枚。日本円にしていちおくにせんまんえん。元手なしでこれですからな。相場ではあるが多少足元見られていても問題なし。ビバ改変魔法。ミスリルも売ろうか迷ったのだがこれは後々装備にすることもできるのでここは我慢した。


 大金を入手した俺は自分へのご褒美……は置いておいて先に愛する奥様たちへのお土産をここで探してみようと店内を物色する。付与魔法は後で俺がやればいい話なので今回はデザインオンリーで選ぼうか。


 物色すること30分。

 ミタマとフツノさんには対になった翡翠の腕輪、カグラさんには月長石のかんざし、エレノアさんには中に蝶が入っている琥珀のブローチ、セフィさんには瑪瑙のブレスレット、あとはディリットさんやティノ、三連娘にもお揃いの珊瑚のヘアピン、新規の奴隷っ子たちにもお安めだが紫水晶をあしらったチョーカーを購入。しめて40万マニー。まとめて購入したからときり良く値引きしてくれました。ちょっと買いすぎた感はあるが後悔はしていない。こいつにあとで付与魔法もかけておこう。みんな喜んでくれるといいな。


 買ったついでにと『ポポルトン商店』について何か知らないか聞いてみたのだがこちらはハズレ。ただ話の流れで色々な情報に詳しい人間を知らないか聞いてみたところ懇意にしている魔道具屋の二階に情報を売ることを生業とした人物がいるってことらしい。懐も暖かくなったことだし何処まで信用できるか分からないが確かめてみようか。


 ドルヌコさんは見つからない場合は死んだものと諦めますなんて強がっていたがぎゅっと握りすぎた手には血が滲んでいたものな。家族を亡くす悲しみは痛いほど知っているしあの人には色々と世話になっている。ま、こっちにいる間は時間の許す限り探そうじゃないか。

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